虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

おもろさうし〜〜沖縄の神歌

 2012年11月末、読売新聞にある方の訃報が載っていました。その人は「外間守善:ほかましゅぜん」さんで、「おもろさうし」の研究を大成した人でした。「おもろ」というのは、日本でいう「和歌」に相当するでしょう。


 その「おもろさうし」について、wikipediaから引いてくると、

『おもろさうし』(おもろそうし)とは、尚清王代の嘉靖10年(1531年)から尚豊王代の天啓3年(1623年)にかけて首里王府によって編纂された歌集。沖縄の古い歌謡であるおもろを集録したものである。漢字表記すれば「おもろ草紙」となり、大和の「草紙」に倣って命名されたものと考えられる。なお「おもろ」の語源は「うむい(=思い)」であり、そのルーツは祭祀における祝詞だったと考えられている。全22巻。


王・高級神女・勇者・詩人・航海者をたたえ、風景・天象・戦争・神話について歌われている。わずかではあるが恋愛を歌ったものもある。(中略)編纂時期が不連続で、巻一が編纂されてから約70年間編纂が途絶えており、薩摩侵入後の万暦41年(1613年)になって巻二が、十年後の天啓3年に残りの二十巻が編纂されている。

そんな訳で「おもろさうし」に興味を持ったので、図書館で「南島の神歌 おもろさうし」(外間守善:中公文庫)を借りてきて読んでみました。目についた作品をいくつか。


あがるいの大ぬし
大主が御まへに
くねぶげはおへておちへ
おれづむ またな
いな ちやはな さちやる

(対訳)
東方の大主
大主の御前に
九年母木を植えて
ウリズンを待とう
おや、もう花が咲いたよ


原詩に出てくる「おれづむ」は「ウリズン」と同義で、沖縄の人が待ちわびる季節で、日本本土のように厳しい冬がない人たちのあいだで宿望される、「春」とも違う季節であり、「若夏」という言葉と同義とほぼされるようです。細かくは、旧暦2,3月頃がウリズン、おなじく4,5月ころが「若夏」と
呼ばれるようです。(56P)




はつにしやかふし
地天とよむ大ぬし
ちうらのはなの
さいたる みもん
天ちとよむ大ぬし


(対訳)
天地に鳴響む太陽よ
美しい花が
咲き渡っていくさまのみごとに美しいことよ
天地に鳴響む太陽よ


太陽を花に喩えて、その見事さを歌っています。(221P)




まにしか まねまね ふけば
あんしおそいてたの
おうねと まちよる
おゑちへか おゑちへと ふけは


(対訳)

真北の風が吹くと
按司襲い様(国王)の
御船をぞ待っているのです
追手風が吹くと


薩摩に囚われの身となっている国王に、一刻の早く帰ってきて欲しいと王妃が歌った抒情詩。おもろのなかでは珍しい恋の歌です。「釜山港へ帰れ」みたいですね。(224P)



今日のひと言:この本の説明に「万葉・祝詞古事記の三つに該当する」と言われる沖縄の古謡集「おもろさうし」。・・・とありますが、私が読む限り祝詞(のりと)の集成のように見え、さほどの多様性は感じませんでした。特に、恋愛の歌があまりないのにはちょっと不満でした。


酒とシャーマン―『おもろさうし』を読む [新典社新書]

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ユーカラ・おもろさうし (新潮古典文学アルバム)

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今日の料理


ヤマトイモナンプラー



私の住む群馬県太田市の、尾島地区は利根川に面した砂質土で、ヤマトイモの栽培に適しています。ナガイモとかヤマイモより粘りが強く、食欲をそそります。(なお、対岸の熊谷市妻沼地区でも同じように美味しいイモが取れます。)摺ったヤマトイモには通常昆布だし+ワサビで食べますが、今回はタイ料理に使われるナンプラーを使ってみました。味は・・・香味はイモに吸収されたのか、ナンプラー特有の匂いはせず、塩辛さとワサビ風味が残りました。(なお、わが家ではトロロイモの容器には・「横川の峠の釜めし」の容器を使っています。貴重な土からできた陶器を無駄にしたくないのです。)

 (2013.10.28)




@三五八漬けに挑戦!!


前回ブログで触れた「三五八漬け」をやってみました。市販品にもいろいろなものがあり、なかには人工甘味料スクラロースを混ぜたものもありました。麹で甘みが出るというのに、この怠慢さはどんなものでしょう。


http://d.hatena.ne.jp/iirei/20101102#1288654476  参照。


漬け込み



充填



重し



今回は、漬物の容器が汚いこと、元床の量が少ないこともあり、大きな丼で蕪3個を小分けにして漬け込みました。仕上がりは明日の朝。

  (2013.10.30)




今日の2句


公園の
木を切る音で
眠くなり


わが家は公園に隣接しています。電動ノコギリで木々の枝を打つ音は、一聴うるさいですが、機械音の単調なリズムで眠気が来ました。

 (2013.10.28)



二股で
くっ付くトゲぞ
取りにくし



いよいよ「アメリカセンダングサ」の種が出来る時期になりました。先端が碇のようになっていて、衣服や犬猫の被毛に付くと、なかなか離れず、遠方に子孫を広める戦略でしょう。ほおっておいたら、日本の空き地はこの草に占拠されるでしょう。


参考過去ログ:http://d.hatena.ne.jp/iirei/20130708#1373252442 などいくつか

 (2013.10.29)