虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

海洋と陸地――地政学への招待  その3
海洋がポジ、陸地がネガ
A:普通、地図を見る場合、陸地を主に見て、海洋はそれら陸地の間にある「隙間」くらいに思われるが、地政学には2つの立場があり、海洋を主として見る地政学と、陸地を主として見る地政学がある。前者の立場の代表的な学者は、マッキンダー(イギリス)、マハン(アメリカ)、後者はハウスホーファー(ドイツ)。どちらかというと、アングロ・サクソン系の国は海洋系地政学、ゲルマン系の国は陸地系地政学を推し進めた。確かに、海洋に則って版図を広めたイギリスが前者、出遅れて、陸地づたいに版図を広めようとしたドイツでは、立場の違う立論になるだろうね。
 地政学の歴史から見ると、どうも、海洋系のほうが優勢だね。こんな言葉がある:「陸軍は地図を手にして考えるが、海軍は地球儀を手にして考える。」そして、海洋系地政学の場合、通常「隙間」に過ぎない海洋こそを、写真でいうポジとみなす。陸地がネガだ。
B:今の生徒にネガ、ポジと言ってもわからないかもね。昔の、フィルムを使ったカメラでは、撮影されたフィルムは、例えば白黒写真なら、白と黒が逆転されていた。そのフィルムを真面目に見ようとすると、とんでもないパラレルワールドを味わうことになる。現在のデジタルカメラでは見られない「映像」だね。
A:ナイス・フォローありがとう。では、地政学の本格的な紹介に入る前に、エピソードとして、「百年戦争とイギリス」をテーマにお話して、イギリスと地政学のイメージを掴んでもらおう。        (つづく)

今日のひと言:演歌の大御所・千昌夫NHK「歌謡コンサート」で、「♪味噌汁はお袋の味がする・・・」と熱唱していた。さては、人喰い?