虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

日本人に掛かると、スポーツは愚劣になる:相撲だけではない。

昔、安保条約改定を押し切った岸信介(きし・のぶすけ:安倍晋三の祖父)は、後楽園で巨人戦に熱狂する国民の姿を見て、「見ろ、大衆は野球に興じているではないか」と嘯(うそぶ)きました。安保条約に関心を持つ国民など、少数派に過ぎないと断じたのです。(岸はその直後、首相の座から身を引いたのですが。)


さすがに今年は、スポーツ上の慶事より不祥事が目立ちます。プロレスにおける伊調選手への、コーチからのパワハラから始まって、アメフト反則タックル問題、元巨人選手の窃盗問題、そして日本ボクシング連盟会長の、「ボクシング界私物化問題」、居合道昇段のための贈収賄、体操パワハラ疑惑、駅伝のパワハラ。尋常ならざる事態です。スキャンダルなら日ノ本随一の相撲界も一歩身を引くほどの酷さです。どうしてこうなったのでしょう?


その大きな理由としては、日本のスポーツ界が、「精神論が得意な」旧日本軍元軍人の手によって根付き、伸び、繁栄したという事実があるのでしょう。これはid:SPYBOYさんの持論です。その繁栄が良いか悪いかを別にして、です。それが端的に現れるのが高校野球です。高校生たちは「高校球児」と呼ばれ、子供扱いです。そして、上官(監督)の命令には無条件で従うことを求められます。個としての存在が否定されるのです。


スポーツ評論家の玉木正之さんは、東京新聞におけるインタビューで、「私は高校野球は見ない、このイベントは生徒のためではなく、大人の自己満足のためにある」と断じられていました。生徒に丸坊主を強要し、炎天下の本、何イニングも投手に投げさせ、肩を壊させて甲子園以後の選手生活をやれなくさせるような精神論が支配的なのですね。これこそ、軍隊的指導法の成果なのでしょう。


精神論と言えば、元日本女子バレーボールの代表監督であった葛和某も、試合中「精神論」を繰り出すだけで、的確な策を選手らに与えられずに、試合は日本女子代表チームの惨敗でした。「精神論」を撒き散らすだけなら、誰でもできます。なんとも楽な商売ですね。


それにしても、2020年の東京オリンピック、8月という暑い時期に開催されるのは何故か知っていますか?1964年の前回大会が10月10日、涼しく爽やかな日程を、主催者はよく考えて設定しました。2020年大会が8月に開催されるのは、アメリカのテレビ放送の編成上、10月ではオリンピックの視聴率が低いから、なんですって。なんて他律的な情けない立場。それで、今年(2018年)のように、気温が40℃になりなん、という気候条件で開催を強行したら、特に42.195kmを走るマラソン(“オリンピックの花”)で、熱中症による死者が出る可能性が高いですね。その際の責任は誰が取るのでしょう?組織委員会森喜朗会長でははとてもじゃないが無理でしょう。この人「サメの脳みそ、ノミの心臓、オットセイの下半身」と自民党内でも評された小物政治家ですから。


結論から言えば、日本国民は、おおむねスポーツ馬鹿です。「ボクシング問題」がクローズアップされていた2018.08.02日、イブニング・ニュースで、民放のフジテレビの放送はほとんどこの問題ばかりで、見飽きた我々はテレビ朝日にチャンネルを変えましたが、その際、この問題は取り上げていませんでした。思うに、日本人はスポーツを三面記事的に取り上げられるのが好きなんでしょう。それに日本人は結局軍隊が好きで、軍隊式に調教される選手達、またその成果を「無責任にも受け入れる」自分たちが大好きなのでしょう。・・・やれやれ、手間の掛かること。この状況について、日本人は少なくとも、スポーツについて愚劣であると言って当たらずと言えども遠からず、でしょう。むしろ、その愚劣さがどれほど日本人の心性に根差すか、を解明できるなら、その論は博士号レベルですね。そしてその延長上で国政、軍事についての愚劣さに繋がるのでしょう。



今日のひと言:ディストピア小説(またの名を近未来小説)の『1984』(ジョージ・オーウェル)とか『素晴らしい新世界』(オルダス・ハックスリー)では「スポーツは、政治への不満を国民から逸らすためにある道具だ、そして国民を愚民化するものである」、という共通認識があるらしいです。(両方読んだ弟の情報)


参考過去ログ


http://d.hatena.ne.jp/iirei/20070709

  :スポーツの道具数とそのスポーツの普及度


http://d.hatena.ne.jp/iirei/20090315#1237079687

  :WBC(World Baseball Classic:全世界野球古典大会)について


http://d.hatena.ne.jp/iirei/20180706#1530818153

  :「巨人の星」が資本主義による高度経済成長を戯画化する




現代メディアスポーツ論 (SEKAISHISO SEMINAR)

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スポーツ指導者の危機管理力 多分大丈夫は大丈夫ではない

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スポ-ツとは何か (講談社現代新書)

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一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)

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すばらしい新世界 (光文社古典新訳文庫)

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今日の料理
 

@大豆・茗荷飯



今年は不作の茗荷。庭でも採れないでした。そこで大抵のスーパーで一本67円くらいなのに対し、あるスーパーでは30円と、ほぼ半額だったので購入し、2本を刻み、塩をまぶして2人分の炊飯直後のご飯に混ぜました。刺激的。大豆を炊き込んでいましたので、茗荷・大豆飯。

 (2018.09.16)



@茗荷入りシラス干し大根おろし



シラス干し大根おろしに、刻んだ茗荷を少量入れました。それでも茗荷は風味を発揮しました。

 (2018.09.17)



手羽元のコーラ煮



弟作。(鶏)手羽元をコカ・コーラ(+醤油、ミリン、砂糖少々)で煮て、3時間保温調理鍋で保温しました。コーラはスクラロースなどの人工甘味料入りの物ではなく、砂糖で味付けされたものを使いました。この種の料理は中華の鉄人:陳健一なども作るそうです。仕上がりはコーラ入りとは気づかないでしょう。

 (2018.09.18)



@モヤシのバジルソース焼き



弟作。卵は溶くときにコチュジャンを混ぜ、モヤシをオリーブオイル、塩、胡椒、バジルソースで炒め、最後に卵を加え、硬くなるまで加熱。バジルソースが活きます。モヤシは、横文字でいうと、「スプラウト」です。なにやら栄養がありそうですね。言葉の魔術。

 (2018.09.19)



@豚肉ソテー・粒マスタード塗り



弟作。片栗粉・塩をまぶした豚肉を焼き、ナツメグを掛け、粒マスタード、醤油、オイスターソースの混合液を塗りました。おいしゅうござういました(岸朝子

 (2018.09.20)





今日の詩


@虚妄の家


この家は築10年にも満たない。
だのに壁の塗り替え工事をやるらしい。


私見だが壁の塗り替え工事は
家を維持する意味ではもっとも優先度が低い。


なにやらこの家、
夏になると朝顔を家の南面に生やすので、
風流一家なのかも知れない。


それが仇となり塗り替えが必要に
なったとすれば、お気の毒だ。
でも、それって金の無駄使いだよ。

 (2018.09.16)





今日の三句


芝桜
秋も咲くなり
コスモスか



コスモスは秋桜と書くので、芝桜と名称争いが起きるでしょう。

 (2018.09.16)




仏石より
生え出で咲くや
曼珠沙華



墓地の石が組合せられている中、石の隙間を縫って生える曼珠沙華。なんとも仏教的な花です。

 (2018.09.17)




鶏頭の
赤いトサカの
いよよ赤



 (2018.09.17)