虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

「加齢臭」の胡散臭さ・・・資本主義の論理

 (化学物質特集その1。一回置きにエントリーします。)


2008年11月18日配信の「weekly mag2」によれば、

は?加齢臭には…コレ?

先日、服屋で、いつもの店員さんに面白い話を聞きました!彼、まだ
若いのに、加齢臭に悩んでいたんですけど、会うと妙にサッパリと
しているんです!不思議に思いワケを聞いてみると・・・

「〈柿の渋み〉で体を洗っている」と。

は?柿の渋み??確かに、渋みって刺激的だから、良さそうだけど・・・。
なんでも店員さん、その情報を聞きつけ、その「渋み」を練りこんだ石けんを
使い始めたら、本当に感激したと。そこで、枕のニオイが 気になリ始めた
私も教えてもらい試すと・・ 「えーっ♪」本当に良い!モコモコの泡で、
確かにニオイもサッパリ!! もう、ホント良いものみつけちゃいましたよ。

その石けんのページ → (省略)

とあり、中高年の人なかでも主に40代以上の男性がこの「加齢臭」を放つというわけです。

それでは、Wikipediaで調べてみると以下のようになります。


加齢臭(かれいしゅう)は、中高年特有の体臭の俗称。
2000年12月11日に、資生堂の研究所により、中高年特有の体臭の原因が不飽和アルデヒドの2-ノネナール(C9H16O、分子量 140.223 g/mol、CAS番号 2463-53-8)であることが発見された。この体臭は、資生堂により「加齢臭」と言う名称が付けられた。
この体臭成分は、成分は青臭さと脂臭さを併せ持ち、男女ともに性差なく40歳代以降に増加が認められる。自身や自分の衣服から蝋燭・チーズ・古本のような臭いが一つでもしたら加齢臭と考えて間違いない。ノネナールの抑制には、ノネナールの基質となる脂肪酸である9-ヘキサデセン酸の分解を抑える抗酸化剤と抗菌剤が有効である。加齢臭自体は機能性香料またはミョウバン溶液で抑えることができる。


以上のように、「2−ノネナール」は、株式会社である「資生堂」が発見して、新たなビジネスとして展開しているのです。これって、それまで問題になっていなかった事柄を「問題あり」と言い換えることになると思います。この前やっていたNHK「ためしてガッテン!」でも、この「加齢臭」が槍玉に挙げられ、これを防ぐにはどうすればいいか、とやっていました。朝シャワーが良いらしいですがね。資生堂の金儲けの片棒を担ぐつもりか?「カメムシ」の匂いだとの評価が山瀬まみあたりから出ていましたが、ちょっと視点を変えると、「カメムシ」の匂い=コリアンダーパクチー、香菜:ハーブ)の匂いなのだから、場合によっては料理向きの香りとされるかもしれないのです。カメムシの近縁の「タガメ」は、立派な中華素材です。たしかバナナのような匂いだとか・・・



 今日のひと言:資本主義の論理に、嬉々として飲み込まれる人の姿が浮かびます。資本主義は、すでに自分が持っているものを、悪い製品だと思い込ませ、より高価な製品を売りつけることで成り立っています。もう、いい加減にしたらどうかな、と思うのです。あるいは、この加齢臭の場合、これまで問題にされなかった代謝物質が槍玉にあげられ、その当事者に「脱・加齢臭」製品を売りつけるのです。無駄な営為です。


そう言いつつ、参考文献(↓)を挙げるのも、無駄な営為でしょうか?


40代からの気になる口臭・体臭・加齢臭―健康を科学する

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祝・還暦―六十歳からの心と体のメンテナンス

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