ここに、ユニークな本があります。「図説 世界のくだもの366日事典」(新宿高野社長室長・天野秀二:講談社α文庫)。この本では世界の様々な果物を毎日1ページに1個取り上げていますが、取り上げられる果物たちを植物の科によって数えてみると、バラ科の果物が最多の83種、ミカン科が62種と、この二つが突出しています。続いてブドウ科の20種、ウリ科の18種、カキノキ科が14種、フトモモ科が9種と続きます。

図説 世界のくだもの366日事典 (講談社プラスアルファ文庫)
- 作者: 天野秀二
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1995/09
- メディア: 文庫
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これら挙げられている果物の総数を計算すると312種となり、表題の366日と異なりますが、この差はたまに取り上げられている果物のフォークロアのようなものを考え合わせると妥当かな、と思います。(差は54日です)
驚くことに、毒草の多いキョウチクトウ科の果物もあり、また果物の「魔王」・ドリアンは酒と食べ合わせると死ぬこともあるとされている点が面白いです。また、ナス科の植物のなかにも、果物扱いされる種類のものがあるのだとか(ペピーノ)。タデ科の果物「シーグレープ」の場合、見かけも味も本物のブドウ(グレープ)と見分けが付かないとか。
さて、先に挙げた掲載数ランキングの一位「バラ科」の場合、属する果物が圧倒的に多いですね。リンゴ、サクランボ、イチゴ、ビワ、桃、スモモ、ネクタリン、梅、アンズ、プルーン、ナシなど。これだけ有名な果物を含んでいれば、ダントツの一位になるのも解る気がします。二位の「ミカン科」の場合、見た目に似た外見なのに、風味が均一ではないので、人気があるような気がします。
特に、ミカンの「基本」・温州みかん(ウンシュウミカン)については、日本人にもっとも馴染んだミカンであると考えられます。wikipedia から引用しますと、
日本の代表的な果物で、バナナのように、素手で容易に果皮をむいて食べることができるため、冬になれば炬燵の上にミカンという光景が一般家庭に多く見られる。「冬ミカン」または単に「ミカン」と言う場合も、普通はウンシュウミカンを指す。
甘い柑橘ということから漢字では「蜜柑」と表記される。古くは「みっかん」と読まれたが、最初の音節が短くなった。「ウンシュウ」は、柑橘の名産地であった中国浙江省の温州のことであるが、イメージから名産地にあやかって付けられたもので関係はないとされる。
欧米では「Satsuma」「Mikan」などの名称が一般的である。 タンジェリン(Tangerine )・マンダリンオレンジ(Mandarin orange) (学名は共にCitrus reticulata)と近縁であり、そこから派生した栽培種である。
(中略)
中国の温州にちなんでウンシュウミカンと命名されたが、温州原産ではなく日本の鹿児島県(不知火海沿岸)原産と推定される。農学博士の田中長三郎は文献調査および現地調査から鹿児島県長島(現鹿児島県出水郡長島町)がウンシュウミカンの原生地との説を唱えた。
鹿児島県長島は小ミカンが伝来した八代にも近く、戦国期以前は八代と同じく肥後国であったこと、1936年に当地で推定樹齢300年の古木(太平洋戦争中に枯死)が発見されたことから、この説で疑いないとされるようになった。発見された木は接ぎ木されており、最初の原木は400 - 500年前に発生したと推察される。中国から伝わった柑橘の中から突然変異して生まれたとされ、親は明らかではないが、近年のゲノム解析の結果クネンボと構造が似ているとの研究がある。
(中略)
柑橘の原種は3000万年前のインド東北部のアッサム地方近辺を発祥とし、様々な種に分化しながらミャンマー、タイ、中国等へ広まったとされる。中国においては古くから栽培が行われており、戦国時代に完成したとされる文献『晏子春秋』には「橘化為枳」(橘、化して枳と為る。境遇によって元の性質が変化するという意)との故事が記されている。
まあ、とにかく、日本人の味覚にもっとも適合したミカンであると思います。最初の産地の名称から、英語では「SATSUMA」と呼ばれるのですね。あるいは単に「MIKAN」とも。また、温州みかんは、自己不稔性という特長がありますが、異種のミカン類、たとえばオレンジと配合すると、タンゴールという品種になります。この柑橘類は温州みかんのように皮を剥きやすく、オレンジのように多汁、甘み、芳香があります。「清見オレンジ」というのもこの仲間です。また、愛媛県の柑橘類を代表する「伊予柑:いよかん」も、タンゴールの一種であるそうです。
今日のひと言:私は幼少期、愛媛県にいたので、ミカン類をリンゴ類より愛します。幼児の頃からの刷り込みであるかも知れませんね。

- 作者: アダム・リースゴウルナー,Adam Leith Gollner,立石光子
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バナナの世界史――歴史を変えた果物の数奇な運命 (ヒストリカル・スタディーズ)
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今日の詩
Rich & poor
私がマンガクラブに入りたての頃
クラブ員の女性と会話した
彼女:私はrichに行きたいな
私:僕はpoorに行きたい
それぞれどんな意味か語り合ったところ、
「同じことを言っているみたいね」
との結論になった
その後暫くしてから
私たちは恋愛関係になったが、
Rich と poorの意味は
まったく違っていた!
すったもんだの末
私は彼女と別れた。
(2013.01.10)
今日の一句
犬散歩
雪に残りし
カラス足
おりからの雪、我が家の犬・タエコを散歩させていたとき、真っ白な雪の上を引っ掻いたような足形がついていました。残念、我々が最初の来客ではなかったようです。
(2013.01.14)