虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

ジャガイモ飢饉とケネディ大統領

 作物、とくにデンプン源の作物が、不作になった場合、ほぼ必ず飢饉は起き、住民は「この地に残るか否か」の選択を迫られます。
 ここに、民族大移動を起こしたと言ってよい大飢饉を取り上げます。
ジャガイモ飢饉(Potato Famine):

19世紀はじめ、イングランドによって土地を奪われたアイルランド人は小作農にならざるを得なかった。おもに麦を栽培していた小作農家たちは、地主に納めなくてもよく、荒れた土地でも栽培できるジャガイモの栽培を始めた。ジャガイモの栽培は急速に普及し、農民たちの主食となっていった。
しかし、1845年から1849年の4年間にわたってヨーロッパ全域でジャガイモにPhytophthora infestans菌による感染症であるジャガイモ疫病が大発生し、壊滅的な被害を受けた。これは"Great Famine"と呼ばれて、歴史の方向を変えたとさえ言われている。



さらに、ジャガイモは通常前年の塊茎を植えるという無性生殖による栽培法を用いるが、アイルランドでは、収量の多い品種に偏って栽培されており、遺伝的多様性がほとんどなかった。そのため、菌の感染に耐え得るジャガイモがなく、菌の感染がこれまでないほど広がった。ジャガイモが主食作物であった原産地のアンデス地方では、ひとつの畑にいくつもの品種を混ぜて栽培する習慣が伝統的に存在し、これが特定の病原菌(レース)の蔓延による飢饉を防いでいたのである。
以下はen:Great_Irish_Famine#Death_toll(11:34, 23 October 2007 UTC)の抄訳である
この飢饉の間にどのくらいの死者が出たかは不明である。しかし、ヨーロッパを広範囲に襲ったコレラチフスよりも多くの死者が出たとも言われている。当時国勢調査はまだ始められておらず、教会に残された記録も不完全である。多くのアイルランド教会の記録は(アイルランド教会へのカトリック地方教会の十分の一税徴収の記録を含む)、1922年のアイルランド内戦の際にフォー・コーツより消失した。
一つの可能な見積もりとしては、1850年代の最終的な人口と比較することである。もし飢饉が発生しなければ、1851年にはアイルランドの人口は800−900万人になっていたはずだと考えられている。1841年に行われた調査では、人口は800万人を少し超えていた。
しかし飢饉の発生した直後、1851年に行われた調査では、アイルランドの人口は6,552,385人であった。10年でほぼ150万人が亡くなったと考えられる。


現代の歴史家と統計学者は、病気と飢餓のせいで80万人から100万人が亡くなったと考えている。加えて、100万人以上のアイルランド人がイギリス、アメリカ、カナダ、オーストラリアなどに移民し、その後10年でさらに100万人が移住した。


以上はWikipedia 「ジャガイモ飢饉」の抜粋です。(コピペばかりでスイマセン。)

ここで言及されている移民には、後にアメリカ大統領、J.F.Kennedyケネディー)の一家も含まれます。ここで思いだすのは、ケネディの父が株式相場で、違法ぎりぎりの行為を行って、巨万の富を築くというお話。NHKその時歴史が動いた」で取り上げられていました。以下のとおり。



その時歴史が動いた」の要約 
「1929年、ニューヨーク株価大暴落〜なぜパニックは起きたのか〜」
                        (2000/10/25放送分)

 第一次世界大戦で疲弊し、不況に陥ったヨーロッパに代わり、アメリカには
多くの富が集まり、株価は年々上がり続けた。当時の花形株の1つは1926年に
創設されたばかりのRCAラジオ局の株。この株で大もうけしたのがジョセフ
ケネディ(JFケネディの父親)。1928年3月、ケネディは相場師仲間数人
で1300万ドルの資金を集め、RCA株の買い占めをはかった。1日で39万株と
いう大量の取引を行ない、RCA株はたちまち74ドルから91ドルに上昇。これ
を見ていた一般投資家も、RCA株に殺到し、翌日には109ドルにまで上がっ
た。株価が上がりきったと見るや、一転すべての株を売り払った。こうしてケ
ネディは、500万ドルもの利益をたった2日で稼いだ。こうした買い占めは現
在では禁止されている。・・・・・

 1929年8月になっても株価は上昇を続け、9月3日に株価の最高記録を更新
した。ケネディはじっと考えていた。やがて証券会社に電話し、手持ちの株を
すべて売り払い、取引から撤退すると伝えた。4日、リバモアは独自のルート
の極秘情報から暴落の予兆を感じ取り、26日にそれが現実のものとなる。イギ
リス中央銀行が大幅に金利を上げ、アメリカを上回る6.5%とした。その結
果、ニューヨークに投資されていた資金がより高い金利を求め、イギリスに移
動。リバモアが予想したように資金の流出はニューヨークにすぐに繁栄し、10
月からは株価に小刻みに下落し始めた。



http://www.melma.com/backnumber_10441_267051/

:「日本史なんて怖くない」より引用。(やはりコピペばかりで・・・スイマセン。)



ケネディー(父)の決断は見事なものでした。この決断によって将来の大統領を出す資金にできたのですから。なお、ケネディ(父)が株式取引をやめたのは、「靴磨きの少年」でさえ、株の話をしていることに、将来の株価暴落のにおいを感じ取ったからなのです。一方、リバモアは株をやり続け、最後には彼の予想を上回るように株は乱高下し、リバモアは拳銃自殺を遂げます。


今日のひと言:故郷で農業で辛酸をなめているからか、アイルランド移民には実業に就かず、株式取引、政治家などの虚業をこととする移民も多くいたのでしょうか?それとも虚業をやった人は少数派で、やはり実業をやる人が多数だったのでしょうか。興味深いところです。ともあれ、一種類の穀物(デンプン源)ばかりを糧とするのは、大変危険なことですね。


今日のひと言2:白人のケネディでさえ、ケルト民族の末裔ということで、アメリカを支配する「WASP:white anglo saxon protestant」に疎まれ、暗殺されました。オバマ次期大統領に、もしそれが起こったら、アメリカという国も、それだけの国ということになるでしょうね。


JFK暗殺―40年目の衝撃の証言

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ジャガイモのきた道―文明・飢饉・戦争 (岩波新書)

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飢饉 ―飢えと食の日本史 (集英社新書)

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古代ギリシア・ローマの飢饉と食糧供給

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