虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

放射能の生物濃縮〜生物濃縮係数(CF値)


放射能による生物濃縮について、我々は良く知らされてないように思います。3.11後、経産省原子力安全・保安院の西山某が、「(放射性物質は環境に出ても)薄まるから大丈夫」と言っていたのには、あきれると同時に怒りさえ覚えたものですが、水俣病メチル水銀による)のメカニズムを解明し、「どんなに毒物が薄まっても、生物濃縮の結果食べる際には高濃度に汚染される」と言うことを定式化した原田正純熊本大学医学部教授はこの西山の発言に「腰が抜けた」と言われつつ、亡くなられました。そこで今回は生物濃縮を追ってみようと思います。ただ、ネット上ではさほど情報が多くないので少ない情報源から書くことにします。まず東京大学理学部のHPから、生物濃縮係数CF値)を引いてきます。


生態系における濃縮(生物濃縮)
永田 俊(大気海洋研究所 教授,生物科学専攻 兼任)

生物は外界からある物質を取り込み,同時にそれを体外に排出している。 この取り込みと排出が釣り合って,体内での物質の濃度が安定した状態にある時,生体内でのその物質の濃度が外界での値の何倍になっているのかを表したのが生物濃縮係数CF)である。


海洋の放射性物質の場合,海水中の放射性核種の濃度に対する,生物体に含まれる放射性核種の濃度の比がこれにあたる。 国際原子力機関は,海産のプランクトン,海藻類,甲殻類,軟体動物,魚類,一部の哺乳類などについてCF値をまとめているが,それによると,放射性核種や生物種,また同じ生物種でも組織・器官,成長段階,さまざまな環境条件によってCF値は大きく異なる。 放射性セシウムの場合,海藻と甲殻類の平均的なCF値は50,魚類では100とされている。 いっぽう,放射性ヨウ素の場合,海藻のCF値が1万,甲殻類と魚類が10以下とされている。 残留性有機汚染物質(PCBなど)では,甲殻類や魚類におけるCF値として数万〜十万という値が報告されているが,これと比べると,放射性核種のCF値は一般に2〜3桁小さい。


汚染物質が濃縮するプロセスのうち,特に食物連鎖を介しての濃縮をバイオマグニフィケーションとよぶ。 海洋では植物プランクトンを出発点とし,それが動物プランクトン,小型魚,大型魚へとつながる食物連鎖が存在する。 いま,ある餌に含まれる放射性核種の濃度に対して,その餌を食べる捕食者の放射性核種の濃度が高くなれば,バイオマグニフィケーションが起きたと判断される。 放射性セシウム半減期30年)では,小型魚において,餌に対して2倍程度の濃縮が起こるという報告がある。 ただし,大型魚や海産哺乳類など食物連鎖の上位の生物で濃縮が起こるかどうかはよく分かっていない。 放射性ヨウ素半減期8日)では,食物連鎖を通過する間に放射能が大幅に減衰するため,バイオマグニフィケーションによって上位の生物に放射能の蓄積が起こるとは考えにくい。 海が放射性物質で汚染された場合,さまざまな水産資源に放射能がどう蓄積するかを見積もるには,生態系における各種の放射性核種の挙動や生物濃縮をきちんと評価する必要がある。

http://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/story/newsletter/keywords/31/08.html  より




放射性核種、また生物種によってCF値が変わり、一概に生物濃縮の危険度を導けないということですね。生物濃縮係数は(Concentration factor,CF)です。思うに、東大理学部は、工学部に比べ、企業からの「ひも付き」援助金は少ないと思いますので、原子力工学科の大部分の教授のような御用学者は少ないか、と思いたいのですが。


以下は引用の引用なので、さほど私の視点は確立されていません。まあ、引用元のブログはかなり精緻なものなので、そちらを見てくださいね。



濃縮係数


水生生物に関する放射性核種の濃縮係数は、その生息環境すなわち生息水との関連で表される。
放射性核種濃度が一定を保っている場合、水中に生息する生物が次第に核種を体内に取り込み、数10日から数100日ほどの期間を経て、最終的に生物体内と環境水との濃度平衡が達せられたとき、濃縮係数は次の式で表される。


