虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

モーツァルトとベートーベンの徹底比較:神童VS楽聖

モーツァルトとベートーベンの徹底比較:神童VS楽聖


この2人の作曲家は、ヨーロッパ音楽の最高峰に位する人たちであり、それでも持ち味は正反対とも言えるほど違うので、どんなものだか考えてみました。


ウォルフガング・アマデウスモーツァルトは1756-1791。子供のころから「神童」と呼ばれ、35歳で死ぬまでそう呼び続けられた天才です。ルートビッヒ・ファン・ベートーベンは1770-1827。モーツァルトによって大成された古典派音楽を発展させ、ロマン派音楽の興隆に道をつけました。57歳で没します。晩年は難聴に苦しみ、その中で「交響曲第9」を作曲し、その苦難とその克服を成し遂げたことを称え、「楽聖」とも称されます。案外この2人、思っていたほど親子ほどには歳は離れておらず、むしろ歳の離れた兄弟である年恰好です。


論より証拠、この2人の特徴対比の一覧表を作ったので、ご一読下さい。



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この表で大体言い尽くしましたが、いかにも両者の違いが際立っているように思われるのではないでしょうか。幾つかの項目について補足します。


3.似ている人:天衣無縫な人格の持ち主、荘子(哲学者)、李白(詩人)が似つかわしいのがモーツァルト、国のため尽力し悲愴な感じがするのが、孔子(哲学者&政治家)、杜甫(詩人)であり、それが似つかわしいのがベートーベン。


5.音の質:「疾走する哀しみ」という言葉は小林秀雄の評論『モオツアルト』にその表現が、だれだったかヨーロッパの音楽評論家によって唱えられたと書いてありましたが、交響曲40番の第1楽章に顕著に出ていると思われます。

https://youtu.be/N4JBduI1O1c  (クリックどうぞ)

交響曲第40番 第1楽章


一方、「固定される喜び」とは、何を隠そう、私が考えた表現ですが、これは第9交響曲「合唱」のイメージから帰納したものです。もっとも、私は「合唱」はあまり好きではなく、むしろ第6「田園」が一押しです。

https://youtu.be/ocy2e4adBc0  (クリックどうぞ)


第6「田園」 第1楽章



今日のひと言:モーツァルトの音楽は「出来てしまうもの」、ベートーベンの音楽は「力業で造ってしまうもの」というのが私の基本的なこの2人の偉大な作曲家についての評価です。(2.音楽の創造 について書いた通りの感想なのです。ええい、ぶっちゃけ、正直に言ってしまえば、モーツァルトのは、どこまでも清澄な音で出来た聖なる音楽、ベートーベンのは多かれ少なかれ、濁った音が混入する俗な音楽です。





モオツァルト・無常という事 (新潮文庫)

モオツァルト・無常という事 (新潮文庫)

ベートーヴェンの生涯 (岩波文庫)

ベートーヴェンの生涯 (岩波文庫)





今日の一品


@鶏レバーの塩茹で


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もともと安い鶏レバーを20%引きで入手(生協)、保温調理鍋で塩を多めにいれてひたひたの水でローリエ2枚、10分茹で、保温して、一昼夜、スモークレバーのような一品になりました。弟いわく、「チーズみたい。」

 (2021.04.09)



@インスタントカレーうどん


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まるちゃん(東洋水産)のうどん。具にこだわりました。ニンジン、ピーマン、ネギ、ソーセージ、カニカマ、ミニトマトなどを投入。たっぷり食べられました。

 (2021.04.10)



@炙りエイヒレ


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弟作。味については、フカヒレと同等だと思われるエイヒレ、軽く炙って食べました。

 (2021.04.10)



@チャイブ乗せバタートースト



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チャイブ、奥はニラ(オリエンタル・チャイブとも言う)。



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チャイブは、ハーブの一つで、ネギの仲間の、もっとも繊細なもの。今朝は食パンの上にバターを置き、チャイブを刻んだものを乗せて焼きました。

 (2021.04.13)



タキイ種苗 ハーブ チャイブ

タキイ種苗 ハーブ チャイブ

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@蕎麦(そば)スプラウト


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発生容器に入れて11日目にやっと収穫出来ました。簡単に塩を振って、まさしくサラダの原義。まあ、草の味。

 (2021.04.14)







今日の詩


@歯がゆい :歯のどこが、痒くなるのだ?

