虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

キャスターとアナウンサー:混同しているテレビ局

キャスターとアナウンサー:混同しているテレビ局


近年、テレビのニュース番組を見ていると、アナウンサーのことをキャスターと呼ぶことが半ば常態化しています。キャスターとして、ただちに思い浮かべられる人たちとして、筑紫哲也さん、久米宏さん、国谷裕子さん、池上彰さんたちがいます。


彼らは、確かにキャスターと呼ぶにふさわしい人たちですが、どの辺が普通のアナウンサーと違うのでしょうか。広辞苑第六版では


アナウンサー【announcer】

1)ラジオやテレビでニュースを読んだり、司会・実況放送などをしたりする人。

2)競技場・駅などで、放送により伝達・告知する係。

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キャスター【caster】

1)椅子やピアノの脚につけた、自由に方向の変わる小さな車輪。脚輪。

2)ニュース‐キャスターの略。また、番組のあるコーナーを主宰する者についてもいう。「お天気―」


・・・案外適用範囲がダブっていますね。でも、私はこの両者、画然とした違いがあると思います。アナウンサーは、AIに置き換え可能な原稿読み係で、実際NHKでは「ヨミコ」というAIがニュースを担当することがあります。キャスターは、むしろライブで意見を述べるジャーナリストであると考えます。筑紫哲也さんは、まさしくその範疇の人でした。物事に対し、独自の見解を持ち、それをさらけ出すことで世の中に訴えかけるという視座が必要となります。ただ原稿を読み上げるだけでは、キャスターと言えません。もちろん、軽口を叩くことがキャスターの要件でもありません。久米宏さんが軽口を叩いていたのだとしても、筑紫哲也さんは軽口を叩きませんでした。また、アドリブも要件ではありません。


そう言ったら、読売新聞系の日テレでは、アナウンサーは育てられても、キャスターは育てられないと考えます。有名な徳光和夫さんとか福留功男さんとかなどは、「現状追認型」のアナウンサーに過ぎず、キャスターと呼ばれていても、決してキャスターではありません。その理由は、渡辺恒雄がいつまでも「主筆」を務める読売新聞が、主筆である彼とは異なる意見を排除・抹殺する恐怖社会であることが大きな要因であると思われます。この新聞、安倍晋三が明白な犯罪を犯した「桜を見る会」の不祥事を、一切紙面に乗せなかったという愚挙を冒しました。


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その福留さんが「キャスター」をやっていたTBSの「ブロードキャスター」(土曜22時)などは、ある意味見応えのある番組でした。と言うのも、福留さんとアシスタントをやっていた“山瀬まみ”さんには魅力はありませんでしたが、常連コメンテイターのフィールズさん(確か貿易商)が行なう各種事案への解説が、「リーズナブルで、深い」ものだったから。該博な知識・見事な話法・ウイットに富んだ語り・・・この番組の中では、私的にはフィールズさんがメイン・キャスターでしたね。山瀬さんが、畏敬の念を隠そうともしないで彼を見つめたりしていました。途中でフィールズさんが番組を降りたとき、私はてっきりフィールズさんをやっかんだ福留さんが追い出したかと思いましたが、病気のためだったと解り、福留さんへの疑惑は消えました。当然、フィールズさんがいなくなった「ブロードキャスター」の魅力は半減し、見なくなりました。そのうち、番組自体が消滅したわけで・・・フィールズさんのように雄弁な人になりたいな、と思っていたら、私は職場で、彼のような存在に近づけたように思います。「その者になりたい、と、この上なく思えば、その者になれる」(中島敦の小説「悟浄嘆異」に登場する孫悟空の言葉)



今日のひと言:単なるアナウンサーを、キャスターと呼ぶのは止めにしましょう。世界観をはっきり表明できる人のみをキャスターと呼ぶべきです。ちなみに、研究社の英和辞典では、an-nuntiare(ラテン語で)「知らせる」という意味をannounceという言葉は持っています。これの人物を指す用法がannouncer(アナウンサー)なのですね。「知らせる人」というわけです。いっぽうcaster(キャスター)の語源はcast(動詞)で、いくつか意味がありますが、「投げる」がもっとも用例が多いようです。キャスターで「投げる人」、まあ、問題提起をする人と取っておきます。



