虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

「そば」と「うどん」・・・どちらがサバイバルするか

 私が大学に入学して、当時自炊はしてなかったので、昼ごはんは大学の生協で食べ、晩ごはんはいろいろな食堂に入ったりしていたころ、ある「そば屋」に入店したのですが、この店の主人は、私のそばの食べ方に、イロイロ文句をつけてきたことがあります。それは主人の「好意的なアドバイス」であったのかも知れませんが、私は、それっきりそのそば屋には寄らなくなりました。


 「そば」を山に例えるならば、険しい山、たとえば「槍ヶ岳:3180m、日本で5位の高峰」でしょう。
「うどん」は気楽に遊べる山、たとえば「赤城山:1828m」ということになるかと思います。「そば」というと、なにやら気難しいおっさんが薀蓄を並べる風景が浮かびます。「うどん」は、「そば」の世界ほど、気難しいおっさんがいない、と思われます。より冷涼な気候をそばが好むのに対し、コムギは平地とかちょっとした傾斜地で栽培されますしね。


 うどんの歴史は古く、中国から混沌(こんとん)という食べ物が伝わったのですが、これが「うどん」の源泉・語源ですね。一方、そば粉は単独では麺の状態に出来なかったため、「そばがき」という熱湯でそば粉をこねて食べるという行き方が基本でしたが、「二、八そば」のように、小麦粉を2割、そば粉を8割混ぜてみると、見事に麺状になって、この「そば」という麺が生まれたという具合です。(江戸時代)


 ところで、現在のそば粉、国産の割合はどのくらいだと思いますか?――悲惨なことに、せいぜい20%であり、残り80%のうち88%が中国産なのだという事実。だから、中国産のそば粉の割合は、70%くらいになります。では日本のそば栽培生産のメッカ、長野県ではどうか、というと、全流通量の1%という惨状で、「地球温暖化」によって、冷涼な気候を好む「そば」にはもう向かず、現在では北海道に産地が移っているそうです。そして中国では冷涼な内モンゴル自治区が生産地になっています。ただ、そばの実から、「毒ギョーザ事件」で取りざたされたアフラトキシンとかメタミドホスが検出されたこともあるといい、危険なのは、他の中国産食糧と同等なのです。
 (以上、「「食品のカラクリ8知らずに食べるな!「中国産」」(宝島社)を参考にしました。)


 だからか、最近、乾麺の「そば」の原材料表示を見ると、小麦粉、そば粉の順番に表示してある場合が多いのです。これは「八、二そば」ですね。なお、中国の場合、例のメラミン入りの小麦粉が出回っていたことがあると言い、中国で生産された麺は食べない方が良いとも前掲書に書いてありました。


 今日のひと言:どうしても美味しく安全なそばを食べたければ、生産農家から買い、自分でソバ打ちをするしかないと、「知らずに・・・」に書いてありましたが、ムベなるかな、といった感じです。私は、そば大好き人間だったのですが、最近の食品に関わる不祥事に食傷気味です。


 讃岐うどんを茹でて、ブッカケうどんにするのが私の最近のトレンドです。(刻みネギ、タマゴ、醤油を掛けて食べるのです。)


そばの歴史を旅する

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