虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

2012-01-01から1年間の記事一覧

「水は方円の器に従う」〜老子の名言?

老子特集その1(全2回) 私は大学生時代後期のころに、老子に惹かれ、文庫本などで購読していました。諸橋轍次さんの「老子の講義」、小川環樹さん訳注の文庫本「老子」(中公文庫)など。今でも枕頭の書です。そのきっかけには2つあり、一つは自然農法家…

「うな重」ではなく「なすの蒲焼き重」

昨今、ウナギの稚魚の「シラスウナギ」が世界的に不漁で、うなぎの値段も「うなぎ登り」です。しらすうなぎの卸値が2年ほどで倍くらいの値段になっているようで、うなぎ好きの私には厳しい状況になっています。その状況で、今年7月27日のNHK「首都圏ニュ…

芥川龍之介と徒然草

以前、芥川龍之介はその著「侏儒の言葉:しゅじゅのことば」のなかで、徒然草(つれづれぐさ:吉田兼好の随筆)について以下のように書いていました。 つれづれ草 わたしは度たびこう言われている。――「つれづれ草などは定めしお好きでしょう?」しかし不幸…

辻政信・・・悪魔の参謀

全4回に渡る「太平洋戦争」を巡る将官の話。 不規則にエントリーします。その3。 辻政信(wikipedia)→ 表題の「悪魔の参謀」という言葉は、メールマガジン「軍事情報」で使われていましたが、私のミスでその記事を削除してしまいましたので、ここに私なり…

辻政信・・・悪魔の参謀

「砂男」(怪奇作家E.T.A.ホフマン著)〜「言葉の恐さ」

E.T.A.ホフマンの怪奇短編小説である「砂男」は、極めて恐いお話です。本編の主人公・ナタナエル少年は、子どものころから「恐ろしい」お話を聞かされて育ちます。「あんまり寝ないでむずかっていると、砂男が眼に砂をこすり付けにくるよ、だから早くお眠り…

「砂男」(怪奇作家E.T.A.ホフマン著)〜「言葉の恐さ」

今週のお題「夏に聞きたい、怖い話」

昆虫の変態(metamorphosis)

昆虫シリーズその3(全3話・一回おきにエントリーします。完結) 男の子で、小学生の頃、「昆虫獲り」をやったことのない人は少ないでしょう。私もそうでした。でも、大体は小学校時代にその趣味を卒業し、もっと別のことに関心が向うようになるでしょうが…

薬用成分の容器としての動植物

私は以前、韓国食材店によく通っていました。(冷麺やチャンジャ、エゴマのコチュジャン漬けなどが好きだったので。)そしてある店の棚に「朝鮮人参(オタネニンジン):Jinseng」らしき根っこのアルコール漬けを見たので、店の人に聞いたところ、それは「桔…

ミズカマキリとカマキリはどう違うか?

昆虫シリーズその2(全3話・一回おきにエントリーします。)ミズカマキリ(wikipediaより)→ 表題、結論から言えば、まったく異なる系統の昆虫です。カマキリは網翅目の昆虫で、ミズカマキリはカメムシ目・タイコウチ科の昆虫です。長い前足を使って昆虫と…

ミズカマキリとカマキリはどう違うか?

曾我蕭白(そがしょうはく)とピカソ〜美しくないアート

以前、ある方とピカソの絵のあり方について対話しました。はじめまして。私もクレーの「戦闘のシーン」から、クレーファンになった口です。 よくピカソとクレーは比べられるようですが、私はピカソの絵には「美」を感じないため、クレーの評価の方が高いです…

カマキリとゴキブリは同類の昆虫だ

昆虫シリーズその1(全3話・一回おきにエントリーします。) この両者、カマキリは攻撃することしか知らず(敵に後ろは見せない)、ゴキブリは逃げることしか知らず(敵前逃避)・・・性質が真反対なのが面白いですが、分類上は網翅目というカテゴリーに分…

「今を生きるということ」〜弁論大会・私・天才バカボン

「天才バカボン」特集その2(完結) 今の中学はどうだか知りませんが、私の頃は、弁論大会が盛大に開催されており、(中学に問い合わせたところ、今はやってないそうです。)目立ちたがりの私としては、相当力を入れて臨みました。テーマは何でも良く、優秀…

バカボンのパパの残酷さ

「天才バカボン」特集その1 以下は、私と「貝国のまち下田S級サザエ會 スタッフブログ」の會長さんとのコメントのやり取りです。私:バカボンのパパは41歳?まあ、長男のバカボンが10歳くらいだとすると、年相応ですね。・・・バカボンのパパは、案外残…

