虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

ベルセルク(Berserk:狂戦士)・魔の三角関係(再録)

 「ベルセルク」は、ヤングアニマル白泉社)に連載中の、百年戦争のころを背景にしたと思われる、三浦建太郎のマンガ作品である。(単行本はジェット・コミックス)主人公のガッツは、かつての盟友・グリフィスに呪いをかけられ、烙印を押され、魑魅魍魎(ちみもうりょう)に付きまとわれる定めである。当のグリフィスは、魔人に転生している。この2人の間で揺れるのが、(人種はよくわからぬが)キャスカである。
 ガッツ、グリフィス、キャスカの三角関係について考察する。
もともと、グリフィスに助けられ彼を愛するキャスカは、グリフィスの率いる傭兵団の新参者であるガッツとことごとに衝突する。だが、お互いに愛し合っていることが解かった2人は、体を許しあう。当初はグリフィスの技量がガッツを上回っていたが、自分のために生きることを選び、傭兵団を離れる決意をしたガッツと彼を留めようとするグリフィスは対決する。今度はガッツが勝ち、傭兵団を出て行く。
 自暴自棄になったグリフィスは、禁断の行動に出る。王女の寝室に忍び込み、彼女の処女を奪う。娘に倒錯した感情を抱いていた王は激高し、グリフィスを地下牢に監禁、拷問を加える。グリフィスは廃人にされてしまう。傭兵団にもどってきたガッツは仲間とともにグリフィスを助けるが、ここでグリフィスは魔道具(ベヘリット)を使い、仲間たちを生贄にして魑魅魍魎に喰らわせ、自分は魔人に転生し、既にガッツの子を孕んでいたキャスカと交わる・・・生き残ったのはガッツとキャスカのみ。ただしガッツは烙印を押され、キャスカは記憶を失う。それどころか、ガッツを恐れるに至る。
 この3人の間には、愛憎相半ばする感情が交錯する。ここで注意したいのは、ガッツとキャスカは純粋であり(+1としておく)、グリフィスは邪悪である(−1としておく)。
 ガッツとキャスカは    (+1)*(+1)=+1
 キャスカとグリフィスは  (+1)*(−1)=−1 
 グリフィスとガッツは   (−1)*(+1)=−1
相性で言えば、キャスカとガッツがベストカップルで、グリフィスは誰とも合わない。邪悪さを解消しないことには打開出来ない。(+1なら相思相愛、−1なら嫌悪とする。)
 ところが、魔道具(ベヘリット)を使うと、ガッツとグリフィスの数字の符号を逆転させることが出来る。そうすると
 ガッツとキャスカは    (−1)*(+1)=−1
 キャスカとグリフィスは  (+1)*(+1)=+1
 グリフィスとガッツは   (+1)*(−1)=−1


なんと、キャスカとガッツの仲を割き、キャスカと相思相愛になれるのである!!実際、キャスカが月満ちて生んだ子は、グリフィスそっくりであった。烙印は、符号逆転の証である。頑張れ、ガッツ、グリフィスを倒し、キャスカを取り戻せ!!!!




今日のひと言:エヴァンゲリオンにせよ、ベルセルクにせよ、ガロア群論で分析が可能だ。数学
       の理論は、人間関係の分析にも及ぶ!!数学――この神秘なるもの。  「+1」と「−1」で、世の中の事象は説明できる!


今日のひと言2:書店でNHKラジオ・ロシア語講座のテキストを買ったら、唖然としました。どの言語もそっけない「黄土色」に統一されていました。これまでのロシア語講座のテキストは、民族色にあふれてよかったのですが・・・NHKは、このようなところで経費削減しているのでしょうね。・・・なんだか小手先だけの行為のようにも思えるのですが。