虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

スポーツの道具数とそのスポーツの普及度

iirei2007-07-09

*1183932863*スポーツの道具数とそのスポーツの普及度
 2012年のロンドンオリンピックから、野球、ソフトボールが正式競技から外れます。その理由は、「参加国が少ないから。」確かに2006年のWBCでも、参加国はアメリカ、日本、キューバ、韓国など10カ国程度で、中南米のサッカーのような参加国、競技人口のひろがりはないように思えます。
 そこで、あるスポーツをプレーするときに必要とされる道具の数を数え上げ、それと競技人口を関係つけてみます。フィールドとは競技する場で、これも勘定に入れます。すると、ざっと


 サッカー:フィールド、ボール、ゴール・・・・3個
 野球:フィールド、ボール、バット、ミット(*2)、グローブ、ベース(*4)
    ヘルメット、帽子、プロテクター、マウンドプレート・・・14個
 柔道:フィールド、道着・・・2個
 マラソン:・・・・フィールド・・・1個
 ゴルフ:フィールド、ボール、帽子、各種スティック・・・10個


 となります。野球(やゴルフ)は使用する道具の数が突出して多いです。だから野球をプレーするためには、その道具を揃えなければならないため、ある程度以上の収入のある階層でなければ野球はやれません。そこへ行くと、マラソンならフィールド以外に道具はいらず、サッカーもボールがあれば練習できます。だから、使用する道具の少ないスポーツほど、貧困層の多い国に受け入れられ易く、競技人口も多くなると推察されます。
 以上の考察を定量的に示すため、JOCに以上4競技(ゴルフは除く)の「アテネ・オリンピックにおける地区予選レベルでの当該競技への参加国数」を問い合わせてみました。参加国数で競技人口を推定するのです。ところがこの種の情報は、ネットをどう見ても無くて、あるのは金メダルを取ったのは誰、とかいう情報なので、私の目的とは違うのです。JOCからの回答は、データはない、各種競技の団体に問い合わせてくださいとのことでした。日本サッカー協会に問い合わせると、FIFAに聞いてくれとのことでした。タライまわしです。典型的なお役所仕事でした。柔道については講道館に問い合わせ、2002年の大阪・世界選手権の参加国数を教えてもらいました。97カ国。明解な回答でした。一本勝ち!!マラソンについては日本陸上競技連盟に問い合わせました。結構計数するのがやっかいなので、参加選手の国籍情報の生データを送ってもらい計数したところ64カ国。野球については、WBC参加国数をあてて16カ国。サッカーについては、本戦16カ国参加であり、ヨーロッパ3カ国、南米2カ国というデータと、当該地域の国の数から推計して110カ国としました。(だからマラソン、柔道は実数、サッカー、野球は推測です。)ゴルフはオリンピック種目ではないので、0カ国としました。ちょっとアンフェアーだけど、競技人口が多くても、オリンピックの種目ではなく、道具立てが多い例としてあげます。
 以上の結果を表とグラフにします。(グラフは右上参照)



   競技        参加国数       道具立て
   マラソン        64         1
   柔道          97         2
   サッカー       110         3
   野球          16        14
   ゴルフ          0        10


  参加国数を横軸、道具立てを縦軸にとり、点をプロットし、回帰直線、相関係数を計算すると
 (回帰直線)  Y=−0.0969X+11.6
 (相関係数)  −0.824
 となり、道具立てが少ない競技ほど、参加国数が多い傾向にあることが解ります。それも、かなり強い相関が得られました。私の仮説は一応の証明を得たのです。
 以上の考察が正しければ、野球・ソフトボールがオリンピック種目から消えていくのは、自然の流れなのでしょう。



今日のひと言:それにしても、独自の発想を検証しようと思っても、同じような関心がある人がデータを残していなければ、インターネットも無力ですね。




今日のひと言2:7月8日の「NHK海外ネットワーク」で、触るだけでかぶれる「西洋イラクサネトル)」を早食い競争するという記事が出ていました。さぞかし口の中がパニックになったでしょうね。私なら参加しないですね。これもスポーツなのかしらん。そうなんですか?イギリスの皆さん。。
このネトル、蕁麻疹(じんましん)の名の蕁麻のことです。


反オリンピック宣言―その神話と犯罪性をつく (1981年)

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