虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

社会主義国キューバの「平等」

いろいろな社会主義国共産主義国がつぎつぎと破綻・転向するなかで、カリブ海の島国・キューバは世界でもっとも成功した社会主義国であると言われます。その中身を見て行きましょう。


今回参考にしたのは「小さな国の大きな奇跡 キューバ人が心豊かに暮らす理由」(吉田沙由里:WAVE出版)です。吉田さんは、現地で暮らして見聞を広めるというスタンスで、ちょうど民俗学のレポートを書いている感じです。


 まず、経済についてですが、必要最小限の食料に関しては低価格で国民全員に配給しています。キューバでは国民全体が国家公務員であり、公正な所得が与えられます。医師や教師でも一月の所得は400MN=2000円程度。キューバでは2つの通貨があり、「ペソ・クバーノ=MN」・国民が一般的に使用する、と外国人用の「兌換ペソ=CUC」で、
1CUC=24MNになっています。アメリカとの軋轢で、それまで米ドルが流通していましたが、CUCに切り換えたとのこと。


 次に、教育についてですが、教育費はだれでも「平等に」無料です。どんなタイプの仕事を目指そうが、国家が援助します。だから教師になる意欲がある者にはその道が開けますし、医師になる意欲がある者にもその道が開けます。大学院で学ぶ者も無料で学べます。この設定なら、日本などの「自由競争」をくぐらなくても、優れた人材が生まれることになるように思えます。なお、キューバでは「性教育」が力をいれて実施されていて、健全な男女交際について正しく伝えようとしています。


 それから、医療についてですが、医療費もだれでも「平等に」無料です。キューバは、このように、資本主義的国家より、国民に優しい政策を多々採っているのですね。それだけではなく、「ラテンアメリカ医科大学」という機関を創立し、ほかの医療が未発達の国々に医療の火を点すべく、留学生を受け入れますし、各国に大学の分室を建設したりしています。国自体、いまだアメリカの経済封鎖のため、苦しい状態だろうに、この「博愛」精神は素晴らしいと思います。


なお、なぜアメリカがキューバをイジメ続けるかといえば、1959年のキューバ革命後富裕層が大挙キューバからマイアミあたりに20万人から亡命し、いまでもキューバの現体制を呪い、アメリカの大統領選挙にもフロリダ州において一定の圧力をかけるからだとか。キューバに残してきたのは、我々の所有物だというわけです。


 さて、2006年に体調を崩し、弟のラウルに政権の実権を譲ったフィデル・カストロについて、キューバ国民はおおむね親愛の情を抱いていますが、フィデルに対し、愚痴を言う女性とか批判的な若者もいます。でもそれは親への反抗期だ、とも位置づけられるようです。でも、チェ・ゲバラと並ぶ革命の英雄がこの世を去ったら、キューバの社会体制も変わるかもしれませんね。


 それに関連して、キューバの国民は、副業を持っていて、その収入の多寡により「経済格差」が生まれつつあるとの記述もありました。ブラック・マーケット(闇市?)も盛況を呈しているらしいですね。まあ、国民としては、なにより食料が欲しいのでしょう。


 ここで、別の視点からキューバ社会を見たブログを引用します。


 深夜に街をうろついていると、ある男性が近寄ってきました。彼は旅行者向けのガードマンの仕事をしており、スペイン語、英語、ギリシャ語など5カ国語を話せるとのこと。裏の顔として、旅行客向けに売春のあっせんもしているとのことでした。キューバでは、1人の人間が複数の収入源を持つことは珍しくありません。


 「一晩の値段はいくらか」と聞いてみると、60ドル程度だと言っていました。この売春婦は、それなりの教育を受けた女性だそうです。複数の資料が報告するところでは、キューバでは職がないがために、売春を行う女性も多数いるそうです。


 「(女性は)いらない」と断り、彼の生活水準についていろいろと質問してみました。やはり月収は10数ドル程度で、ネット環境はなし。会話の端々に、我々旅行者からなんとかしてチップをもらいたい様子がうかがえます。「海外に行きたいか」という問いには「ふーっ」と遠くを見つめながら「海外に行きたくない人間なんて、いないよ」と寂しそうに答えていました。

ロサンゼルスMBA留学日記・番外編:「今すぐ海外に行きたい」
 :http://bizmakoto.jp/makoto/articles/0706/05/news005.html

配給されるサラリーが少ないがための悲劇ですね。


今日のひと言:共存共貧を選んだキューバフィデル・カストロ清貧のままで、中国の温家宝のようなファミリーで2000億円超の蓄財のようなことはしなかったそうです。それはある意味立派なことです。



小さな国の大きな奇跡~キューバ人が心豊かに暮らす理由~

小さな国の大きな奇跡~キューバ人が心豊かに暮らす理由~

したたかな国キューバ―シジョンは揺れても倒れない

したたかな国キューバ―シジョンは揺れても倒れない



今日の料理


ピータンと新生姜のマヨネーズ和え







この料理は新生姜と茹で卵のレシピだったのですが、卵をピータンに置き換え作りました。
なお、ピータンについては wikiより


皮蛋(ピータン)は、アヒルの卵を強いアルカリ性の条件で熟成させて製造する中国の食品。鶏卵やウズラの卵などでつくられる場合もある。高級品には白身の表面にアミノ酸の結晶による松の枝のような紋様がつくことから、松花蛋と呼ぶ(「花」は“紋様”を意味し、全体として「松の紋様の卵」の意)。

ピータンは製造過程で蛋白の凝固を促進するため「黄丹粉」と呼ばれる一酸化鉛の化合物を使用する。1971年に台湾大学の劉伯文教授がピータンには人体に有害な鉛成分が含まれるとの研究結果を発表し、以来黄丹粉を使用しない「無鉛ピータン」と銘打った製品が流通するようになった。だが別種の鉛化合物が使用される場合があるなど、ピータンの食べ過ぎは鉛中毒の危険があり注意が必要である。


・・・食べ過ぎないようにすることですね。味は一級品ですが。

 (2014.06.18)




クサギパクチーの炒めもの




クサギは葉が食用になる雑木です。これまでも取りあげました。

http://d.hatena.ne.jp/iirei/20140509#1399577737

  :智恵子の見た空〜智恵子抄より   ほか


で、今回は、クサギ単味ではなく、ほかの食材と組み合わせたらどうか、ということで、パクチーコリアンダー)と合わせて炒めました。鮮烈な風味が付いて良いようです。クサギはとても生命力・繁殖力が強いので、枯らすつもりで幹を切っても、その切り口から再び芽吹きます。だから、春先だけでなく夏になるまで(あるいは秋になっても)食用としての葉が収穫できるのです。

 (2014.06.19)




@豚肉のソテー・タイム風






わが家では、豚肉のソテーのシーズニングには、もっぱらセージナツメグを使いますが、今回は、育てていてもスープ料理以外には使っていなかったタイム(thyme)を使いました。キリッとした風味が良かったですね。小ぶりな木(草というには枝が木質化しています)。


参考過去ログ:  http://d.hatena.ne.jp/iirei/20060110

 (2014.06.20)




今日の一句


抜け替り
ダンダラ模様の
タエコかな




犬は年2回、被毛が生え変わるようです。今回も、綺麗な毛並みがunder constructionです。

(2014.06.21)