虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

「令和」考+超高級指向のイチゴは工業製品の二の舞になるか?

「令和」考+超高級指向のイチゴは工業製品の二の舞になるか?

@@「令和」考@@


周知のように、新元号が「令和」に決まりました。このコトバについて少々考えてみました。「令」というコトバは「命令」「律令」「法令」などのように、普通は「厳しく冷たい」イメージがあります。実際、『学研 漢和大字典:藤堂明保』では、この字の語源は「神のお告げや、君主・役所・上位者のいいつけ」とされています。


その一方「令嬢」などのように「麗しい娘」という正反対の意味を内包しています。いみじくも、4月2日のNHKの午後7時のニュースなどで「令」=「うるわしい」と言った意味があると解説されていました。私は、この放送を聞く以前に、上記の漢学者:藤堂明保さんの「単語家族説」(音が同じ漢字同志は、なにかしら共通する意味を持つ)を根拠に、「レイ」という発音を「令」と「麗」が共有することより、この2つの漢字は共通する意味があると考えていました。(「礼」という字もこの仲間です。)


すると、意味の上では「令」=「麗」、「麗」は「美」に通じ、そして「和」とは「日本」のことなので、「令和」と書くことで「美しい・日本」という、どこかで聞いたスローガン・・・そう、第一次安倍晋三内閣で彼が掲げた文句をなぞることになるのです。「令和」を提唱した国文学者:中西進氏は、期せずして安倍晋三の心中を忖度したことになるのですね。


単語家族説について:

iirei.hatenablog.com

白川静VS藤堂明保:漢字の語源を巡って


 (2019.04.02)



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私が幼いころ、酸味の効いた小粒のイチゴは、安価で購入が気兼ねなくできました。でも、最近は大粒化したイチゴがスーパーの店頭で優位を占めます。これらのイチゴは高額で、慢性的に金欠状態の私は購入するのに二の足を踏んでしまいます。トチオトメ(栃木県産)、ヤヨイヒメ(群馬県産)、あまおう(福岡県産)などが代表格で、一粒数百円などのイチゴも珍しくありません。


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1パック298円の、不ぞろいだが美味しいイチゴ


イチゴは品種改良が盛んな果物であり、開発する側も力が入るのでしょう。店頭で香るあの甘酸っぱい良い香りにも、改良が進められているようで、なんと桃の香りのするイチゴまで売られているというのですからビックリです。凄まじいといえば凄まじい、品種改良に掛ける熱意があります。


https://foodslink.jp/syokuzaihyakka/syun/fruit/Strawberry-varie.htm

:イチゴの種類


韓国の場合、そんな優れた日本のイチゴに目をつけ、ばっくれて日本で品種改良された品種を栽培して、純韓国産であるとして売っているそうです。パテント料も支払わずに、です。まあ、あのイヤラシイ国であるからには大いにありそうなお話で、日本という手本がないと、なにも出来ない二流国ですね。


もっとも、日本も安閑としてはおれません。「攻めの農業」という錦の御旗の下、日本の農業は「その優れた品質」をもって、海外に押し出すべし、という「政策方針」がありますが、これが上手く行った験しはさほどなさそうです。農業製品の手本であるとされる工業製品の場合、液晶テレビで、「亀山モデル」という高価な製品を売り出していたシャープが、経営難に陥り、台湾の半導体メーカー・ホンハイに助けを求めて救済されたというのは、数年前のお話で、救済後、懲りずに高額な液晶テレビを生産し続けているのも有名なお話です。アホか。


なぜシャープが失速したかというと、輸出される国、東南アジアの国々のことが多いと思いますが、彼らは高機能で高価な日本電化商品は必要とせず、「ほどほどな」機能があれば十分で、後発メーカーの低品質で安価な製品を求めたのです。こうなると、日本製品の市場は縮小せざるを得ませんでした。従来の日本の強みであった「高付加価値、高機能」の戦略が破綻したというわけです。


この工業に起きた大異変、農業産物についても起き得るでしょうか?・・・私はあると思います。脈絡はシャープの液晶テレビと同じで、高品質・高付加価値のイチゴが嫌われ、当該国産のイチゴが売れるというシチュエーション。日本における商戦においては、高付加価値のイチゴが勝利を収めましたが、外国では負けるだろうと思います。



今日のひと言:ハーブの一種に「ワイルド・ストロベリー」という作物があります。この作物はイチゴの原種であり、食べると素朴な味がすると言います。(と、書くのは、栽培したことがありますが、失敗したのです。)皮肉にも、この作物はハーブの一種ということで、絶えずに栽培されます。


日本のイチゴ栽培農家、および種苗会社に、もっと原種のイチゴにも目を向けてほしいと考えるのです。初心に戻って。さもないと日本農業を待っているのは、時代お遅れの高級・大粒のイチゴに代表されるであろう凋落です。シャープの二の舞になってはいけません。もっとも、このような高級イチゴを求めるのは、日本の消費者であることも忘れてはならないでしょう。・・・それも農産物における「ガラパゴス化」?



元号 年号から読み解く日本史 (文春新書)

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シャープ再建   鴻海流スピード経営と 日本型リーダーシップ

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今日の一品


@鮭脂パン


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鮭を焼いた後染み出た赤い脂を使ってパンを焼いてみました。廃物利用。味はイマイチか。

 (2019.03.31)



@トマタマ


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弟作。2、3cm角に切ったトマト2個を炒め、別に炒めておいた卵2個(スクランブル・エッグ)をトマタマの素(メーカー不詳)とあわせて、全部混ぜる。なかなかの佳味。

 (2019.04.02)



@ソラマメ


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今年最初のソラマメ。産地は鹿児島県。莢1つに3個マメが入っていました。茹でて、塩、七味唐辛子を掛けます。中国の調味料「豆板醤」がソラマメを含むことから類推して、七味を加えました。これもまた旬の味。

 (2019.04.04)





今日の六句


雨あがり
けぶる街並
遠く見ゆ


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 (2019.03.31)



毬栗(いがぐり)の
寒いとばかり
樹に残り


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 (2019.03.31)



冷涼な
空気に咲くや
青い花


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ムスカリです。(ユリ科

 (2019.04.02)



家の門
左右を守る
チューリップ


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 (2019.04.06)



生えそめし
柿の木の葉の
透明さ


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 (2019.04.06)



消費税
糞くらえとて
ドブに落ち



これは、川柳の積り。

 (2019.04.06)