虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

シュウ酸・・・身近で危険な酸


 「シュウ酸」は、かなりの種類の植物に含まれる酸です。めぼしいところでは、アカザ科(ホウレンソウ、アカザ)、スベリヒユ科スベリヒユ)、タデ科(ギシギシ、ソバ、イタドリ)、ヒユ科バイアムイヌビユ、アマランサス)、カタバミ科カタバミ)などに多く含まれています。カタバミ科タデ科以外はアカザ目の植物です。


 英語でいう「Oxsalic Acid」は、カタバミオキザリス)から抽出されたからこの名が付き、日本名・シュウ酸の「シュウ」とは「ギシギシ」に由来します。化学式:(COOH)2。


 このシュウ酸、大量に摂ると、「腎結石」「尿路結石」の原因になる「危険な酸」です。劇物指定されています。


これらの野菜、野草を食べるためには、ゆでたあと、水にしばらく浸し、シュウ酸を抜かなくてはなりません。


 シュウ酸はビタミンCが変化して出来たものです。だからビタミンCの多い植物は、かなりの頻度でシュウ酸を持っていることになるでしょう。ホウレンソウのように。



ここに耳よりな情報があります。
シュウ酸を含む植物を食べるとき、ミルクと食べるか、鰹節をまぶすかすると、酸とアルカリ(カルシウム)の化学変化が起き、シュウ酸がブロックできるというのです。その状態にすれば、体を「シュウ酸=カルシウム」結合体が素通りするのでラッキーなわけです。それをしないと、血液で体内を循環する過程で、アルカリ成分と反応を起こし、血管を通じて腎、尿路に行きつき、沈着して、症状を起こすのです。


実際、コーヒーや紅茶にも「シュウ酸」が含まれているので、ミルクをいれて、「ミルク・コーヒー」とか「ミルク・ティー」などは理にかなっているのですね。これは先人の知恵でしょうね。シュウ酸が入っているといえば、コーヒー、紅茶、ココア、緑茶、ウーロン茶にも含まれていますが、ミルクを入れて飲んだり、チーズを食べたりするのがいいのでしょう。ただ、これらの飲み物にあまりに神経質になる必要はないと思いますが。シュウ酸の特に高い含有量の食品に主として気を配ればいいのです。


タケノコの場合も、多くシュウ酸を含むので、ワカメと煮物にするという調理法は当を得ているんですね。ワカメにも多くカルシウムが含まれているのですから。


これも、「シュウ酸とワカメのカルシウムを中和させる」ということ。その際生成される塩(えん)は体を素通りして体外に排出されるのです。また、蕎麦(そば)を「ざるそば」で食べる場合も、刻み海苔がカルシウム源となって、蕎麦のシュウ酸をブロックするのでしょうね。これも良い組み合わせですね。いずれの場合も、シュウ酸とカルシウムが結合して「シュウ酸カルシウム」になるわけです。




今日のひと言:自然界の法則を経験に照らして真理にしていく、という行為は、「シュウ酸」についても成り立つようですね。あっぱれな理屈ですね。なお、以前「痛風」について書いた私のブログに書き落としがありました。


毎晩ビールを3リットル飲んでも痛風にならない?
http://d.hatena.ne.jp/iirei/20090302

というエントリーでしたが、ビールを毎晩3リットル飲むと、尿酸のほうはいいのですが、ビールにもシュウ酸が含まれていて、同じくシュウ酸を含むエダマメと食べ合わせるとまずいし、もっといえばビールをおつまみなしに3リットル飲むのも危険ですね。チーズとか牛乳のようにカルシウムが多く、かつプリン体が少ない食品を友にして飲むのがいいようですね。



今日の記述については、
http://www6.ocn.ne.jp/~syuneido/uro.htm・・・を参考にしてください。


各植物のシュウ酸含有量については、以下の2つのテキストを参考にしてください。


http://www.nal.usda.gov/fnic/foodcomp/Data/Other/oxalic.html (アメリカの研究機関作成)

http://web.shinonome.ac.jp/~miyada/nutrition/oxaseet.html(日本の研究機関作成)ただし現在不通




どちらを見ても、多かれ少なかれ、植物にはシュウ酸が含まれていることが解ります。そのことを知った上で、植物と付き合っていくのがいいでしょう。


尿路結石症の治療と食事療法―組み合わせ自由な新レシピ付き

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