司馬遷、老子、范蠡・・・中国の特に優れた人々列伝
司馬遷、老子、范蠡・・・中国の特に優れた人々列伝
私は、これまで、「夏」の頃から「唐」の時代くらいまでの、中国の歴史、有名人について学んできましたが、あえて、膨大な人達の中から、5人を選び、ランキング付けしてみました。活動したジャンルは様々なので、正確には比較できませんが、私の心にどれだけ響いたか、という主観的な見方で順位付けます。ランク付けしようとしておいて、なんですが、優劣差をつけるのではありません。便宜的です。弟に、「私は誰がもっとも好きだと思うだろうか」、と訊いたら「(3)なんじゃない」、と返ってきました。各人物の概説は、広辞苑第六版から。では、5位から上に向かって、
↑スキャナーが壊れたので、原画をカメラで撮影して、画像化しました。しばらくこのような感じになります。(スキャナーを買うお金がない)
(5)李商隠(りしょういん)
晩唐の詩人。字は義山。懐州河内(河南沁陽)の人。生涯を落魄の中に送る。典故を多用して修辞に技巧を凝らす詩風は、宋初の西崑体(せいこんたい)の祖となる。著「李義山詩集」「樊南文集」。(812?~858)
悲しみを具体化した大詩人。李白や杜甫より、深い詩。悲しい恋愛詩が光る。
「打ちひしがれた少年が覗く青玉」(中国文学者:高橋和巳の言)。↓のURLで、代表作を掲載。
彼は書物をあちこちに並べ、書物のエッセンスを素早くつかみ、消化・吸収して血肉にしていきました。これを「断章取義」といい、その有様から「獺祭:だっさい~カワウソの祭り」とも言われます。この獺祭という言葉は山口県の日本酒:獺祭の語源になりました。
私は、李商隠のような人になりたいです。
(4)趙州従諗(じょうしゅう・じゅうしん:778-897)
軽く見える日常茶飯事から、弟子を導く達人である、唐の時代の禅僧。彼と問答すると、そのユーモアに触れて悟りを開く者多数。彼についての記載は、広辞苑にはありませんでした。例として、
弟子:私は愚かでなにも出来ません。どうすればいいのでしょう?
趙州:お前、飯は食ったか?
弟子:食べました。
趙州:なら、皿を洗っておきなさい。
(弟子は、このやり取りで悟ります)
弟子:お師匠さまでも地獄に落ちるのですか?
趙州:落ちるとも。ワシが落ちなかったら、誰がお前を教化するんじゃい?
なお、唐の時代の優れた禅僧には、ほかにも百丈懐海、黄檗稀運、潙山霊祐(いざん・れいゆう)などもおり、甲乙つけがたいのですが、今回は趙州従諗に代表して出てきてもらいました。
私は、趙州従諗のような人になりたいです。
(3)司馬遷(しばせん)
前漢の歴史家。字は子長。陝西夏陽の人。武帝の時、父談の職を継いで太史令となり、自ら太史公と称した。李陵が匈奴に降ったのを弁護して宮刑に処せられたため発憤したと伝え、父の志をついで「史記」130巻を完成した。(前145頃~前86頃)
この人は欠かせません。彼自身が、歴史そのものでした。中島敦の『李陵』に詳しい。(詩:「文章を書くマシーン」参照)
私は、司馬遷のような人になりたいです。
(2)范蠡(はんれい)
春秋時代の越王勾践(こうせん)の功臣。楚の人。会稽の戦に敗れた勾践を助けて呉王夫差(ふさ)に復讐させた。のち野に下り、富を得、陶朱(とうしゅ)公と称された。 →陶朱
彼の生き様は、一篇の叙事詩です。戦における攻撃・防御の機微を熟知し、平時にも身を賢く処し、大金持ちに。中国人が模範とする人物。ちなみに、私のニックネーム「森下礼」は、最初「森下蠡」にしようと考えていましたが、難しすぎるので、現行のものに変更しました。彼を描いた漫
画に『呉越燃ゆ 史記』(久保田千太郎:作 久松文雄:画 / 講談社Super文庫:大型本)があり、范蠡について詳しく解ります。
私は、范蠡のような人になりたいです。
(1) 老子(ろうし)
1)中国、春秋戦国時代にいたとされる思想家。道家の祖。史記によれば、姓は李、名は耳、字はたんまたは伯陽。楚の苦県こけん郷れいきょう曲仁里(河南省)の人。周の守蔵室(図書室)の書記官。乱世を逃れて関(函谷関または散関)に至った時、関守の尹喜(いんき)が道を求めたので、老子を説いたという。 →太上老君。
2)1)の著書。2巻。宇宙の本体を大または道といい、現象界のものは相対的で、道は絶対的であるとし、清静・恬淡てんたん・無為・自然に帰すれば乱離なしと説く。編纂は孟子以後と考えられ、前漢初には現行本に近いものが成立していた。老子道徳経。
儒教思想・文化を否定し、社会の良識に挑戦した古代自由思想の巨星。(『老子』:中公文庫のキャッチフレーズの一部。)朴訥とも言えるそのモノローグは、人の心を見透かす意地悪ささえ備え、一編の風刺詩のように、読む人の深奥に突き刺さる。・・・と言いつつ、話のなかに女性性器がでてくると見られるのがあったり(6章)、戦争必勝法を公開したり(36章)と、バラエティに富んでいる。
私は、老子のような人になりたいです。
