何故、イギリス人は自らを「ジョン・ブル」と呼ぶか
*何故、イギリス人は自らを「ジョン・ブル」と呼ぶか
ニックネームを持った国がいくつかありますが、もっとも有名なのがイギリスの「ジョン・ブル(John bull)」でしょう。
『一般的なジョン・ブルは背の低い男性像であり、その装束は夜会服に正装の半ズボン(en:Breeches)、ユニオンジャック柄のウェストコートとなる。ジョン・ブルが頭に着用している大きなトップ・ハットはしばしばジョン・ブル・トッパーとして紹介される。右の図では片手にステッキを伴っているが、その外にブルドッグを伴っているイメージも散見される。
ジョン・ブルのイメージは新聞の風刺漫画などでも用いられる。』
(以上、Wikipedia 2007.2.27付け)
ジョン・ブルはイギリスの代名詞なのです。ところで、イギリス国王で、もっとも使用頻度の低い名は何だと思いますか?・・・それは「John(ジョン)」なのです。統治者として失格の烙印を押されたのが、John the Lacklandです。(1167−1216)自分自身父のヘンリー2世が領土をくれなかったうえに、フランスからイギリスの勢力が弾きだされるという有様で、Lacklandとは「欠地王」と呼ばれるのです。王位を簒奪したり、ローマ法王とのいさかいに敗れたり、貴族たちに「マグナ・カルタ(大憲章:1215)」を認めさせられた、王家の側からいえば、いわゆる「暗君」でした。文献によっては、桃を食べすぎて赤痢で亡くなったともあります。以後、Johnという名は、国王の名から排除されました。(もっとも、意図的と言ってもいいのか?実際、王子には彼以後もJohnという名はあったとのことですが、王様になるものがいなかった、ということだそうです。)
そこでまた「ジョン・ブル」。不名誉なこの「John」という名前をみずから名乗るのには、なにかワケでもあるのでしょうか。私は、徳川家康を想起します。三方が原の合戦で武田信玄に散々に打ちのめされ、その際の肖像画を絵師に書かせた徳川家康を。徳川家康といえば、アングロ・サクソンとの間に共通点があります。それは「決して天才タイプではないが、たとえば天才(ナポレオンなど)と対した際、その動きを緻密に分析して用兵の癖を見出し勝機を探す点」がです。
さて、イギリス人たちは、徳川家康のような心根を持っているのでしょうか?あるいはBBC製作のギャグ番組「モンティー・パイソン」の登場人物の一人とみなし、彼John the Lacklandを笑っているのでしょうか?
今日のひと言:欠地王の功績としてはリヴァプールの創建があるそうで、そこから世界にその名をとどろかせたミュージシャンが出ていますね。
John Lennon(ジョン・レノン)です。
- 作者: レイ・ハリスン,高田恵子
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 1991/04
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログ (1件) を見る
イギリスの表象―ブリタニアとジョン・ブルを中心として (MINERVA歴史・文化ライブラリー)
- 作者: 飯田操
- 出版社/メーカー: ミネルヴァ書房
- 発売日: 2005/08
- メディア: 単行本
- クリック: 2回
- この商品を含むブログ (2件) を見る
それでは、読者の皆様、良いお年を。