虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

上杉鷹山と「かてめし」(かてもの)


ウコギ→


 飢饉の際に食事の足しになる植物を救荒植物といいますが、米沢藩主・上杉鷹山(うえすぎようざん)は、救荒植物について、50科144種のリストアップをしています。そして「ウコギ」は、生垣に使うように推奨されていました。イザというときに食卓に乗せるためです。やや苦味を持つ味ですが、これを御飯に混ぜるにはむしろ理想的な食糧かつ調味料になるのでしょう。「苦さ」=「大人の味」で、ハンガリーの国民酒「ウニクム」もリンドウの根を配合した、苦いリキュールです。疲れが取れるのでしょうね。


上杉鷹山(治憲)は1754−1822で、日向高鍋藩主秋月種実の次男、1767年に米沢藩を継ぎ、いろいろな改革を試みます。その仮想敵は「飢饉」でした。田畑の開墾、くわ、コウゾ、漆などの商品作物を奨励し、みずから指導したといいます。さらに牧畜、養蚕、製糸、織物、製塩、製陶などの新産業にも力を入れます。いわゆる家中(家臣)手工業をしているというので、他の藩でも有名になります。とにかく藩主が進んでやるので説得力があったのですね。
  (以上の略歴は「コンサイス日本人名事典:三省堂」より。)


↑ここに挙げた写真は、我が家の庭に植えている「ウコギ」の葉です。この植物の仲間には、ウド、タラコシアブラ朝鮮人参など、食用、薬用にと有用なものが多いのです。それらの代表がウコギ。ちょっと苦いが美味しい山菜です。漢字で書くと「五加木」で、なるほど、五枚の葉が一緒にでている掌状複葉です。ウコギ類植物を「ウコギ科」植物と呼びます。


私も前に30種くらいのたべられる野草とその調理法を本にしましたが、それにくらべても圧倒的に多いですね。鷹山公が家臣・莅戸善政(のぞまど・よしまさ)に命じて「かてもの」を編集したのです。


 当時は、飢饉の際、野草の食べ方を知らずに毒草を食べ、命を落すという例もあったとのことで、「正しい食用野草の食べ方」を指南する本でもあったのですね。


米沢藩は、彼の治世以後、明治にいたるまで餓死者、流亡者は一人も出なかったとのこと。これはスゴイことです。アメリカのJ.F.ケネディ大統領は、尊敬する人物として、鷹山を挙げていたそうで、故国アイルランドにはびこった「ジャガイモ飢饉」、それで国を捨ててアメリカに渡った祖父の恨みを学んでいたのでしょうね。

過去ログ  ジャガイモ飢饉とケネディ大統領
  http://d.hatena.ne.jp/iirei/20081202


飢饉のときにたべるのが「かてめし」。その材料が「かてもの」です。米も白米は廃し、いろいろな素材と炊き合わせるのです。「かてもの」は「糅物」とか「糧物」と書きます。



今年食べた「ウコギのかてめし」です。米は7分搗き米。かてものの詳細については以下参照。


http://ei4web.yz.yamagata-u.ac.jp/mogamigawa/life/katemono.html


今日のひと言:現在、垣根を潰してコンクリートブロックにする人が我が家の周りでも多いようですが、コンクリートは食べられませんよ。こういった行為は、金を出せば食糧は確保できると思っているからでしょうが、今に本当に「そんな時代」=「かてものを必要とする時代」がもうそばに来ている、と思えます。


ラタトゥイユを作ったよ!

 
 ラタトゥイユは南フランスの家庭料理、手軽に出来る料理として有名です。

ラタトゥイユ(仏: Ratatouille)とはフランス南部プロヴァンス地方、ニースの野菜煮込み料理。
ナス、ピーマン、ズッキーニといった夏野菜、香草などをオリーブ油で炒め、トマトを加えてワインで煮て作る。野菜が煮くずれるほど煮るのがポイント。うまみを出すためにベーコンなどの肉類を入れたり、ニンニクや唐辛子を用いたり、いろいろな工夫ができる。

そのまま食べるか、パンと共に食べる。パスタソースにすることもある。白ワインとよく合う。熱い状態で食べてもよいし、冷やして食べてもよい。
語源はフランス語のTouiller(かき混ぜる)で、初めのRata-は軍隊言葉で「ごった煮」という意味である。

以上、Wikipediaから。

私はここ5年ほど、夏になるとラタトゥイユを作ります。いや、それほどムズカシイ料理ではなく、ありあわせの野菜をごった煮にするのです。今晩はナス、トマト、長ネギ、ニンジン、ニンニク、ローリエを使いました。長ネギを使ったのは、タマネギがなかったからです。肉は入れなかったので、コンソメを一かけら入れました。


出来上がりも、充分満足できるもので、夕食に花を添えました。冷めても美味しい。


ただ、少し難を言えば、ナスの分量が突出して多く、水に晒したけども、アクが残り、鍋の汁にもアクが感じられたことですね。似た煮込み料理として「ポトフ」というのがあり、これもフランス語で「Pot  au  feu」(火に掛けられた鍋)を意味し、肉とかソーセージの肉系素材も使い、おそらく冬の料理だとおもわれます。


南仏プロヴァンスの家庭料理ノート

南仏プロヴァンスの家庭料理ノート