虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

これまで私が飲んで来た酒:芳醇な一滴(主にシャルトリューズ)

 子供時代、大人の宴会の席に同道すると、そこには意地悪な大人がいるもので、面白半分で清酒やビールを奨め、一口飲むと、清酒でもビールでもその「不味さ」に閉口したものです。大人になったらこんなゲテモノ、決して飲むまい、と思ったのです。


でも、あにはからんや、私はお酒好きの大人になってしまいました。切っ掛けはやはり大学入学当時の新歓コンパ、合同コンパで、お酒が飲める環境になったことですね。まずは私はビールのトリコになりました。その時期は、日本の在来型の銘柄だけでなく、本場ドイツ風のビールが販売されていました。Ma¨rzen (メルツエン)ビールとか。「喉越し」が良い、悪いと一丁前の文句を垂れる嫌な学生でしたね。ウヰスキーも案外好きでした。入学一年後、私の従兄弟である人が受験のために私の下宿にやってきたとき、私はすっかり忘れていたのですが、彼にウヰスキーを勧めたようで、後年、彼の父である伯父から、小言を食らったことがあります。「受験生に酒を勧めるとは・・・」


次に私が愛飲したのがワイン。これは同期生のG君に精神面で大きな影響を受けた際、ついでに受け継いだ嗜好でした。赤・白・ロゼがあるうち、ロゼが特にお気に入りでしたね。720ml、ほとんど封を開けたら仕舞わずに飲み終えました。


ここまでは洋酒一辺倒でしたが、次にも教えてくれる人が現れました。それは日本酒(清酒)。日本酒なんて、垢抜けせずに不味いものだ、と思っていたのですが、彼は新潟の地酒・「菊水」を振舞ってくれたのです。「・・・フルーティーで美味しい!」米から作る酒なのに果物のような風味が!・・・これは大変な驚きでした。


日本酒には産地によって多種多様な地酒があり、「菊水」は入門篇として相応しいものでした。他にも「ロッキング・オン」の連載コラムニスト、岩谷宏さんの記事で「浦霞:うらがすみ」(宮城)に舌鼓を打ちました。東京の地酒としては「澤乃井」をもっともよく飲みました。


私が知り合った、いわゆるヒッピーという人々(彼らは自称「部族」でしたが)の影響で焼酎にも酒を求めるようになったのですが、米焼酎麦焼酎芋焼酎とある内、ある意味クセの強い芋焼酎がもっとも美味しかったですね。「薩摩白波」など。ほかに「蕎麦焼酎雲海」などの変化球も好きでした。


中国通の鍼灸師・Lさんから様々な中国酒を教えてもらったのもこの頃です。医食同源を体現する美味しいお酒たちです。「汾酒:ふぇんちゅう」「五加皮酒:うちゃぴーちゅう」「竹葉青酒:ちゅーえいちんちゅう」など。


さて、ここまでの酒は「人に教えられて」飲むようになった酒ですが、私が初めてその傾向から抜けた酒がフランスのリキュール「シャルトリューズ」でした。私がハーブを趣味としていて、その種の本を読んでいたとき、なんどかこの名称が出て来るのに興味を持ち、調べてみたのです。・・・スゴイ酒だと思いました。リキュールとは酒に薬草とか果実を漬けて酒の性質を微妙に変えた酒(混成酒)です。


シャルトリューズは南フランスのプロヴァンス地方のアルプス山脈の麓、シャルトリューズ修道院で数百年に渡り製造されてきた酒です。ブランデーに130種もの高原性ハーブ(薬草)を漬け込み蒸留して、砂糖、蜂蜜、ヒソップ(ハーブ)などで味を整えるのです。製法は門外不出でしたが、最近では業者にライセンス契約で、製造を認めているようです。


味は評価がわかれますが、私にとっては良い味です。おおきくアルコール度55のヴェール(緑)、40のジヨーヌ(黄)の2種類があります。大体オンザ・ロックで飲みます。もっとも、最近ではさほど酒を体が欲せず、たまにしか飲みません。


http://d.hatena.ne.jp/iirei/20070228#1172635132

 :酒2題――ミードとシャルトリューズ・その逸楽


 
今日のひと言:私が高価なこのシャルトリューズを、お土産として持っていった某養鶏農家、一口「不味い、なんだ、この酒!」と仰り、「焼酎とまぜればなんとか飲めるな」とも仰いました。なんと視野の狭い「田舎者か」と私は思い、以後、この人のところには行かなくなりました。人の好意を無にする思い上がった態度だったと思います。(ちなみにこの人は脱サラして田舎暮らしを始めた人でした。)


また、私はいわば梅酒のような手作りのリキュールを多数作ってきました。それについては以下参照。

http://d.hatena.ne.jp/iirei/20150428#1430173174

  :リキュールを造る:その熟成を待つ楽しみ




酒蔵名鑑(2014~15年版)

酒蔵名鑑(2014~15年版)

世界の名酒事典 2017年版 (講談社 MOOK)

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今日の一品


@鶏手羽元のオーブントースター焼き



弟作。手羽元は、もも肉に似て、肉が十分についているので、値段の割には喰いでがあります。醤油と砂糖のタレに2時間半くらい漬けて粒マスタードをまぶし調理。

 (2017.05.06)



@クワの穂先の素揚げ



クワは全体で捨てるところのない木で、春先の穂先は、素揚げにすると、生食やお浸しなどにするより美味しく食べられます。カリカリとした風味で、まるで天女の羽衣です。塩を振って食しました。クワには糖尿病にたいしても効果があるそうです。茎を切ると出てくる乳液の成分、DNJ(デオキシノジリマイシン)が有効だとか。

 (2017.05.07)



@ウコギ飯



ウド、タラノメなどの属する科の元となった植物。ウコギ科。苦味の強い山菜ですが、これを収穫、かるく茹でて刻み、出来立てのご飯と混ぜて食べます。救荒食としてのウコギ飯については


http://d.hatena.ne.jp/iirei/20090824#1251092373

  :上杉鷹山と「かてめし」(かてもの)

 (2017.05.08)



@牛スジ肉の牛皿



弟作。硬い牛スジ肉を圧力鍋で10分茹で、冷めたあと取り出し、タマネギ、砂糖、醤油、砂糖、ショウガなどで煮込みます。むかし漫画「美味しんぼ」で、迷った子犬にスジ肉の煮込みを与えるというエピソードがありました。

 (2017.05.09)






今日の詩


@かけがいのない犬:果樹園の主



果樹園を営む小父さんがいた
彼には愛犬がいて
作業が終ると犬を連れて
散歩に行っていた。


だが犬は死んでしまい
それにショックを受けたか
その年から園の運営は疎かになり
小父さんは姿を見せなくなった。


彼にとってあの犬は実存的に
不可欠な相棒だったのだろう
今日木々は伐られ、園は
平地にされようとしている。

 (2017.05.06)



拙ブログ、今回のエントリーで、900記事に到達しました。著作権問題(特に音楽関係)に関わるエントリーを泣く泣く削除したこともあり、今更、と言う気もしますが、ともかく目出度い。目指せ!1000記事。