虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

クコの実

iirei2009-11-04

  *クコの実

 クコの実→











(本編は以前エントリーしたブログのリライト版です)
 :http://d.hatena.ne.jp/iirei/20060909
(野草を食べる・滋味(JIMI)!!の記述から その1)


今回は、秋に実るクコの実がメイン・テーマです。


本日収穫する前に木についたまま、カメラに収めた「クコの実」です。
なにやら、真っ赤に熟したトマトを見ているみたいに思われるでしょう?


 それもそのはず、この2種はどちらも「ナス科」の植物なのです。この仲間の唐辛子も、カラフルですよね。
クコの実は、漢方薬としても有名で、実とか根などはよく漢方薬に処方されます。上品(じょうほん)と言って、どんなに多く処方しても害がない、という薬です。


 クコは四季に渡って、どこかが利用できます。春の新芽は「卵とじ」、ナスを小型にしたような夏の紫色の花はサラダに(ただし、花を摘むと、実はなりませんから、花を食べる人は贅沢ですね。)、秋の実は、炒め物に、冬の根っこは「地骨皮(ジコッピ)」とも呼び、漢方に処方されます。

そのクコの実の大きさですが、写真のように、これはせいぜい長径で5mm位、小さなラグビーボール状の「トマト」です。
味はトマトのほうがいいですが、クコ子(くこし:クコの実)は料理のアクセントにいいのです。(クコ子にはさほど味がありません。)


ナス科植物では、葉が食用になる種類はほとんどないですし、木本になるものも珍しいです。(ナスは、原産地インドでは多年草になるそうですが・・・)クコは、その珍しいナス科植物です。


 河原などの地下水位が高く、日当たりのいい場所に群生します。一本一本、真っ直ぐ伸び、そんな木が叢生します。互生する葉は若い時期は鮮やかな薄緑ですが、次第に濃い緑色になります。また夏季はウドンコ病にかかるようでシロカビが生えたようになり、この時期の葉は収穫できません。秋に再生して、また薄緑になり収穫できます。夏の花は、紫色でナスの花を小型にしたような花です。そして晩秋、トマトを小型にしたようなラグビーボール状の赤い実が成ります。大きさはレーズン程度です。
(調理法)

1) クコの葉の卵とじ  柔らかい枝ごと摘み、適当に刻んで、砂糖を適量混ぜた麺類のつけ汁を熱した中で30秒ほど茹で、とき卵を流しいれます。味はツクシでつくる卵とじに似ていますが、料理できる期間が長いです。野草の野趣が満喫できます。


2) クコ飯   クコの葉はあらかじめ軽く湯がいて、塩をまぶしておきます。これを炊き上がったご飯に混ぜて食べます。ただ、色が黒くなりやすいので、美的ではないのがうらみです。


3) クコの実  自然にあるものが入手できない場合、乾燥品が漢方薬局などで入手できます。お湯で戻して使いますが、赤い彩りを料理のアクセントとして、炒め物、和え物などに重宝します。クコの実は、スパイスとして扱われることがあります。


4) クコの根は、皮を剥き、その皮をホワイトリカーに漬ける。好みで砂糖をいれ、半年くらい置いておいてから、薬用酒として飲む。



ただ、最近の漢方薬、特に中国で栽培されるものは、連作障害を起している可能性も考えられ、あまり使わないほうがよいと感じます。むしろ、そこいらに自生している生薬を利用したほうがよいかもしれません。

* *叢生(そうせい)・・・株が群がって生えること。