高杉晋作の辞世 (辞世シリーズ その1)
「おもしろきことも
なき世を
おもしろく
住みなすものは
こころなりけり」
これは、幕末の志士・高杉晋作(たかすぎ・しんさく:ТАКАСУГИ ШИНСАКУ)の辞世の歌です。奇兵隊(An army which uses strange strategies)を創設し、長州藩を倒幕に導いた高杉は、師の吉田松陰(よしだ・しょういん:ЮШИДА ШОИН)の弟子に似つかわしく、詩文(poem)を得意としました。惜しいことに彼は志半ばで労咳(結核:Die Tuberkulose)のため、28歳の若さでこの世を去るのですが、その短い生涯は実り多いものでした。味方がほとんどいない中、一人決起して長州藩にクーデター(le coup d’Etat)を起し、いわゆる「俗論派」を駆逐し、長州藩の国論を統一し、ひいては日本の歴史に不滅の業績を刻んだ彼。高杉晋作には人生の長短は関係ないようですね。師の吉田松陰は、どんなに短い生涯でも、かならず春夏秋冬はある、と言っていましたが、高杉晋作の場合も、鮮やかにそれがあります。
上の歌、死の床にあり、前半を書いてもはや続きが書けなくなった彼に代わり、懇意の尼さん(望東尼)が完成させたといいます。(NHK1977年大河ドラマ・花神より)
実にいい歌です。結局、楽しいも楽しくないも、あくまで「自分の心」の有り様によって決まるのだ、という太陽のようにあけっぴろげでひろびろとした境地が歌われています。「要は、主体的に世の中に働きかけることさ。」と言っているのです。極めて男性的な歌ですね。男女の恋を歌った和歌(waka:A Japanese short poem with 31letters)は置いておき、高杉晋作の辞世の歌は最高の和歌の一つです。私も、よく口ずさみます。
英訳 (森下礼による)
The world without
interesting things,
I live there
as a making−interest being.
Because I have a heart.
高杉晋作は、今でいう「やんちゃ:Pikaresqual Lovelyness」を一生涯続けた人だと思います。彼の所属する長州藩(choushuu−han)が攘夷と称して無謀にも欧米諸国に挑戦してあっけなく敗れた際、このようなタイプの「攘夷:Banishing foreign countries」の不可(unablility)を重々知っていたけど、講和の使者となった彼は、領土割譲の要求に対し、「古事記:kojiki:Anchient Japanese mythological stories」を延々と語って、欧米人たちを煙に巻き、見事要求をうやむや(reject)にしてしまいました。欧米人たちを呑んでかかっていたあたりが「やんちゃ」ですね。
辞世の歌、なんらの技巧も使っていない、万葉集のような「ますらおぶり:manfoodness」を表現していますね。
今日のひと言:この世における自分の存在は「JOKER」としての存在である、との存在証明(la raison d’etre)を公言し、スゴイ(outrageous)境地を表明していましす。空前絶後の詠唱です。なお、ライバルだった偉丈夫な久坂玄瑞とは異なり、高杉はあばた面のちびだったとのことです。もちろんこれは、彼の業績に寸分もけちをつけるものでないのは自明でしょう。
高杉晋作にふれてるブログにTBです。
http://d.hatena.ne.jp/sanraku2/20070309
ENDE