虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

恐るべき町内会

 *恐るべき町内会
 「行政からの援助は一切期待しない」という強固な意志のもと、事業を展開し、この程、町内会の世帯ほぼすべてに、各1万円のボーナスを支給した、驚くべき町内会が存在します。それは、鹿児島県鹿屋市串良(くしら)町・柳谷町内会です。愛称「やねだん」。
 この町内会の情報は「週間新潮」06.05.18号の「B級重大ニュース」で目にしました。事業主体は「柳谷自治公民館」で、『「立ち上がる農山漁村」選定案概要書』という文献によれば、
 「概要」自治公民館区が全て自力で、土着菌を活用した畜産ふん尿の悪臭除去などの環境対策や独居老人宅への緊急通報装置の設置、集落民の労働奉仕による自前の運動遊園や歴史資料館の建設、自主財源確保のためのサツマイモ生産など集落民全員が活躍できる場を数多く設け、行政に極力頼らない独自の集落づくりを進めている。
   そして、ただサツマイモを作るのではなく・・・
 「地域活性化のポイント(特に経済の活性化と雇用の創出面)」行政に頼らず「安心して暮らせる地域を自分たちの力でつくろう」と、遊休農地を活用したでんぷん用サツマイモの生産や、生ごみや畜産ふん尿の発酵処理用の土着菌を製造・販売し、集落の運営費をねん出している。これらの益金すべてを地域おこしや教育、福祉等に役立てている。最近では、サツマイモの収益性を高める試みとして、土着菌堆肥で育てたサツマイモのオリジナル焼酎づくりに挑戦(製造・販売は酒造会社に委託)し、はじめての焼酎は、集落民のみで完売した。
 この町内会、人口は300人足らずです。焼酎まで造ってしまうとは、恐るべきバイタリティーです。これらの活動の出発点はこの地域に根付いた細菌――土着菌を使って家畜のふん尿の悪臭を消すことであったようです。いまでは、この菌の発酵熱を利用した「足浴」もあります。
 そもそも、何故「行政に頼らない」活動をするのか、その情念の源を代表に聞いてみたくもあります。何か行政に嫌がらせでも受けたことがあるのでしょうか?面白い、「やねだん」、頑張れ!!




今日のひと言:町内会というのは、無意味な集金をする組織だとばかり思っていたぞ。