濃縮係数=生物中の放射性核種濃度/水中の放射性核種濃度


濃縮係数は、このように一定の環境条件の下における最大の濃縮を表した数値であり、水生生物を食品として人が摂取した場合、被ばく線量を求めるための重要なパラメータの一つである。
また、濃縮係数は、一定条件下では水中の濃度にかかわらず一定の値を示すものとして「係数」とされているが、水中濃度が極端に高く、生物の正常な蓄積能力を超える場合や物質の毒性などの影響により生物の生理機能が阻害される場合には、正しい値が得られないため、十分な検討が必要である。生物の種類や核種によっては、濃縮が生物の全身に均一ではなく、むしろ普通に見られる現象であるが、筋肉、骨、肝臓などといった臓器や組織に高くなる場合が認められるため、濃縮係数は生物の全身に対して求めるばかりではなく、器官や組織別に求める場合も多い。



◇魚の濃縮係数

セシウム  50〜100
ヨウ素     10
ウラン     10
プルトニウム  3,5
水銀   360〜600
DDT    12000
PCB 1200〜1000000




「海産生物の濃縮係数」について、以下のブログを参照してくだだい。


http://blog.livedoor.jp/tacodayo/archives/5184167.html  より


ここで、CF値の難点や着目点を挙げると


1) あくまで汚染物質の「相対的な」比率なので、海水の汚染物質濃度が上がれば、魚の体内の
汚染物質濃度も上がると思われること


2)魚介類の指標なので、人間についての指標とは言いにくいこと


3)PCB、DDTなどの有機塩素化合物の体内濃縮度は非常に高い。これは魚の体内の脂肪分に選択的に存在するからだろう。おそらくダイオキシンも。(この点は、かなり妥当。)


4) 水俣病の原因物質、水銀(Hg)は他の金属元素より濃縮度が高い。メチル水銀の場合も同様だろう。この特性が水俣病を起こしたのだろう




今日のひと言:素人には理解しにくいこの分野、学者には誠心誠意を持って社会的な責任を果たして欲しいと思います。




水圏生態系の物質循環

水圏生態系の物質循環




今日の料理


ゴーヤチャンプルー





わが家でもニガウリゴーヤ)が好きで、暑い時期の一品として「ゴーヤチャンプルー」を食べます。数年前まで庭で作っていましたが、採れすぎるので栽培用には「雲南百薬」を使い、ゴーヤはスーパーで買っています。


わが家では、主にゴーヤ、豆腐、クコの実などを使い、卵は入れません。なるべく簡単な料理を心がけています。あと、ショウガの細切り、カツオ節、ナンプラー、醤油を使って炒めました。
(弟作)

 (2014.07.25)




クサギピリ辛炒め




これまでも何回か取り上げているクサギ。今回は味付けの際、七味唐辛子を入れて辛くしてみました。

http://d.hatena.ne.jp/iirei/20130524#1369369540  など。


 (2014.07.26)





@ラム肉料理のエゴマの葉巻き







ラム肉は以前も紹介した「ヌタ風」のものですが、これをエゴマ(荏胡麻)で巻いて食べます。もちろん、牛肉でもOKです。韓国ではエゴマはありふれた食材で、青紫蘇に似ていますが、風味はちょっと穏やかです。この植物のタネから採れる「エゴマ油」は、海の魚に含まれるDHAEPAなどに転化できるα-リノレン酸を含み、青魚を十分に摂れない山間部では、貴重な食材で、こぞって栽培し、種をすりおろして和え物に使っていました。


なお、エゴマと青紫蘇は、どちらも英語で「ペリル:peril」と呼ばれます。で、シソの芳香成分は「ペリルアルデヒド」です。ついでに、ドクダミの芳香成分はラウリルアルデヒドデカノイルアセトアルデヒドであると言います。アセトアルデヒドは、二日酔いの人が放つ熟柿臭の主要成分です。

 (2014.07.26)






今日の一句


わが家でも
ルーに食いつく
キャタピラア







ブログ友達のwhitewitchさんがベランダのレモンの木に付くナミアゲハの幼虫を大事になさっていますが、レモンと同じミカン科のルーヘンルーダ)にもアゲハの幼虫(キャタピラア)が付いていました。さて、鳥に見つからずに成虫になれますか?


http://d.hatena.ne.jp/whitewitch/20140723 参照


 (2014.07.24)





今日の驚愕


2日ほど前話題になった、佐世保で高校1年生の少女を同級生の少女が殺害し「人を殺してみたかった」と言っていたのにも驚きましたが、それに先立って表面化した、倉敷の5年生の女児を誘拐し、自宅で監禁し、発見されたとき、関係を訊かれたら「妻です」と答えたという藤原武(49)、なんでも「理想の女性にしたかった」とほざいていたそうです。・・・お前は「光源氏」か?・・・女はますます凶暴になり、男はますますバカになる・・・

 (2014.07.29)