虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

老子はメタボか?・・・中国の理想的人物像とは。

@_@老子は、古代中国の哲学者。活躍した時代には諸説ありますし、老子が誰であったかも定かではないのです。架空の人物であるという説も根強くあります。ただ『老子』と言う書物は現代に生きる我々にとって、極めて重要な実質とメッセージを持っていると思われるのです。@_@


以前もどこかで書いたと思いますが、中国の貴人(つまりは金持ち)は、身の回りのことはみんな下僕にやらせるのがむしろステータス・シンボルだったので(井沢元彦:逆説の日本史)、でっぷり肥えることこそ理想の体型でした。その意味では、身の回りのことを自分で行う禅僧のような暮らしと対極にあるものでした。でっぷり太った禅僧は、よほどの特異体質の(太りやすい)人なのでしょう。


そこで老子について書かれた文庫本で、小川環樹さんと蜂屋邦夫さん2氏の本の表紙を比べてみます。これは老子が周の国に見切りをつけて、隠遁の旅に出て西の関所にさしかかった時の有様なのですが、小川さん本の場合、「牛車に乗り、威儀を正した老子」、従者も数人引き連れて、いかにもお大尽です。天蓋のある牛車、手には芭蕉(団扇)を持っています。自分の足で「千里の行も足下よりはじまる」というテーゼは無きが如くです。



老子 (中公文庫)

老子 (中公文庫)

老子 (岩波文庫)

老子 (岩波文庫)



それに比し、蜂屋さんの場合、「青い裸牛に一人うち跨った姿が」描かれています。このようなサベッジな老子は痩せているでしょうね。もともと、老子は周の国の図書館の司書だったとも言われていて、紙が発明される遥か前の時代だったので、重たい竹簡、木簡を扱っていたはずですから、自然老子もある程度の力仕事をしていたと思うのです。もっとも、老子の時代、貴人はでっぷり太っているべきだとのコンセンサスがあったのかどうかは解りませんが、その意識のもとで後世の画家が「想像で」描きあげたのが小川版老子の表紙を飾った絵であったかも知れませんね。確認したところ、明代の画家が描いたもののようです。そうすると、明代の常識=偏見で描かれたのが、小川版老子の表紙であったということになりますね。


老子は「痩せた老子」であって欲しいですね。「太った豚より痩せたソクラテスであれ」と言った東大総長もいました。ソクラテスは「無知の知」と唱え、「無為の為」と言った老子と同じような(同じではないけど)ことを言っていました。



今日のひと言:SFマンガの鬼才、諸星大二郎の作品「孔子暗黒伝」には、孔子老子、釈迦などが登場し、それぞれラシイ行動を取りますが、老子は自分が御者をする牛車に主人公の男の子を乗せ、西のかなたに消えていくというエピソードがあります。この場合、この項で考えた2つの老子の姿の折衷が見られるようです。




詩の再録:



@メタボを産む家


テレビコマーシャルで

パナホームの放送を見た

何でも動線(作業で動く経路)を

整理したので家事をやる人は

年間140kmくらいは

動く距離が減るのだという。


なるほど、これは楽!

ただし――動かない分は

体のカロリー消費機能は働かず

過剰エネルギーとして体に蓄積される。

これってメタボのことじゃん!

メタボを産む家である。

 (2018.04.20)






今日の一品


@パプリカ漬け2品



捌いたパプリカを軽く湯通しし、一つをマリネ(秘伝のタレ)、もう一つをエバラ浅漬けの素に漬けました。3時間ほど漬けて食卓へ。前者のほうが味はまろやかなようです。

 (2018.05.01)



@豆腐のバジルソース掛け



豆腐のヒヤヤッコ。ショウガ+カツオ節+醤油 の代わりにピザに使うバジルソースを掛けてみました。案外美味しい。

 (2018.05.02)



@銀ダラの煮付け



ウナギに匹敵するほど脂の豊富な銀ダラ。煮つけは抜群の味です。料理は簡単で、水+醤油+砂糖+ショウガで煮るだけです。以前「有言実行三姉妹シュシュトリアン」という美少女戦記物で、三姉妹の刑事の父がこの料理をこよなく愛していたのが記憶に残ります。

 (2018.05.03)



クサギの酢味噌和え



クサギについてはこれまでも取り上げてきましたが、今回ははじめて酢味噌和えにしてみました。ちょっと酢の香りが強かったでしょうか。でもクセはなく、美味しい。


クサギは主に空き地に生える雑木で、その葉には独特な香りがあるので「臭い」木・・・クサギと呼ばれるようになりました。この植物は花と実が綺麗なので茶花として利用されますが、葉を食べることも可能なのです。摘んできた葉を茹で、冷ましたあと、何回か(5、6回)水に晒しなおし、一晩置きます。あとは刻んで砂糖・醤油・オリーブオイルで炒めて完成。葉は、ややほろ苦い味をしています。
 (2014.05.07)


http://d.hatena.ne.jp/iirei/20140509#1399577737 より。

 (2018.05.04)



@ウコギ(五加木)の新芽の炒め物



庭木にしているウコギ、これまでは混ぜご飯にしてきましたが、多く消費するために炒め物にしてみました。苦味が心地よいです。タラ、ウド、朝鮮ニンジンなどなどを含むウコギ科の代表植物で、ちょっと性質が異なるエゾウコギには、朝鮮ニンジンと同等の薬理作用があるとのこと。


http://d.hatena.ne.jp/iirei/20090824#1251092373

 :上杉鷹山と「かてめし」(かてもの)





今日の詩


ネズミ禍 (ソネット)


以前風呂場の石鹸が
ネズミに喰われたと書いた。
彼らの手の届く範囲に
石鹸は置かなくなったから・・・


そろそろ我が家から
出ていくと思っていた。
(ところでブログ友に教えられた
焦げカボチャの種に反応しなかった。)


安心して出窓でカボチャの種を
水浸(蒔く準備)していたところ
留守中種は影も形も無くなって・・・


「やられた!」「すばしっこい!」
私は急いで別の種を水浸し、
冷蔵庫に入れ家を出た。

 (2018.05.02)




今日の三句


群青の
花弁まぶしい
カキツバタ



 (2018.05.03)



暑き日に
日陰授ける
クルミの木


 (2018.05.04)



麝香(じゃこう)の香
甘く匂える
タイムかな



ハーブの小木、タイムは麝香の香りで特徴つけられますが、古代ギリシャではこの香りは勇気ある男性の代名詞でした。市販のタイムパウダーの香りより栽培している個体のほうが甘い香りです。

 (2018.05.04)