虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

「ゆるキャラブーム」の後に来るもの



ひこにゃんwiki) →




彦根市のマスコット・キャラクターである「ひこにゃん」を嚆矢として、全国あらゆる自治体がマスコット・キャラを作っています。Wikiを参照すると


江戸時代に同地にあった彦根藩の2代目藩主・井伊直孝に縁(ゆかり)ある1匹の白猫をモデルとしている。造形的には戦国武士の兜をかぶり、おおよそ3等身で直立二足歩行をする、猫をデフォルメしたキャラクターである。なお、兜は井伊の赤備えとして有名な井伊家の伝来品をモデルとしている。


「国宝・彦根城築城400年祭」のキャンペーンやグッズ等で登場し、その「ゆるさ」が話題を呼んだ。近年の「ゆるキャラ」ブームの火付け役として知られている。


経済的な利用方法として、キャラクターを使用する際に通常必要な著作権使用料を当初無料の許可制にすることで個人・企業を問わず広く参加でき、築城400年祭を盛り上げる効果を狙うという新しい試みが行われた。著作権使用料を無料にすることで小規模企業を含めた様々な企業が参加し、イベントを通じて地域おこしを図る試みとして経済界からも注目された。


ひこにゃんグッズとしては、普段は目につきにくい伝統工芸品の銅細工を始め、彦根の特産品や菓子など、様々な商品が閉幕後も販売され、観光客などに喜ばれている。さらに、全国的な認知を得てインターネットなどでも商品が販売された。反面、築城400年祭自体の認知度が「ひこにゃん」に追いついていかなかったという課題も発生した。

なるほど、かなり戦略的なキャラクターだったわけです。そして、ひこにゃんの成功後、全国各地で「ゆるキャラ」が作られていますが、その定義について、wikiを見てみますと、

ゆるキャラ」の提唱者であるみうらじゅんは、あるキャラクターが「ゆるキャラ」として認められるための条件として、以下の三条件を挙げている。
1. 郷土愛に満ち溢れた強いメッセージ性があること。
2. 立ち居振る舞いが不安定かつユニークであること。
3. 愛すべき、ゆるさ、を持ち合わせている事。


これに加えみうらは「原則として着ぐるみ化されていること」も条件に挙げている。また、郷土に由来する「いろんなものを盛り込みすぎて、説明されないと何がなんだか分からなくて笑いを誘うような」ところ、突っ込みどころの多く「とんちんかんな」ところ、プロが「商品開発のことを考えて、リサーチしたり」せず、行政や市民といったキャラクター作りの素人が作るがゆえのゆるさ、なども指摘する。


条件に「郷土愛」が含まれていることからもわかるように、みうらの想定はあくまで「地方の村おこし・地域振興のためのキャラクター」であり、この定義に従えば全国展開する大企業のプロモーションキャラクターは対象に含まれない。しかし、2009年の『ゆるキャラまつり』にはNTTドコモの「ひつじのしつじくん」のような大企業のキャラクターも参加を認められており、対象の範囲はやや曖昧になりつつあるのが現状と言える。ただし『ゆるキャラまつり』の実行委員会では、このようなキャラクターの参加を認めるものの、イベント協賛企業のキャラクターとして明確に区別しているため、一応「ゆるキャラ」との線引きをしていると言える。


ただ、私はこの「ゆるキャラ」ブームには懸念を抱きます。「ひこにゃん」をはじめとするキャラクターたちは確かに可愛いですが、このようなキャラをあらゆる人が賞賛し、愛する世相・・・昔は「エロ・グロ・ナンセンス」という言葉が日本を覆いましたが、このあとすぐに日本は軍事的に海外進出するようになり、つまりは軍国主義化したのです。


現在、「エロ」と「グロ」はネット上で体験することも可能でしょう。そうすると「ナンセンス」という言葉は「ゆるキャラ」を可愛いとする姿勢に該当するでしょう。ゆるキャラにはなんの意味もありませんから。・・・だから「ナンセンス」。現代は「女性の時代」と呼ばれます。「優しさのあふれる」時代。でも、それも極限まで行くと、「残酷な」時代・・・「男性の時代」に変わるのでしょう。社会的不公平、戦争の時代が来る気がしてなりません。


この種の変化は、中国哲学易経(えききょう)に詳しく書いてあります。また、老子第2章を見ると、「天下すべての人がみな、美を美として認めること、そこから悪さ(みにくさ)(の観念が)出てくる。(同様に)善を善として認めること、そこから不善(の観念)が出てくるのだ。」(小川環樹訳注:中公文庫)とあります。みんながみんな「ゆるキャラ」を持てはやす危険性に警鐘を鳴らす文だと思います。


今日のひと言:昔は人間が中にはいるものをも「ぬいぐるみ」と呼んだ気もしますが、現在では「きぐるみ」というようですね。いつから呼び名が変わったのでしょうか?


ゆるキャラ論 ~ゆるくない「ゆるキャラ」の実態~

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ゆるキャラグランプリ公式ランキングブック 2012-2013 (扶桑社ムック)

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今日の料理


 @ラムと玉ねぎの炒めもの+塩麹

我が家ではラム肉が好きでよく食べますが、オーブンがないこと、薄切りのものしか入手できないことから、炒めて食べることが多いです。たまに湯に通してポン酢で食べたり、牛丼風にして食べることもありますが。今回はラムと玉ねぎとローズマリーを合わせて炒め、仕上げに塩麹(しおこうじ)を加えてみました。(なお、ローズマリーはラムに特異的に合うハーブとして有名です。)

 (2013.04.03)



今日の二句

風吹きて
川に流るる
桜かな


読んでの通りの句です。・・・落花流水

 (2013.04.03)


もう一句・すこし手を加えて


風吹けど
川に流れぬ
桜もが


・・・風が吹いても散らない桜だったらなあ、という意味です。

 (2013.04.03)