虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

二酸化炭素(CO2)は悪くない

  昨今、地球温暖化という言葉を聞かない日はありません。そこで槍玉に挙げられるのが、この二酸化炭素。(なお、メタンのほうが、温室効果ガスとしては、悪質だという議論もあります。)

 まず、初めにお断りしておきますが、私は槌田敦(つちだ・あつし)さんのような、「二酸化炭素に温暖化への寄与問題はない」という立場は採りません。二酸化炭素は、現実に地球温暖化に寄与していると思います。


 また、二酸化炭素という物質は、生きものが生存するために不可欠な物質です。太陽光をエネルギーにして、水(H2O)と二酸化炭素(CO2)が結合して「炭水化物」=「水と炭の化合した物質」が出来、この物質をエネルギー源として生きものは生存できるのです。もし、地球上から二酸化炭素がなくなると、生き物の歴史は終わるのです。


 それほど大切な二酸化炭素、なぜ大気中に増加したかというと、化石燃料(石炭、石油、天然ガス)を過剰に掘り出して工業利用したからです。本来、その分は地下に戻すことが必要かもしれませんし、現に、圧縮した二酸化炭素のボンベを海中に沈めるというプランが(環境省がらみで)あります。でも、これって、もしボンベが破裂した場合、海水中に酸性の二酸化炭素がばらまかれ、海の生態系に悪影響があるかも知れません。海水は、35%の食塩を含んでいることを忘れてはならないでしょう。同じような発想で、核廃棄物を地中に埋めるというお話もありますが、2万年たっても半分にしかならない危険な放射性廃棄物を作りだすこと事態大変異常だと思います。化石燃料がダメならウラン、プルトニウムに行っちゃうのは、人類の自殺行為だと思います。今の代のつけを、あと千世代くらいの子孫に押付けることになるのですから。
http://plaza.rakuten.co.jp/gnetoffice/diary/200609130000/



 また、太陽光を利用して、二酸化炭素を炭(C)と酸素(O2)に分解してみた研究グループがあります。これはこれで、大した発想です。ところでCはどうするのでしょうね。
http://www.gamenews.ne.jp/archives/2008/01/post_3078.html



 私は、世界がグローバル化すればするほど、温室効果ガスが増えると思います。アマゾンの豊かな熱帯雨林を伐採して大豆やコーンを生産することなどからして、大気中の二酸化炭素は増加します。それを輸送用燃料にするなら、なおさらです。なお、2008年06月14日の朝日新聞によると、勝俣恒久東京電力社長・電気事業連合会会長は、市場メカニズムのみで、いわゆる福田ビジョンは実現不可能であると発言しています。なにやら原発推進の腹があるのでは、と疑われますが、ここは業界側の意見であると聞いておきます。

 
 やはり、温室効果ガスの濃度を減らすためには、植林という険しくて悠久な試みが必要なのだと思います。世界のあまたの文明は、森林を滅ぼした末に滅びたのですから、その轍は踏まずに、植林をしていくべきだと思うのです。そして、グローバル化を志向するのではなく、老子の言う「小国寡民(しょうこくかみん)」=「国のスケールが小さく、あまり人口のない状態」を実現させていきたいものです。
http://d.hatena.ne.jp/iirei/20070902 (過去ログ:エタノール車と「小国寡民」)
http://d.hatena.ne.jp/iirei/20080512 (同じく:福田総理、あんた正気なの?・・・福田ビジョン)


 今日のひと言:地球温暖化の問題は、スケールが大きすぎて、一人の識者の見解だけを持ってしては、語りつくせぬ問題だと思います。ところで、最近「オゾン層破壊問題」とか「酸性雨問題」があまり語られていないですよね。でも、特に「オゾン層破壊問題」は、地球上の大部分の動植物を絶滅に追いやるという意味で、温暖化問題よりもっと危険度の大きな問題だと思いますが、いかがか。


資源物理学入門 (NHKブックス (423))

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実験でわかるエネルギーと環境 (入門科学シリーズ)

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