*「美しい景観」とは
「美しい」? →
「美しい景観を創る会」という組織があります。都市計画の伊藤滋(しげる)・早稲田大学特命教授を座長とした、建設、土木の専門家12名の集まりです。この会が先ごろ「悪い景観100景」という選定を行ないました。会のHPは
http://www.utsukushii-keikan.net/
で、暫定的に日本各地70箇所の「悪い景観」の例を寸評つきで紹介しています。まあ、山を削るようなあからさまな開発が槍玉に挙がるのは当然としても、地元民に好評な景観も「悪い景観」とされる例もあります。JR鹿児島中央駅ビルの観覧車などがその例です。悪い景観として挙げられた70例を見ると、町並みが美しくない、巨大な看板、眺望阻害、並木の管理などが悪い例として挙げられる率が高いようです。これに対し、神戸市の建築家・浅見雅之氏は、その70例について、必ずしも「悪い景観」ではない、との寸評を加えています。HPは
http://www.e-asami.com/
です。以上のソースは朝日新聞2006年5月28日号です。浅見氏のHPを読む限り、確かに「悪い景観」必ずしも悪くないことが伝わります。
そもそも、「都市計画」というのは必要なのでしょうか?私が東京大学工学部都市工学科の学生だったとき、伊藤滋さんは都市工学科の教授でした。(当時、都市計画コースと衛生コースから構成されていた。私は衛生コースだったのですが、都市計画の授業も取ることが出来、伊藤教授の「都市防災論」も取りました。)「チャタレイ夫人裁判」で有名な伊藤整氏の子息であり、東京大学農学部を卒業後、工学部建築学科に学士入学して教授になられた方です。ここで、私は農学部卒という彼の経歴にこだわりたいのです。
「都市計画」の世界では昔から「都市美運動」という潮流があり、この度の「美しい景観を創る会」の運動も、この中に入ると思われるのです。ところが「都市計画」は「上から見下ろした視点」を持つ学問であると私には感じられます。そうでなければ、地元民には好評な観覧車をこきおろすことはないでしょう。「下から見る視点」を持つ地元民は観覧車を良しとしたのです。このような下からの視点を農学も持つと私は思うのですが、どうなのでしょう、伊藤教授?
我が家の犬の散歩コースには、最近幅員が広くなった道路があります。市の都市計画上重要な道路らしいのですが、その植え込みに、鑑賞用の草花が植えられていますが、雑草に負けるらしいので、今度は黒いカバーを敷いて、十字に切ったミゾに草を植えつけることになりました。そのうち雑草にやっぱり負けちゃうだろうけど、この景観は私には「悪い景観」以外の何者でもありません。
今日のひと言:都市計画を事としながら、「子供の遊び場」に焦点をあてて、下から見る
視点を持つ会と知り合いになったことがあります。現在は存在しませんが
、「子供の遊びと街研究会」(東京都世田谷区)です。