「母をたずねて三千里」:マルコの旅の長さは偽りなし
「アニメで読む世界史」特集その2(完)
テレビで放映された世界名作シリーズの一つである「母をたずねて三千里」は、もちろん、主人公のイタリア人・マルコ少年が大西洋をはるばる渡って、アルゼンチンまで行き、めでたく母と再会するというドラマ性たっぷりのアニメですが、ここではこの物語の背景について、「アニメで読む世界史」から検討してみます。「アニメで読む世界史」(藤川隆男・編:山川出版社:2011初版:本体1500円+税)です。
この作品はもともと、エドモンド・デ・アミーチス(1846−1908)の少年小説集・「クオーレ」(1886)のなかの一編「アペニン山脈からアンデス山脈」を原作としています。原作自体は50ページ」ほどの短いお話でしたから、テレビ版では1年放映できるように、筋を複雑にし、原作には登場しない人物も登場させています。
「三千里」とはよく言ったもので、確かにマルコ少年はこれだけの距離を踏破して母と再会するのです。1万2000キロ。母は、イタリアのジェノヴァからアルゼンチンに出稼ぎに来ていたのですが、邪悪な人物が稼いだお金を横領して、イタリアに送金されず、また母も行方不明になっていたのです。
ここでは、マルコと母親の再会の歓喜についてより、歴史的・地理的な情報について書こうと思います。まず、19世紀末から20世紀初頭のアルゼンチンは、世界にも比べられる国がほんの僅かの、裕福な国でした。
その当時、アルゼンチンは経済的に躍進し、1人あたりの実質GDPは、イギリスやアメリカには及ばないものの、西ヨーロッパ諸国の平均を上回っていました。また、1868年の明治維新ののち富国強兵を進めた日本や、国家統一をはたしたばかりのイタリアと比べても、アルゼンチンのほうが高い水準にありました。
第一次世界大戦(1914−1918)前の1913年には、アルゼンチンの1人あたり実質GDPは3797ドル(1990年国際ドル表示)と、1746ドルであるイタリアを大きく上回り、1135ドルだった日本との差は3倍以上に達していたのです。
(146ページ)
アルゼンチンの繁栄は、当時世界一の大国・イギリスとの貿易で支えらえていました。イギリス向けの輸出は、全輸出量の40%、輸入は30%に達していました。当時の仲の良さから見ると、1982年のフォークランド紛争など、思いもよらないことでしたね。
(147ページ)
こんなわけで、全盛期のアルゼンチンは、各国からの「出稼ぎ移民:定住するのではなく」が押し寄せ、またその移民たちの期待に応えられる国だったわけです。とくに、国家が統一されたばかりのイタリアからの移民はおびただしい数にのぼり、ここにデ・アミーチスが「アペニン山脈からアンデス山脈へ」を書くモチーフが整ったというわけですね。
さて、「クオーレ」ですが、この9話からなる小説集はただの著作ではなく、なにかとイタリア国民としてのアイデンティティがぶれる人たちのため、イタリア各地を舞台にした、「愛国心」を涵養するような作品集になっているそうです。ロンバルディア、ミラーノ、ジェノヴァ、パドヴァ、フィレンツェ、ロマーニャ、シチリア・・・といった具合に統一されたイタリアの各地を取り上げて、徳目を伝えるだけでなく、「イタリア人」としての愛国主義的な考え方やイデオロギーを伝えたかったようです。
今日のひと言:「クオーレ」がファシストに利用されると困った事態になりますが、この作品集がイタリア以外の国でも人気があることを考えると、愛国心涵養より一般的な側面でも読者を魅了するのでしょう。
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今日の料理
@ニラレバ炒めクコの実添え
ニラ、レバー(豚)、クコなどは、いずれも目の健康に資するところのある食材です。久しぶりに作ってみました。ニラは自家製です。
(2014.10.04)
@安納芋の焼きいも
安納芋は、種子島特産のサツマイモの一種。皮は褐色であまり美味しそうではないですが、実は非常に美味しい焼き芋にできます。我が家にはパン焼き器と芋焼き器が合体したベイカリーがありますが、焼きあがると、クリームみたいな美味しい食感を味わえます。ただ今回のは今一つの味でした・・・・
(2014.10.06)
@スペアリブの醤油煮
スペアリブを使った調理は2回目ですが、
http://d.hatena.ne.jp/iirei/20140816#1408185249
今回は時間節約のため、圧力鍋を使いました。醤油、甜菜糖、ショウガ、八角をいれて、具材がひたひたになるくらいに水を入れ、圧力がかかってから10分、火に掛けました。
(2014.10.07)
@マコモタケの炒めもの
マコモタケとは、マコモというイネ科植物に菌が寄生し、白く膨れた部分。群馬県では容易に入手できますので、買ってきましたが、残念ながら茎を切ると、黒っぽい斑点があったので、ホントは二品つくる予定だったのですが、比較的マシな部分を炒めものにしました。炒めた調味料は、昆布だし、コチュジャン。
(214.10.08)
今日の二句
草なべて
生やさぬつもり
シート敷き
以前にも挙げていた道路、アスファルトで固める以外にも、草対策をしていました。シートで被い特定の草しか生やさぬ積りで。
(2014.10.07)
純白の
花ぞ咲きける
何首烏(かしゅう)かな
何首烏(ツルドクダミ)は、タデ科のハーブ。中国原産で、葉がドクダミと似ているので、ツルドクダミと呼ばれるようになりました。葉はティーとして飲み根塊について、wikiから引用すると、
「ツルドクダミの塊根を生薬として何首烏と呼ぶ。古くから強壮剤として利用され、また、烏のように髪を黒くする作用があることから「烏」の文字がつけられている。生何首烏は潤腸、瀉下および消炎の作用が強く、熱加工した製何首烏は肝腎補益の作用が強い。
なお、何首烏を鉄器で調理したり動物の血に晒すなど鉄分を加えることや、ネギやニンニクを共に食することは禁忌とされている。」・・・です。
今日の庭
聖護院ダイコンと水菜・紅法師が育ってきました。
(2014.10.08)