私は、ワーグナーが嫌いだ!
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世に、作曲家リヒャルト・ワーグナー(Richart Wagner)を崇拝する人がいるらしく、そんな人のことをワグネリアンと呼ぶそうですが、私は崇拝する人の気が知れません。ワグネリアンであると公言した人、例えば、ボードレール、ニーチェ、ヒットラーなんかはあるいは脳梅毒で廃人となったり、あるいは狂気としか言いようのないユダヤ人のホロコーストなどを実践したりしています。そもそも、ワーグナーを引き立て、バイロイト音楽祭を始めたのが、狂王・ルートヴィヒ2世です。
いかにも狂気に彩られた彼・ワーグナーのひずみについて書こうと思います。
フランスの作曲家であるガブリエル・フォーレがバイロイト音楽祭を訪れた際、「これは(ワーグナーの音楽)は、私の目指すものではない」、と音楽祭の途中で帰国した、というエピソードがあります。フォーレはバイロイト音楽祭の持つ妖気を振り払って帰ったのでしょう。その際、4晩連続で「ニーベルンゲンの指環」が演奏されていたはずです。このオペラ曲は通算15時間・4晩かけて演奏される大部の曲で、登場人物も多数いて、覚えるのが大変です。このオペラの中で演奏される「ワルキューレの騎行」だけは耳に残りますが、ほかの曲は・・・2枚組みのCDを聴いてみても、印象に残りませんでした。
まあ、ワーグナーは作曲家というより劇作家と呼ぶのが相応しい人だと思います。幼少のころから、登場人物を殺し過ぎ、仕方なく死んだキャラを蘇らせるといった作品を書いていたほどです。
私にとって、ワーグナーの音空間は弛緩していて密度の低いものです。一方、シューベルト(Schubert)のドイツ芸術歌曲(Lied)の「アトラス」とか「影法師(ドッペルゲンゲル:Der Doppelg¨anger)」、フォーレ(Faur´e)のフランス芸術歌曲(Melodies)の「夢のあとで」などの場合、その凝縮度が高く、4,5分の演奏時間が、あたかも無限であるかのように思われるのです。
「ニーベルンゲンの指環・別名ニーベルングの指環」には無論多数の登場人物がいます。ヴォータン(神の王)、ローゲ(火の神)、ジーグムント、ジークフリート(この2人は親子)、ブリュンヒルデ、ニンフ、小人、巨人という感じです。いろいろなプロパティーの登場人物です。そもそも、「ニーベルンゲンの指環」自体、ライン川の川砂から、小人族のアルベルヒが作ったもので、「この指環を持つ者は世界を制覇できる。」とされ、これにヴォータンまで惑わされるのですから、救いようがありません。このバカ神。いろいろと、指環をめぐって策略をめぐらせるのもこの神です。黄金で作った指輪には、原材料費と意匠費がかかる程度のものでしょう。せいぜい10万円もあればつくれちゃうものです。でも、劇の中では、オールマイティーのアイテムの扱いで、「待てよ、おかしい」と考えるキャラがいないのです。指環を武器の一種であると考えている節があるのですね、ワーグナーさんは。指環で世界が制覇できるのは、「婚姻」が絡んだ場合しかありえないでしょう。結婚によって、我が家と他の家の結び付きができる、すなわち閨閥がものを言う世界である場合でしょうね。それくらいのことでしょう。
ワーグナーは、こんな当たり前のことが解っていないボンクラだったと思うのです。
今日のひと言:ワーグナーがフォーレの「夢の後で」を聴いたら、悪夢から目覚めるでしょうね。なお、フォーレは晩年、耳の病に冒されました。ベートーベンのように、完全に耳の機能を喪ったのではなく、音階が狂って聴こえるという、音楽家にとっては地獄のような疾患です。美しいハーモニーが、雑音以下にしか聴こえないというわけですから。それでも彼は作曲をします。遺言ともいえる「ピアノ五重奏曲・第2番」です。
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