虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

呪われたハーブ・ネトル(セイヨウイラクサ)

iirei2009-02-19

 *呪われたハーブ・ネトル(セイヨウイラクサ

ネトル→
 

 以前に知ったのですが、イギリスでネトル早食い競争といったお祭りがある、と。私は耳を疑いました。恐らくは生のネトルをつかうのでしょうが、このハーブの著しい特徴として、肌に葉が接触するだけで痛みを感じるのです。この痛みは葉の刺胞にギ酸が含まれているので、この物質が悪さをするのです。いわゆる「蕁麻疹」というのが、さしづめ、イラクサによるカブレなのです。蕁麻=イラクサ。Nettle(ネトル)はNeedle(針)に通じ、針で刺されたような感覚を形容しています。刺されると、丸一日痛いことを我慢することになります。 この植物は、イラクサ科に分類されますが、日本の山中で自生している「ミヤマイラクサ:アイコ」は、その美味から、山菜の女王とも言われます。


 ただ、このネトル、調理(茹でれば)すればギ酸は抜けますし、ビタミン、ミネラルが豊富に含まれる理想的な食材でもあるのです。味はかなり濃いので、私はおなじように味の濃い「昆布だし」を使って味付けしています。ティーとして飲むと、なんだか海草の煮汁を飲んでいるようです。


薬効もたくさんあり、
1) 利尿作用、消炎効果
2) ホウ酸を多量に含むから、アルツハイマー病に効果?
3) おなじくホウ酸を含むことから、リュウマチの治療に使える
4) ケイ酸を多量に含むことから、痛風リュウマチに使用された
5) 歯垢、歯肉炎を口内洗浄
6) 血液を浄化する


ざっと、これくらいの薬効があるらしいです。手持ちの資料から引いたのですが、薬効はこれだけではなさそうです。薬効のカタマリのようなハーブですね。


参考HPは  http://daimon-michiko.com/blog/2004/09/post_29.html



 さて、それほどの薬効のあるネトルですが、私は今年、栽培を止めました。ネトルは繁殖力が旺盛なため、実ったタネが家の境を越えて飛散してしまうのです。なんだと思って手を出したら、一日中痛い、というケースになっては、こちら側の庭管理の問題になりかねないからです。
 その事態になる前に「根絶やし」をしたのですが、ネトルもなかなか枯れない。強い植物です。



食味、薬効とも優れたハーブ・ネトルは以上書いた意味で呪われたハーブなのです。




今日のひと言:近隣住民を気にせずネトルが栽培できるようになったら、良いですね。




ハーブを取り上げた過去ログ
http://d.hatena.ne.jp/iirei/20051215 ナスタチウム
http://d.hatena.ne.jp/iirei/20051227  セージ
http://d.hatena.ne.jp/iirei/20060110  タイム
http://d.hatena.ne.jp/iirei/20080506 グッド・キング・ヘンリー
http://d.hatena.ne.jp/iirei/20080928 ホアハウンド


イラクサの小道の向こう―英国、花とくらす小さな村

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イラクサ (新潮クレスト・ブックス)

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