虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

狂歌はなぜ衰退したのか?

現在でも、俳句・短歌および(俳句から派生した諧謔詩)・川柳は隆盛を極めているのに、短歌の派生諧謔詩・狂歌は廃れています。これはどういう訳なのでしょう?なかなか解りにくいので、ヤフー・チエブクロを参照してみました。


狂歌は江戸の天明期(1781〜1788)頃に隆盛した訳ですが、その頃から古典や漢籍の文学知識等を幅広く身に付けていないと、作ることも読むこともままならない物になってしまっていました。


そのため本歌取りなどの技法を駆使して詠まれた狂歌などはもはや庶民には理解の出来ないものと見なされるようになり、新聞・雑誌なども取り合わなくなったため衰退していったものと思います。


現代に狂歌を再興するには、古典や漢文知識の修養という前提を取り払うなど、狂歌のあり方そのものを見直さなくてはならないのかもしれません。

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1381057923 より。


なかなか説得力のある説明ですが、幾つか異論もあります。その一つは、天明期にのみ隆盛時期があるという説明。どうも、この辺については、天才・太田南畝狂号太田蜀山人四方赤良)の人生とともに狂歌があるように思います。彼は1749−1823(寛延2−文政6)と、かなり長命で、狂歌の世界に光を投げかけ続けていた、ということに落ち着くようです。


また、黎明期狂歌が、庶民の手に負えない技巧を弄したものであったなら、隆盛もなかったと思います。その初期の狂歌がだんだん庶民の手に負えなくなっていったのは解る気もします。そこへ行くと、詩作上の技巧(短歌における縁語掛詞枕詞などのいわば煩わしいテクニック)が特に必要ではない川柳は、庶民の間に根ざしていったのでしょう。


ここに、「江戸狂歌125選」(長生馬齢:愛育社:2007年初版)という本を手にしているので、狂歌の幾つかを拾ってみましょう。


@世の中は 色と酒とが 敵なり どふぞ敵に めぐりあいたい  (蜀山人

    論旨明解。


@世の中に 人の来るこそ うれしけれ とはいうものの お前ではなし (蜀山人

    来る人を拒まずというわけではないのですね。


@菜もなき 膳にあはれは しられけり しぎ焼き茄子の 秋の夕暮れ (唐衣橘州


   これは西行の歌「こころなき 身にも あはれは 知られけり しぎたつ
   沢の 秋の夕暮れ」の本歌取り


@磨いたら 磨いただけは 光るなり 性根玉でも 何の玉でも (一本亭芙蓉花


  これはつまらぬ歌。これに対する批評の歌が以下。


@磨いても 磨いただけでは 光るまじ こんな狂歌の 性根玉では (落首

  落首というのは、人目に付き易いところに匿名で書き付けた狂歌


なお、この本の編者は、ちょっとおっちょこちょいであると思います:


@しき島の やまと心を 人問はば 朝日ににほふ やまざくら花


これは本居宣長の歌ですが、編者は本居のライバルの上田秋成のものとしています。
これは、勇み足ですね。



今日のひと言:狂歌は、そのギャグの切れ味が、川柳より劣る気がします。もっとも、なかには「太平の眠りを覚ます じょうきせん たった四はいで 夜も眠れず」のような秀作もありますが。
もしかして、現代において狂歌が流行らないのは、その名称に「差別用語・狂」が入っているから?・・・まさか。だって、「狂言」というジャンルは、いまでも隆盛していますしね。


江戸狂歌125選

江戸狂歌125選

大田南畝 江戸に狂歌の花咲かす

大田南畝 江戸に狂歌の花咲かす

三巴狂歌

三巴狂歌




今日の料理



クサギミョウガの炒めもの





クサギの料理は、何回か取り上げましたが

http://d.hatena.ne.jp/iirei/20140509#1399577737  など

今回が、今年最後のクサギ料理です。上の過去ログで挙げたレシピに加え、炒めている最後にミョウガを加えます。2種類の「ほろ苦さ」が味わえます。

 (2014.08.28)




@コリンキーの薄切り





弟作。前回の乱切りではなく、薄切りにして、市販のドレッシング+マヨネーズで和えました。あっさりしていて、薄いので食べやすいです。

http://d.hatena.ne.jp/iirei/20140826#1409048748  参照


 (2014.08.31)



@ラムのヌタ+茗荷






以前エントリーした「ラム肉とネギのヌタ」に、ミョウガを刻んでいれました。ミョウガは今こそ旬ですね。

http://d.hatena.ne.jp/iirei/20130915#1379241154 参照


 (2014.08.31)





今日の二句


篤農家
収穫まじか
穂の垂るる






他の農家に先駆けて田植えをする農家。いつでも作柄はいいようです。

 (2014.08.27)




乱れ咲き
色とりどりの
ランタナ





私はランタナという植物が好きで、アイコンにも使っていますが、黄色・オレンジ・ピンクなどの色が、一つの花のなかでまるで地球の緯度のように出現し、ある意味派手な花です。「七変化」とも言われます。今回は、そのランタナが集合して「色とりどり」の様相を呈していました。

 (2014.08.29)





今日の園芸

@発芽  8月31日に庭に蒔いた「聖護院大根」(サカタのタネ)と「紅法師:水菜」(タキイ種苗)が発芽してきました。日照の関係で、案外広い庭なのに、冬季栽培できる面積が狭いのです。
(見にくいですが、中央に聖護院、その両脇に紅法師を蒔いています。)






 (2014.09.02)



今日のキャタピラア


白魔女さんとこと同じように、キャタピラアは、ある程度大きくなると、鳥に食べられてしまうようです。一回り、二回り小さな個体はいました。前の個体が大きいころ、地味な色だった幼虫です。





 (2014.09.02)