紙すきとチャーハン
*チャーハンと紙漉き(紙すき)
(これから3回、和紙特集です。)
「紙漉き(和紙作り)」と「チャーハン」料理は非常に似ています。「えーーー、なーーーんでーーー?」という声も聞こえてきそうですが、似ているのは似ているのだから、しょうがありません。
その根拠は、「紙漉き」の原理に遡れます。英語の「paper」という言葉はもとより「紙」を意味しますが、その語源になったエジプトの「パピルス」は、紙と呼べるものではありません。パピルスは、イネ科植物の幹の繊維をはがしたものを「編んで」・「発酵させて」・「繊維を融合させて」作るものです。一種の編み物ですね。
一方の「紙」は、植物の幹の皮(特に靭皮繊維:じんぴせんい)を叩いてほぐし、水中で分散させて網で掬いあげて作るものです。製作原理がまったく違うのです。水中で均一にさせてから再構成作業に入る点が、古代中国人の独創なのです。この発明は、情報媒体の紙の重要性を考えると、人類の発明のベスト3に間違いなくエントリーするでしょうね。
一方、「チャーハン」に向いた米は「インディカ米」です。この種の米には「粘り」がなく、粒同士がくっつかず、さらりとした「チャーハン」に仕上がります。でもこの性質は日本の「ご飯」には向かず、平成5年のイネ大不作の際緊急輸入されたインディカ米、その評価が最低だったのは、記憶に新しいです。ところで、「粘る」ジャポニカ米(日本で作られる系統のイネ)は本来チャーハンには向きません。でも、美味しい「チャーハン」を作れます。どうするか、と言うと、ザルに入れて流水で洗い、粒同士を分離させ、「粘り」を取り去るのです。その処理をしたあとチャーハンにすれば、見事に美味しいチャーハンになります。この場合、「粘り」は欠点なのです。
さて、今述べた作業・・・これって、紙の繊維を水中に分散させる工程と似ていませんか?――そうなのです、これが私の言う「紙漉き」と「チャーハン」の類似点です。水の予測不能な動きに全てを託す・・・これこそ、人類の最大級の「行為」なのです。この際、どの材料にたいしても差別はしません。荘子の言い方でなら、万物斉同ということになりましょうか。なお、情報媒体をPaperと呼ぶなら、FP,CD,MD,DVDなども立派なpaperですね。
中国人の発想は、生活全般に行き渡るのです。彼等の英知に乾杯!!
今日のキーワード:和紙、インディカ米、ジャポニカ米、靭皮繊維、パピルス、チャーハン(炒飯)、中華思想、万物斉同
今日のひと言:先祖が優れていても、子孫が優れているとは限らない。遺産に安住してい
ると、今のような、情けない中国に大成してしまうのだよねえ。その意味で、中華思想こそが、中国人最大の敵なんだよねえ。
http://d.hatena.ne.jp/iirei/20060112 参照。
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