赤城山(アカガーム)
*赤城山(アカガーム)
赤城山は、群馬県の中央やや東に位置する独立峰です。群馬県の桐生市から前橋市にかけての地域では見ることができます。
深田久弥の「日本百名山」でも取り上げられていて、「行楽に最適な、身近で穏やかな山」といったように紹介されています。確かに、大沼、覚満淵などの観光スポットも多く、その評価にはうなずけるものがあります。
ところで、その最盛期、どれほどの高さだったのでしょうか。ちょっと試算してみます。
現在の最高峰(黒檜山)が1828m、これで大体、富士山の4合目くらいにあたるようなので
0.4:1828=1:X という比例式をたてて解くと 最盛期の標高X=4570m になります。この標高は富士山を超え、おそらく5000mは超えていたであろう阿蘇山に次ぐものとなるのでしょう。そのころの赤城山は、今とは違った厳しい表情を見せていたのだと思われます。
深田久弥は、「人にはだれでも心の山がある」という趣旨のことを言っていましたが、父の仕事の都合で大阪から群馬に来た私にとって、畑を前面にしてどっしりとある赤城山は、まさしく私にとっての「心の山」です。ちょっと嫌なことがあったとしても、スッキリ払いのけられるほどのヴォリュームをもって迫ってくるのです。
ところで、日本列島自身を巨大な山脈であると見なせます。日本列島の東には、標高―10000m(マイナス1万メートル)の日本海溝があり、そこを基点に高さを出すと(赤城山最盛期の場合)、標高15000mを記録することになります。これは、チョモランマ(エヴェレスト)の倍の標高を持つことになります。
海底から測れば、日本列島すべてが、10000m以上の高さをもっていることになりますね。
山の尊さとは、人間の業績と同じように、どの地点から仕事をはじめたか(隆起し始めたか)という論点が必要だと思います。一例として数学者の世界で言えば、ギリシャのアルキメデス(Archimedes)、イギリスのニュートン(Newton)、フランスのガロア(Glois)などの高峰は、数学史上燦燦たる業績を残しましたが、各人、出発点が違います。アルキメデスは、ほとんど徒手空拳で微分積分の一歩てまえまで行きましたが、微分積分を正式に世に送り出したのがニュートンやライプニッツ(Leibniz)です。でも、アルキメデスがニュートンに劣るかと言えば、決してそんなことはありません。所与の条件下で答えを出さざるを得ないのです。
この議論は、日本列島という稀有な存在をも規定するものなのだと思われます。
今日のひと言:私にとって、赤城山は、ものごころつく以前から自然とみなれた山でした。むしろ浅間山に郷愁を感じたものですが、年をとるにつれ、赤城山の偉大さを感じるようになりました。親しみを込めて「アカガーム」とも呼んでいます。
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