黒船来航の真の政治的意図

私が購読しているメルマガに「JOG-Mag 国際派日本人養成講座」があります。作者は伊勢雅臣さんです。なかなか鋭い視点を持つ方かと思います。今回取り上げるのは2011年10月2日号(716号:黒船来航の舞台裏)。 私は、アメリカの提督・ペリーが4隻…

野田佳彦の愚挙

この政治家の政策は、ことごとく民意に反し、落第政治家と言ってもよいでしょうが(消費税増税、TPP参加問題、原発の再稼働)、最近もトンデモな決定をしました。それは、ドルを介さずに日本円と人民元を交換できるようにしたことです。ドルを介することをな…

後白河法皇と政治・今様

2012年大河ドラマ「平清盛」にあわせて その2 「今様:いまよう」については先のブログで紹介しました。その集大成である「梁塵秘抄:りょうじんひしょう」の撰者は、後白河法皇(1127−1192)です。彼は、一種の流行歌であった今様に大きく関わ…

今様(いまよう)〜中世の流行歌(梁塵秘抄)

2012年大河ドラマ「平清盛」にあわせて その1 今様は11世紀中ごろから12世紀にかけて流行した歌です。歌の曲や伴奏とともに、舞い、踊り、パフォーマンスを伴うもので、いわゆる白拍子・遊女・傀儡師(くぐつし)などが担っていたようです。 書物の…

山口多聞・・・海軍随一の司令官

全4回に渡る「太平洋戦争」を巡る将官の話。 不規則にエントリーします。その2。 →山口多聞(wikipedia) 太平洋戦争の長い戦闘の中で、一際輝くのが、第二航空戦隊の指揮官・山口多聞中将です。彼が全指揮権を握っていれば、戦の経過も相当変わっていたろ…

山口多聞・・・海軍随一の司令官

ラブ・ソング以外の歌たち

私は、現在のJ-POPとか演歌とかを聴くにつけ、なんとラブ・ソングが多いのか、感心してしまいます。J-POPの7割、演歌の8割がラブ・ソングであるように見積ります。たとえば松田聖子、浜崎あゆみの曲はほぼすべてラブ・ソングです。また、よく「北へ向かう…

フランス発の準・結婚制度・PACS

フランスは、先進国のなかで唯一、合計特殊出生率が上昇している国ですが、それを維持するために、以前述べた「複合家族」の他にもう一つのテクニックをもっています。それがPACS。複合家族:http://d.hatena.ne.jp/iirei/20100630#1277856358 *合計特殊出…

日本陸軍最低の将軍・鬼畜・牟田口廉也

牟田口廉也(wikipedia)→ 全4回に渡る「太平洋戦争」を巡る将官の話。 不規則にエントリーします。その1。 戦争をする軍隊に重要な要素が3つあります。作戦、情報、兵站(へいたん:ロジスティック・後方からの物資補給)です。これを「槍:やり」という…

日本陸軍最低の将軍・鬼畜・牟田口廉也

「ギャラリーフェイク」(贋作画廊)by細野不二彦

マンガ家の細野不二彦さんは「鬼才」です。マンガ家には、作話のために夥しい(おびただしい)取材が必要になりますが、彼はそれを見事にやってのけ、「ギャラリーフェイク」という傑作マンガを描きました。 この作品は、贋作とあらかじめ断って贋作(にせさ…

夏目漱石の「こころ」〜三角関係の恐ろしさ

この小説は夏目漱石晩年の作品で、私は高校で学びました。そしてこれは彼の作品のなかでも飛び切りの光芒を放つものであると思われます。三部構成からなります。「先生と私」「両親と私」「先生と遺書」です。 私は、大学生。教養のある人物・・・「先生」と…

GHQは何をしたのか、しなかったのか?

太平洋戦争が日本の敗戦になり、日本に乗り込んできたGHQ、一体どんなことをしたのでしょう?またしなかったのでしょう?・・・これは、当ブログの過去ログで、野口悠紀雄さんが「GHQは日本の戦時経済体制を手付かずのままにした」と「戦後日本経済史」に書…

「うなぎ」(映画:今村昌平監督)を観て

今村昌平(1926−2006)監督、役所広司主演の映画で、1997年に公開されました。この作品は第50回カンヌ映画祭で、最高賞のパルムドールを獲得したものです。原作は吉村昭の「闇にひらめく・海馬」です。 作品の粗筋は、普通の会社員・山下が、…

石川淳とシャルトリューズと狂風記

私がこよなく愛する酒に「シャルトリューズ」(リキュール)があります。フランス東南部・アルプス山中にあるシャルトリューズ修道院で数百年に渡って造られてきた銘酒。この酒について、以下のようなオマージュがあります。 こういふものを二杯以上のむバカ…