フィールズさんについて、wikiから。


ジョージ・フィールズ(George Fields、日本名・宮田譲治/みやた じょうじ、1928年 - 2008年10月2日)は、日本東京府生まれのオーストラリアの事業家、国際ビジネスコンサルタント。フィールズ・アソシエイト代表。産能大客員教授


1928年に、東京で生まれる。父親が日本人で母親がオーストラリア人のハーフ。初等教育中等教育は日本で受ける。都立八中卒業。東京が空襲を受けた後、父の勧めでオーストラリアへ移住し大学へ進むことになった。パスポートを取得するまでの1年間は父親の知人の紹介で撮影所で働く。1954年、シドニー大学経済学部卒業。英国ユニリーバ勤務を経て、1964年ASIマーケットリサーチ日本支社赴任とともに来日、以後日本に居住。2008年10月2日、悪性軟部腫瘍により死去。80歳没。


1997年夏から、嶌信彦の後を受けてTBS系の報道・情報番組「ブロードキャスター」にてレギュラーコメンテーターを2004年秋まで務めた。流暢な日本語で経済や政治を話すことで有名になる。テレビ朝日系「徹子の部屋」に出演したときには、オーストラリアでは田山花袋などを古い小説を読んでいたことや、黒澤明の映画を見たとき英語の字幕を追っていたことに日本語の能力の衰えを感じたと語る。また母親は終生、関東大震災の恐怖を覚えており、再来日の時も大いに心配したとも語る。終戦直後、呉市広にオーストラリア軍が駐留していたため、最初の出国時には広からオーストラリア行きの船に乗った。この直前、呉市中央の焦土を目にし、東京オリンピック前年(1963年)に日本に戻るまで彼の中の日本のイメージは焦土であった。オーストラリア政府が同化政策をすすめた際、当局と相談し、日本名に近い意味の単語を選び現在の姓名を名乗ることになった。







今日の詩(2編)


@ネズミ


わが家にはたまにネズミが住み着く。
今度はかなり大きな奴で、歳経た分だけ
頭が良く、罠にはなかなか掛からない。


この前の夜、ソイツと目が合った。
可愛いい!!害獣という色眼鏡を外すと、
素直にそう思う。


でも、コイツが家にいること自体、
わが家にとっては厄災だ。
私は、奥の手を実施している。

 (2021.12.03)



@人参の一物全体炒め


野菜無人販売所で葉っぱつきのニンジンを1本、20円で売っていた。


私は購入し、根と葉をまるごと炒めてみた。


そのニンジンの甘いこと!


砂糖は入れていないから、


これはニンジン自らの味だ。


こういうのを滋味というのだな。


むかし有機農法のニンジンを食べたときの記憶が蘇った。


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 (2021.12.04)






今日の4句


カアと鳴き
真一文字に
飛ぶカラス


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近くには実のなくなった柿とわずかにある柑子。(柑子=柑橘類)

 (2021.12.03)



このバブル
人を滅ぼす
デビルなり


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排水路の合成洗剤の泡を見て。

 (2021.12.03)

参考過去ログ(合成洗剤


iirei.hatenablog.com


iirei.hatenablog.com




西日照り
ミラーが返す
円環や


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とっても良いタイミングに居合わせたわけです。

 (2021.12.04)



ヒガンバナ
半年もてや
花咲かぬ


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通常年越しして、春まで生えるヒガンバナの葉が枯れそうです。

 (2021.12.04)







今日の写真




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日光白根山。稀に見ることができる。標高2578mで、10m違いで浅間山より高く、関東以北では最高峰。(ただし、火山活動で山容が膨れた浅間山のほうが高いという説もある。) (2021.12.05)






☆☆過去ログから厳選し、英語版のブログをやっています。☆☆


“Diamond cut Diamond--Ultra-Vival”


 https://iirei.hatenadiary.com/



ダイアモンドのほうは、週一回、水曜日か木曜日に更新します。
英語版ブログには、末尾に日本語ブログ文も付記します。記事は
虚虚実実――ウルトラバイバルとはダブりませんので、こぞって
お越しを。