虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

リキュールを造る:その熟成を待つ楽しみ


メドースイート酒→



今はさほどではありませんが、私も若い頃は、酒を浴びるように飲んでいたこともあります。「一晩でテキーラ1本空けてしまえ」とばかり、吐きながらも飲み続け、その企図はうまく行きましたが、翌日には酷い二日酔い。思えばバカだったですね。酒の神さまも怒るでしょう。


さて、私はこれまで色々なタイプの酒を飲んできましたが、どれもなかなか味わいのあるものでした。その点については酒をランク付けしたり、変わった酒だと分類しないようにしてきました。でもそういう態度を取った人・・・貴重な酒、フランスのシャルトリューズをお土産にして出向いたある農家、焼酎の味しか認めない人で、「なんだ、この不味い酒!!」呼ばわりされてしまったのです。さらには「焼酎と混ぜればいくらかはマシ」。以後彼を訪ねることはありませんでした。


さて、お酒は、製造方法の違いから、大きく3つの区分に分けられます。


1)醸造酒:原料の持つ糖分を酵母に食べさせて発酵させる、もっとも原始的な酒。ワイン、ミード(蜂蜜酒)、日本酒、ビールなど。(最後の2つは、デンプンを糖にするという工程も入ります。)


2)蒸留酒醸造酒を、火に掛け、蒸発したアルコール分を冷やして集め、製品とする酒。
ブランデー、ウイスキーテキーラ、焼酎、汾酒(フェンチュウ:中国の酒)など。


3)混成酒:醸造酒、蒸留酒問わず、酒に動植物を配合して、栄養価とか見た目の面白さなどを見込んだ酒。リキュール。シャルトリューズ、梅酒、カンパリ竹葉青酒(チューウェイチンチュー:中国酒)、養命酒陶陶酒など。


さて、私の場合、これまで35度のホワイトリカーを使い、自分でもリキュールを作ってきました。ハーブの愛好者でもあった私は、大体のハーブをリキュールにしてきました。
段取りとしては、花や葉のハーブなら軽く洗って、ハーブの重さの20%くらいの砂糖(色つきの方がよいかも)、とともに、インスタントコーヒーのビンに入れ、7日くらいで葉は取り出します。また、実のものなら、漬けたあとそのままにしていてもOKです。


漬け込んでから10年くらい経つと、熟成が進み、驚くほどの味の冴えを見せることがあります。私はここ数年、おもにビールばかり飲んできましたし、そのビールもやめてかなり長くなったので、漬けておいたリキュールたちには寂しい思いをさせてきたのですが、ちょっと酒の「断捨離」をしようと思って、11年ものの「サクラ花酒」を飲んでみたら、これがまるでブランデーのような絶佳な風味!!酒って、熟成させて飲むものだ、と思いました。


そんな感じでリキュールたちを飲み比べてみると、「メドースイート酒:これもハーブの一種」「サクランボの種酒」そして「サクラ花酒」のような、バラ科の植物から作ったリキュールは、特に素晴らしい出来上がりになるようです。現に私の知り合いの長野県・野辺山にすむ女性(年の差は親子ほど)が漬けた「ボケ酒」も抜群の味でした。


他のリキュールでとくに良かったのは、「ターメリック葉酒」です。これは根をカレーの色づけなどに利用するウコンのことです。その葉は、心地よい芳香がして、漬けてみたのが始まりです。毎年植えたり掘りあげたりして(寒さを防ぎ)つくり続けています。


以前挙げた私の詩をここに再び載せますと、



@酒を鍛える


私は折を見て
色々な植物を採取・栽培して
リキュールにしてきた


しばらく酒から遠ざかっていたが
11年前(2004年)に漬けた
サクラの花酒を飲んでみた


琥珀色の酒。
――これは美味い!
なんと喩えようか?


漬けた当初より
遥かに芳醇で深い味わいになっていた・・・
時間が酒を鍛えるのだ。

 (2015.02.09)



上の詩を俳句で・・・


ひさびさに
飲みし桜酒
熟成し


 (2015.02.10)



今日のひと言:観光地に住む人が、自分で漬けたリキュールを、彼が経営するロッジでお客様に振舞うというささやかな行為について、酒税法を楯に取り、国税庁が「廃棄」を迫ったというニュースを聞いたことがありますが、どうなったのでしょう?ずいぶん心の狭い役人だと思いますが。


参考過去ログ http://d.hatena.ne.jp/iirei/20070228#1172635132

 :酒2題――ミードとシャルトリューズ・その悦楽



リキュールブック

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決定版 リキュール&カクテル大事典

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リキュール銘酒事典

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今日の料理


コンフリーのつぼみのバター炒め




つぼみ





バター炒め


コンフリーはハーブの一種に数えられ、案外美味しいのですが、近年の研究では、「ピロリジジン・アルカロイド」を含有する半毒草であるとされました。そこで、わが家では年、1、2回だけ食卓に乗せています。(なお、フキノトウ、ワラビなどにも「ピロリジジン・アルカロイド」は含まれます。

http://d.hatena.ne.jp/iirei/20150408#1428461217


・・・の、コンフリーの項参照ください。

 (2015.04.23)




@青パパイヤと胡瓜の塩麹炒め




以前も青パパイヤを使った料理を弟が作りましたが、コンビとして入れる食材を豚肉から胡瓜に変更しました。青パパイヤは千切りにしても、かなりの歯ごたえがあります。これは美味しい。


http://d.hatena.ne.jp/iirei/20140915#1410775228

 (2015.04.24)



@蕗味噌





id:miyotyaさんに紹介されました。通常捨てられる若い蕗の葉を茹でて、2,3時間水に晒し、味噌と混ぜました。蕗のほろ苦い風味です。

 (2015.04.26)




@クコの混ぜご飯





いろいろなやり方があるようですが、私はクコの葉を軽くゆがいて、塩を振り、炊き立てのご飯に入れました。クコの葉は、甘い風味があります。ご飯にクコの香りを移したら取り出すというやり方もありますが、それではクコが勿体ないと思います。

 (2015.04.26)





今日の一句


流流と
鯉のぼり舞う
保育園


若き子供たちの健やかな成長を祈ってか。

 (2015.04.23)