虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

オカヒジキ、オカジュンサイ〜「岡**」と言われる植物たち

 れっきとした陸上植物なのに、味覚や食感が海とか水辺に生える植物に似ているという理由で、「岡**」と呼ばれる植物がいろいろあります。今回はそれらの植物を取り上げてみようと思います。他にも、海のもので陸上のものを言い換えたようなものなども取り上げます。


@1:オカヒジキ・・・アカザ科一年草。植物体が葉も含めて長く、ちょうど海藻のヒジキに似ているというのでこの名が付きました。てか、私は、この植物については別名を知らないです。オカヒジキの場合は、食感という点ではヒジキにあまり似ていません。テンプラの具としてはなかなか乙なものです。


@2:オカジュンサイ・・・タデ科多年草ギシギシスカンポ。やや湿気った川岸などに生える。葉も食用に出来ますが、春先の新芽にはぬめりがあり、オヒタシにすると非常に美味しい。この部分の食感が面白いです。ところでジュンサイスイレン科)という、水草で、ぬめりある新芽を賞味する植物があり、これから「オカジュンサイ」と命名されました。


@3:オカノリ・・・アオイ科一年草、ないし二年草。花が目立つ他のアオイ科植物(タチアオイ、オクラ、コットン、ハイビスカスなど)とは異なり、花は極めて地味な植物です。この植物については以前も触れましたが、収穫した葉を普通に茹でていては、美味しくなりません。通常の野菜の4,5倍の時間茹でると、ヌメリが出てきて、非常に美味しいです。この辺から、海で取れる海苔のように感じられるのでオカノリというようです。我が家の定番野菜です。



おかのり


http://d.hatena.ne.jp/iirei/20090604#1244112704

:おかのり・・・超美味しい丘の海苔


@4:オカワカメ・・・ツルムラサキ科多年草雲南百薬とも称されます。名前の如く、ビタミン、ミネラルの宝庫で、優れた薬効も持つ植物です。原産地は意外に、中南米です。これはツル草で、夏季にグングン伸びます。


 茹でて20分くらい水に晒すのがいいです。(ツルムラサキ科なら、とうぜんシュウ酸も含まれているでしょうから。)その味は、確かにワカメのようにぬめっとした風味で乙です。私は「ゴマ油(ないしスリ胡麻)と醤油+カツオ節削り」で和えて食べます。なお、秋に咲く花には、ジャスミン様の芳香があります。この野菜は、ゴーヤニガウリ)の次に世間に広まるものでしょう。注目すべき成長株です。


雲南百薬

和え物

@5:木耳キクラゲ)・・・これはキノコであり、植物ではありませんが、海の「くらげ」を陸上の木に仮託しているので挙げました。そのシコシコした食感は、正に「エチゼンクラゲ」に似ていますし、木から栄養分を吸上げているので、栄養価も非常に高いですね。(ビタミン、ミネラルが豊富)ただ、中国の企業が、黒キクラゲであることをより印象付けるため、黒い塗料を製品に塗りたくっていたというニュースを聞き、中国産のキクラゲは買わないことにしていますが、美味しく食べられる食材なのに残念です。


こう見てくると、陸上で「岡**」と名のつく植物には、ヌメリ、ないしねばねばを持つものが多いですね。


以下は海のものを陸上のものに擬えたもの。


@6:海参(かいさん)・・・棘皮動物・ナマコのこと。この生きものは驚くほど栄養価が高く、あたかも陸上の「朝鮮人参」ないし「オタネ人参」を彷彿させるのでこの名が付いた。海の人参で「海参」。

http://d.hatena.ne.jp/iirei/20120708#1341741897

:薬用成分の容器としての動植物


@7:シーグレープ・・・英語名:shore grape。「海のブドウ」。タデ科の食物で、海辺に生えるが、本家ブドウに味も形もそっくりな果実を実らせる。西インド諸島やアマゾン流域の原産といわれ、海辺や川辺を好んで生育することからこの名がついたらしい。現在ハワイとかオセアニア、東南アジア地域でも栽培されているとか。生食で、ブドウより爽やかな味であるといい、酒も醸造できるという。あと、ゼリーに加工される。(「世界のくだもの366日事典」:天野秀二・講談社+α文庫)なお、海藻の「ウミブドウ」とは別物です。


他にもあるかも知れませんが、現在私が挙げられるのは、こんなところです。


今日のひと言:私、いちどでいいから、「シーグレープ」を食してみたいのですが、稀少なのでその願いは叶えられそうもありません。←「得難きの貨は求めるな」(老子


追記:もう一例思い出しました。@8:ウミホオズキ・・・ある種の貝の「卵のう」のこと。陸上のホオズキ(酸漿)と同じく、口に含んでもてあそぶ玩具のようになります。


今日の一句

小さいと
言えどみごとな
花二輪



 庭のツワブキに花が咲きました。地味かも知れないが、それなりに威厳のある花・・・「二輪草」と呼びたいけれど、その名の野草はすでにあります。

   (2012.11.19)

元気が出るねばねばパワーレシピ

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