虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

日本と中国の原子力発電所事情

2009年の「週刊文春:8月27日号」を見ていたら、怖い記事がありました。9月ころ、首都圏でマグニチュード7,8クラスの大地震が起こるかも、というものでした。その際、警戒すべきは浜岡原子力発電所原発)であると。この原発は、地震被害がハンパではないと予測される静岡「御前崎」にあるものです。災害が起きる、起きると騒ぐのは、週刊誌の悪い癖ですが、別のHPから、以下の文章を引用します。

いつ発生してもおかしくないと言われる東海・南海・南西地震。この地震の発生域は日本の中枢の太平洋ベルト地帯を襲うM8以上の恐るべき巨大地震です。交通機関の被害だけでも東海道新幹線東名高速道路など、日本の基幹動脈が全滅するのは間違いありません。

 また、震源上の静岡県御前崎市にある浜岡原子力発電所は出力約500万KWの大型の原発で、地震によってこれがメルトダウン(炉心溶解)した場合には、数千万人が被爆し、正に日本全体が再起不能の凄惨な状態に陥る可能性があると言われています(他の原発も同様ですが)。


 奇跡的にメルトダウンが起きなかったとしても、地震をきっかけに、一千兆円と言われる膨大な財政赤字を抱える円が暴落し、日本が破滅することは必至かと思います。(平成三十年;堺屋太一


 どう転んでも未曾有の不幸を日本に呼び込む恐るべき東海(南海・東南海地震)について、どう備えたら良いか気になる情報を集めてみました。

http://www.ne.jp/asahi/tokai/jishin/  より。(東海地震)

 中部電力は、「せめて、地震発生後まで操業はやめてくれ」、との市民の声に耳も貸さずに操業しており、もしメルトダウンし、数千万人を被曝させたとして、謝るコトバを原発推進派の人は持っているのでしょうか。「無責任体質の」役人も、中部電力関係者も「あれは、想定外だった」とか言って、なんの責任も取らないでしょう。もちろん、メルトダウンが起きたら、被害をこうむるのは、静岡県民だけではなく、関東地方・関西地方の人も同様でしょう。「首都圏も放射能雲に覆われる可能性がある」(週刊文春)、大丈夫なのは、北海道、九州くらいのものなのではないでしょうか?


 原子力行政でのし上がってきたのは、中曽根康弘氏です。彼は核武装を視野にしていたと思われます。・・・彼の迷言:(広島の被爆者に)「病は気から」とのたまったとのことです。原発推進派は、いまはどうだかわかりませんが、猛毒のPuプルトニウム)を、飲み込んでも胃腸を素通りするだけで「安全」と言っていましたが、実際、極微量でも、肺に入ったら、まちがいなく100%肺がんになる怖い物質なのです。(Puが半減するのは万年単位、ほぼ半永久的な被害を受けるのです。)これが、原発推進派のやりかたです。また、1995年、事故で運転中止となった高速増殖炉もんじゅ」は、冷却用に危険な金属ナトリウムを使う点、普通の原発より危険です。これをまた再開しようとしていますね。世界的に見れば、高速増殖炉から撤退している国も多いです。日本は、技術過信なのでしょう。

また、中国における原発についてですが、計画中も含めて夥しい数の原発があります。
http://news.searchina.ne.jp/topic/tepia.html

に地図つきで掲載されています。日本の原発は操業中55基、計画込みで69基ありますが中国では現在操業中11基に加え建設中8基、計画中8基の計27基です。(wikipediaより。なお、上記のHPでは、もっと多くの計画が計上されているようです。)中国の場合、特徴的なのは、普通の原発が海に面して設置されるのに対し、内陸の大河流域にも設置される計画が目立つことです。確かに、海とみまがう大きな川がある中国では、そんな立地も可能なのでしょう。そして、日本の原発が「加圧水型原子炉」「沸騰水型原子炉」が併用されているのに対し、中国のそれは「加圧水型原子炉」のようです。


 もし、この地域をいつかの四川大地震のような大震災が襲えば、原発メルトダウンし、この原発から発せられる放射能は、周辺地域を襲うでしょう。なんとおろかなことか。そういえば、中国沿岸の原発は人口密集地に建てられているのも注意したい点です。原発災害を意識していないかのような立地です。


 今日のひと言:古代中国の帝王・禹(う)は、水害を防ぐために、「川を流すに任せ、ダムという堰きとめ施設は作らない方針で」治水に成功しました。だけど今の中国は長江流域に大ダムを作り、またダムを発電用につかうという側面に注目すれば、原発もその延長上にあります。こんな現代技術の徒花(あだばな)を推進する点、中国はほんとうに「資本主義」国家になったのだな、と思わずにはいられません。あ、「環境破壊」を喜んでするという意味では資本主義、共産主義ともに五十歩百歩なのかもしれませんね。
 また、日本でも、鳩山由紀夫総理が、「環境に優しいので」原発を推進するといきまいていましたね。やっぱりバカだ、この男。こんなニュースも。

基本計画、原発十数基を新増設へ
3月20日(土) 17時50分配信
 経済産業省が策定中の、30年までのエネルギー政策の指針となる「エネルギー基本計画」の原案が20日、明らかになった。二酸化炭素(CO2)の排出量を削減するために、十数基の原子力発電所を新増設することや稼働率のアップを明記、さらに環境に優しい次世代自動車や自然エネルギーの普及も盛り込んだ。これまでの原油の安定確保に力点を置いた計画から、地球温暖化対策を一段と重視する姿勢に転換する。
共同通信
http://news.mag2.com/economy/40501/detail

地球温暖化より、原発事故の危険性のほうが格段にリスクが大きいと思うのですが・・・

また、室田武同志社大学教授(前一橋大学教授:計量経済学)の論で、「原発で得られるエネルギー」より、「発電後の核廃棄物の管理に要するエネルギー」のほうが大きい、という環境問題に関わった人には共通認識になっている立論があります。発電は当座のメリットですが、廃棄物管理は数万年に渡る営為=デメリットが要請されるということです。


浜岡原発の危険住民の訴え

浜岡原発の危険住民の訴え