 (2021.04.09)







今日の四句



実はこれ
人間嫌いの
証なり


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我々が「篤農家」と呼ぶ農夫、実は人を寄せ付けないためにこんな怖いカカシを立てるのでしょう。

 (2021.04.10)



二重奏
麦と奏でる
ホトケノザ


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 (2021.04.10)



柿の木を
殺すつもりで
枝打ちぬ


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近くの柿の木は、ちゃんと芽吹いていました。

 (2021.04.10)



ヨモギ
列をなしてぞ
生えにけり


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天ぷらにすると、山菜の王:コシアブラより美味いこともあるヨモギです。

 (2021,04.11)






今日の写真集


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アメリハナミズキが生える「お化け屋敷」(2021.04.13)



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芝桜:幾何学的にも、色彩的にも面白い。(2021.04.16)


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藤の大株:一般的な建物の敷地でこれほどになるのは珍しい。

   (2021.04.16)







☆☆過去ログから厳選し、英語版のブログをやっています。☆☆


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歴史を動かした病人たち:病跡学(パトグラフィー)の迷宮

歴史を動かした病人たち:病跡学(パトグラフィー)の迷宮


私は今『歴史の主役はみな病人』(九次米義敬:くめじ・よしたか/主婦の友インフォス情報社/2013)を読んでいます。この本は、各界の歴史に影響を与えた人物たちを病理的視点から見直してみるという視点で書かれています。この際、病跡学(パトグラフィー)の開陳が見られます。そもそも病跡学について、引用してみますと、


(日本大百科全書(ニッポニカ)の解説)
病跡学
びょうせきがく

精神病理学の応用領域の学問で、病誌、パトグラフィーpathographyともいう。ドイツの精神医学者メビウスP. J. M bius(1853―1907)によって初めて使われた用語である。ドイツの精神病理学ヤスパースは、「著名な人間の生活記録であり、精神病理学的に興味のある精神生活を調べ、精神的異常性が人間の創造性に対していかなる意義を有するかを明らかにするもの」と定義しており、また同じく精神病理学者のグルーレH. Gruhle(1880―1958)は、「ある傑出した人の異常な本質特徴とその発展を、生活と作品を基にして提出しようとする伝記の一形式」と定義している。研究方法としては、ヤスパースらの現象学派、フロイトらの精神分析学派、ランゲ・アイヒバウムW. Lange-Eichbaum(1875―1949)らの社会学派、あるいはクレッチマーらの体質生物学派などがそれぞれ独自の病跡論を展開している。日本でも第二次世界大戦後ようやく本格的な研究が現れ、1966年(昭和41)日本病跡学懇話会が発足し、現在の日本病跡学会に発展して活発な研究活動を行っている。[春原千秋

『野村章恒著『パトグラフィ研究』(1981・金剛出版) ▽福島章著『天才の精神分析』(1978・新曜社) ▽福島章著『続天才の精神分析』(1984新曜社)』
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

https://kotobank.jp/word/病跡学-368984 より


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クロード・モネの「睡蓮」


ただ、この本、全7章のうち、表題のように「歴史を動かした病的個人」のことが記述してあるのは、第1章と第5章の一部だけで、あとは人類と病気の「一般的な」フォークロア民俗学)という感じで話が進行します。ちょっと病跡学とは違う視点で書かれているようです。


ただ、興味深い話は結構挙げられているので、その部分は案外楽しめます。


ヤルタ会談で、第二次世界大戦後の世界の姿を会談した3人のトップ政治家、ルーズヴェルトアメリカ大統領)、スターリンソ連邦書記長)、チャーチル(イギリス首相)は、3人とも脳疾患(脳卒中)で仲良く落命しています。この会談の際、もっとも健康の優れなかったルーズヴェルトは、判断力が鈍り、ソ連に有利な戦後処理を取り決めてしまったというのですね。その直後、ルーズヴェルトは命を落とします。


フランスの将軍「参謀総長&最高司令官」であったガムランは、ナチス・ドイツの危険性を甘く見て、フランスにとって命綱だった軍事境界線に兵力を集中させずに、見事に突破され、結果フランスのドイツへの降伏を招きました。この人、「脳梅毒」が持病だったそうで、事実を正確に把握できない状態のオジンなのに、軍の全権を持たせていたフランス上層部はバカに見えます。


