花由来ではない蜂蜜・・・甘露蜂蜜
ことし、山田養蜂場から、珍しい蜂蜜を購入しました。それは、ミツバチが花から花へと経巡って採取する花の蜜ではなく、花のない森の中、樹とか草に寄生する虫たち・・・例えば「アブラムシ」「カイガラムシ」の分泌する甘い汁を分けてもらって巣にミツバチが持って帰り、あとの熟成はミツバチが行うという蜂蜜なのです。
説明書にいわく
“森の蜜”甘露蜂蜜
ヨーロッパなどでは「森の蜜」と呼ばれ、伝統的に家庭で使われているものもあります。
さまざまな木の樹液や植物に寄生する他の昆虫が出す分泌物をミツバチが集めたものです。
ドイツで“モミの蜂蜜”といえば最高級に属するものですが、その正体はモミに寄生する昆虫の分泌物をミツバチが集めた甘露蜂蜜です。
ミネラルが多いため色が濃く、はちみつと比べてショ糖が多く、麦芽のような香りがします。
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甘露蜂蜜の特徴
香り 樹液由来の多種の精油を含む独特の芳香があります。
色 亜鉛、鉄、マンガン、銅などのミネラルを含んでいるので濃い色が特徴です。
味 柔らかな甘さと程よい酸味があり、独特の深みをもった味です。
原産国はルーマニアです。
私の場合、「話のネタにと、思い」入手してみましたが、あの汚らしいと思われる虫たちが分泌するジュースといえば、なんとなく手を出さない人も、拒絶反応をする人もいるでしょうが、私が賞味した限りでは、ちょっと色が褐色で濃い蜂蜜に思えましたが、風味は決して悪いものではありませんでした。美味しいです。色が濃いという基準で選ぶと、ソバの蜂蜜とかコーヒーの木の花の蜂蜜のほうがより黒に近いです。↓実物
ちょっと関心が湧いたのは、なぜ昆虫たちが甘露を分泌するか、です。これについてはwikipedia で「カイガラムシ」について調べてみると、
もうひとつカイガラムシに特徴的な形質は体を覆う分泌物で、虫体被覆物と呼ばれる。虫体被覆物の主成分は余った栄養分と排泄物である。多くのカイガラムシが食物としているのは篩管に流れる液であり、ここに含まれる栄養素は著しく糖に偏った組成となっている。これをカイガラムシの体を構成する物質として同化すると、欠乏しがちな窒素やリンなどと比して、炭素があまりにも過剰になってしまうので、これを処理する必要がある。処理の手段の一つは食物に含まれる過剰の糖と水分を、消化管にある濾過室という器官で消化管の経路をショートカットさせて糖液として排泄してしまうことであり、この排泄された糖液を甘露という。また、体内に取り込まれた過剰の糖分は炭化水素やワックスエステル、樹脂酸類などといった、蝋質の分泌物に変換されて体表から分泌され、虫体被覆物となる。カイガラムシの種類によっては、甘露などの消化管からの排泄物を体表からの分泌物とともに虫体被覆物の構成要素としている。
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また、特殊な利用に糖分を多く含んだ排泄物の利用がある。旧約聖書の出エジプト記にしるされているマナと呼ばれる食品は、砂漠地帯で低木に寄生したカイガラムシの排泄した排泄物(甘露)が急速に乾燥して霜状に堆積したものと推測されている。
なるほどーー、という感じですね。大本は樹液であること、案外ピュアな食品ですね。また、樹液由来の複数の精油(エッセンシャルオイル)を含むという事実も、おもしろいです。
今日のひと言:カイガラムシって、案外人間の役に立つのですね。そう言えば、コチニールという鮮やかな色素を採取するのも、このカイガラムシの仲間からでした。
山田養蜂場について関心がおありな方は以下に連絡してください。なお、関東圏のテレビ東京でミニ番組「ビー・ミュージアム」を提供しています(水曜日、午後8時54分−9時、ないしはBSジャパンで金曜日、午後6時25分―6時半)。
TEL:0120−383−830
http://www.3838.com
過去ログで「山田養蜂場」に言及したもの
酒二題――ミードとシャルトリューズ・その悦楽
http://d.hatena.ne.jp/iirei/20070228
「コーヒーの木の花」の蜂蜜(はちみつ)
http://d.hatena.ne.jp/iirei/20090903
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