虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

水際作戦!:『14歳からわかる生活保護』(雨宮処凛)

水際作戦!:『14歳からわかる生活保護』(雨宮処凛

生活保護を受けることは恥ずかしい」と感じる人は多いことと思います。でもそれは誤解であると主張するのがこの本です。人の生存を支える「最後のセイフティ・ネットが生活保護であり」、それを受けるのは、恥ではなく憲法で保障された「生存権」なのです。


ところが実際の役所の窓口では、生活保護を受けに来た人達を体よく追い返して、これを「水際作戦に成功した」と自画自賛するのですね。なんだか受給希望者が犯罪人であるかのように。だから北海道で姉と障害のある妹が、何回窓口に行っても、水際で役人は追い返し、最後は姉が餓死、妹が凍死するという極めて残酷な結末を迎えましたが、こんな例は日本各地でも見られると書かれています。著者の雨宮処凛さんはどんな人かと言うと(wiki)、

雨宮 処凛(あまみや かりん、1975年1月27日 - )は、作家、政治活動家。当初は「ミニスカ右翼」と呼ばれた右翼活動家だったが、後に「ゴスロリ作家」を称する左派系論者に転向した。


近年はプレカリアート問題に取り組み、日本ジャーナリスト会議賞を受賞している。反貧困ネットワーク副代表、『週刊金曜日編集委員厚生労働省ナショナル・ミニマム研究会委員、「小説アカデミー」顧問、「こわれ者の祭典」名誉会長。喫煙者。


・・・こんな感じです。ずいぶん振幅が大きい作家・活動家です。でも、彼女のハチャメチャさが、この本の執筆には向いていたのかも知れません。(河出書房新社より2012年発行)



14歳からわかる生活保護 (14歳の世渡り術)

14歳からわかる生活保護 (14歳の世渡り術)



続いて、生活保護の申請を、役人は受け取り拒否は出来ないというサボり役人にはよく理解してもらう必要がありますが、役所側はところが、警察OBのコワモテの職員を窓口に配置したりとかして、生活保護申請者を諦めさせるという業務態度を取るわけですね。窓口の役人ではなく、後ろに控える係長、課長に話を持っていけば、さすがに「申請→受理する義務」は知っているので、申請が通りやすくなるらしいです。


それより何より、この生活保護の諸問題でも最も力を発揮するのが、法律の専門家・・・弁護士であるということ。なるほど、世の中は法律で動いていますので、弁護士は絶大な発言力があるのですね。その目から見れば、「水際作戦」の欺瞞を暴くのは容易いことでしょう。


弁護士と言わずとも、生活保護に関与するNPO法人の方たちと知り合いになればこれも心強いですね。実際、ネットカフェ難民になりかけた男女のペアに優しい手を差し伸べたグループもあります。その援助で2人は地獄から生還したのです。(難民からアパートに移れた)最初に彼と接触したのは、著者でした。)


一方、悪名高い自民党議員、片山さつきは「漫才師河本氏の母が、息子は儲けているのに、なぜ生活保護を受けているのか」、と言い出し、生活保護自体を見直そうと自民党の部会を主宰し、この制度を改悪しようとしていました。生活保護受給は恥ずかしいこととお金に困ったことのない片山さつきは主張するのですね。弁護士さんに言わせると、その母親の生活保護受給は合法であるということです。



今日のひと言:生活保護を受けるためには、可処分財産(資産)を持っていると受けられないと、この本には書かれていました。自動車、家屋を手放してお金を作り、それが尽きてからではないと、受給できないというのですね。ところが別の本によると、そうしなくても持ち家に住みつつ受給できる場合もあるそうです。(↓)

『How to 生活保護』(東京ソーシャルワーク篇:現代書館





今日の一品


@紅花のお浸し


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紅花

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赤い染料にできる紅花(ベニバナ)。苗のうちは食べられるので、少々栽培している紅花を間引き、作ってみました。佳味があり、あとで苦く感じます。

 (2019.05.19)



ジンジャーパン


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今回のパン焼きは、生地に摺りおろしショウガを入れてみました。さわやかな風味が良いです。

 (2019.05.19)



@キャベツとイワシ缶の炒め物


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かば焼き風イワシ缶を使いました。キャベツを炒める際に、少々醤油を加え、仕上げに山椒を振りました。

 (2019.05.20)



ザワークラウトとトマトのスープ


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キャベツを乳酸発酵させた酸っぱい漬物、ドイツのザワークラウト。今回はトマトとともにスープにしました。ザワークラウト100gとつぶしたトマトを適量の水で煮、塩、胡椒して火から降ろします。酸っぱいもの同士、相性は良いです。

 (2019.05.23)






今日の六句


菓子のよう
コマツヨイグサ
美味そうに(うまそうに)


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アカバナ科の植物。そのつややかな花。

 (2019.05.19)



罌粟(けし)の園
目を引き付けるかや
魔性花


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ここで詠んでいるのはアヘンを取る品種ではなく、鑑賞用のヒナゲシです。

 (2019.05.20)



むらさきの
花も咲くるか
矢車草


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矢車草はインクを作るのに使った有用植物(ハーブ)でした。

 (2019.05.20)



夏の朝
恋をささやく
猫ニ頭

 (2019.05.22)




いかにもな
形しにけり
ブラシの木



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ブラシそっくりな花を咲かせる木。初めて見ました。

 (2019.05.23)






若いうち
センダングサ
可愛らし


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繁殖力が強すぎて困るアメリカセンダングサ。苗のうちは、確かに可愛らしい。

 (2019.05.24)