印象派の代表格たる画家:クロード・モネ。かれは晩年白内障を病み、その制約の中で絵画を描き続けます。それがまた、正常に目が見えていて描いた絵より、光の芸術である絵画、中でも印象派の絵画として、いまでも光り輝くという作品を創造したのですね。スゴイことです。



今日のひと言:ほかにも幾つかの病跡学の興味深い事例が挙げられています。フォークロアである部分より、この病跡学を反映して書かれた部分がオススメです。


私はむかし、統合失調症の患者であった知人から、彼の描いた絵葉書をいただいたことがありますが、絵の上手い下手より、その絵のヒズミが読取れ、「これはむしろ彼の病気の特徴をよく伝えているのだ」、と思ったものです。ミルクとココアという、男女の天使が愛を語り合う、という構図ですが、この2人が案外ユガンで見えたのです。「うっとり」というより「ぞっと」する絵でした。




歴史の主役はみな病人

歴史の主役はみな病人

天才の精神分析

天才の精神分析





今日の一品


@コーヒーサワー


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水に溶けやすく、美味しくもある「UCC Beans & Roasters  INSTANT COFFEE」を、炭酸水に溶かして飲んでみました。さわさわと気泡が湧きました。ちょっと驚き。まあ、飲める味でした。

 (2021.04.02)



アロエ塩麹炒め


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「苦い」から名のついたアロエ、普通やらない調理法を取ってみました。ごま油を敷き、葉の側面の棘を包丁で切り取ったアロエを、3~4cmに切り、炒め、塩麹、輪切り唐辛子を加えました。苦酸っぱい。なかなか減りませんでした。

 (2021.04.04)



@リポビタン・サワー


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濃密な味の、このドリンクを、炭酸水で2倍に希釈すると、案外美味しいです。

 (2021.04.07)



@スパム(缶詰)とコンフリーの炒めもの(塩味)



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スパム・メールなどで有名なこの言葉、豚肉の缶詰のことです。味はコンビーフに似ています。イギリス・BBCの傑作コント:「空飛ぶモンティ・パイソン」にも登場します。コンフリーは今が旬のハーブ。ただピロリリジンアルカロイドを含むので、食べ過ぎないことが大事です。コンフリーは甘い香りがするので、強調するため、シナモンを加えました。なお、よく似た毒草に、心臓
毒のジギタリスがあります。ジギタリスには葉に毛が生えていなくて、葉にギザギザがあります。コンフリーには葉に毛が生えていて、葉にギザギザがありません。

 (2021.04.07)



@デーツ酒の漬け込み


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以前、製品を買っていたNatshell(ナッシェル)から、久しぶりに買い物をしました。ドライ・デーツ(ナツメヤシ)。栄養価のある果物として有名です。私が買ったのはザヘディ(種あり)。1袋350円で2袋。食べると、濃厚な甘さがあります。4割をホワイトリカーに漬けました。6割は料理用にします。

  興味ある方は

 info@natshell.jp

へどうぞ。

 (2021.04.08)






今日の詩


元の鞘(さや)に収まる


・・・この言い回しは、ある意味、とってもセクシー。鞘という言葉、英語でvagina(女性性器の膣)という意味も持つ。一方男性性器のペニスは、刀という意味で、だから例えば、喧嘩別れした恋人同士がセックスして和解するという状況が、この言葉から見て取れる。刀は、鞘に収まって当然だね。

  (2021.04.08)





バンクシー小劇場


人間がゴキブリを嫌いなのは、近親憎悪のため。

 (2021.03.31)





今日の四句


久しぶり
河原に芽吹く
クコの木や



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いろいろと役立つ木なのですが、それを知らない人間が無造作に殺すのです。

 (2021.04.03)



今年また
摘まんで歩く
ナバナかな


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菜の花のつぼみを生で食べると鮮烈で美味しいのです。

 (2021.04.03)



スプラウト
殻から伸びる
貝の舌


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蕎麦(そば)スプラウトなのですが、ちょうど二枚貝が舌をだすように、根が伸びます。

 (2021.04.03)



若くして
みどり児のごと
ツタの芽や


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 (2021.04.07)




今日の写真


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謎の花  ちょっとサクラソウに似ていますが、茎が細く、花は薄紫色です。

 (2021.04.07)







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