今日のひと言:中国には、語るべき人物が多くいて、選抜には苦労しました。なお、老子よりもさらに架空ぽい人物として、易経の原理を発見した帝王「伏羲:ふっきorふくぎ」を(0)番目に追加します。
このブログで登場した6人を、易経の卦に割り当ててみます。(5)→(0)のように、下から上に爻(こう)を積み上げると「山風蠱:さんぷうこ」という壊滅的な卦がでます。一方(0)→(5)と積み上げると「沢雷随:たくらいずい」という建設的な卦が出ます。どちらも強力な意味をもつ卦です。(なお、たとえば李商隠ならば、陰性の陰爻と割り振りました。でも、ここは易経の説明の場ではないので、過去ログから引っ張ってきます。
私は、伏羲のような人になりたいです。
なお、中島敦の小説『悟浄嘆異』のなかで、孫悟空が、変身の術が下手な猪八戒にこう諭します。「その者になりたいと、純粋に思うのだ。純粋にだぜ。この上なくだぜ。そうすれば、その者になれる。お前が上手く変身できないのは、その思いが足りないからだ。」と。
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今日の一品
@もやしと生キクラゲ炒め
ほかにキャベツ、オクラ、クコの実を入れ、ごま油、塩、コチュジャン、ネギオイルで味付け。軽やか。
(2020.07.11)
@変わり具冷麺
冷麺(ネンミョン)は朝鮮民族が生んだ傑作麺類ですが、いつものように具が集らなかったので、あるもので済ませました:大根、もやし炒め(↑の料理)、インゲン胡麻和え、カニカマ。案外いける。
(2020.07.12)
@牛カルビのシソ巻き
普通、カルビを巻くのはエゴマですが、今年は栽培に失敗した(ネキリムシの仕業)ので、丈夫に育ったアオジソで巻きました。エゴマもシソも英語では同じperilla (ペリラ)になります。さほど味に違いなし。
(2020.07.13)
@高野豆腐のアオジソドレッシング煮
1枚の高野豆腐を吸水させ、4枚に切り分け、水を絞ったものを、あらかじめ沸騰させた水+アオジソドレッシングの鍋に入れ、4、5分煮て冷やしました。
(2020.07.15)
今日の詩
@文章を書くマシーン
私の自我は
29歳の夏に
死んだ。
厳しい三角関係の末に。
そんな私が思い浮かべるのが
司馬遷。
彼は正しいことを言ったのに
時の皇帝の逆鱗に触れ
「男性機能を奪われた」(宮刑)
しかし彼はそれをバネに
史記130巻をマシーンのように書き上げ
そして煙のように世を去った
私はそれほどの事なき者だが
現実に私は文章を書くマシーンになっている。
自我はない。
BGM:アルバム「B-2UNIT:坂本龍一」
(2020.07.12)
今日の五句
木々皆が
黒く染まるや
夏の影
(2020.07.11)
殿様も
初めは小僧
可愛いらし
トノサマガエルの幼生。
(2020.07.11)
1.センダンの
蔓延(はびこ)る元は
人なりき
2.雑草は
農薬かけられ
この通り
アメリカセンダングサは、利用もできない雑草で、繁殖力も強い。農家はこの草を見て見ぬふりをして放置し、ほかの草は容赦なく殺害します。
(2020.07.15)
クコの花
この花咲くや
可愛いな
クコはナス科の植物、花もナスに似ています。漢方の基本薬剤。
(2020.07.15)
青酸とビター・アーモンド:バラ科植物に特有な化合物+バトン・リレー
青酸とビター・アーモンド:バラ科植物に特有な化合物+バトン・リレー
ナッツのアーモンドには「スイート・アーモンド」と「ビター・アーモンド」の二種類があります。普通に食用となるのはスイートの方で、ビターのほうは青酸(シアン化水素)が含まれているので、食べる上ではスイートが適切です。
アーモンドは種の中の仁が食用になりますが、これは梅干の種の仁も食べられることとパラレルです。梅といえば青梅も青酸を持つことで知られます。より広く考えると、アーモンドや梅を含むバラ科の植物には、この2種と同じく青酸を持つものもあります。アンズ、ビワなど。
その青酸の元は「アミグダリン」という物質で、これが分解して青酸ガス(HCN)になるのですね。
アミグダリンそのものには毒性は無い。エムルシン (emulsin) という酵素によって加水分解されるとグルコース、マンデロニトリルが生成され、さらにマンデロニトリルが分解されると杏仁豆腐やビワ酒に共通する芳香の原因になるベンズアルデヒドとシアン化水素(青酸、猛毒であるが長期保存すれば分解されて無害になる)を発生する。
エムルシンはアミグダリンを含む未熟な果実などと一緒に含まれる事が多く、アミグダリンを含む果実が熟すにつれてエムルシンの作用によりアミグダリンは分解され、濃度が下がっていく。この時に発生する青酸も時間と共に消失していく。このため、熟したウメやアンズなどをヒトが経口摂取しても青酸中毒に陥る心配はほとんど無い。
(wikipedia アミグダリン)
図(wikiから)では、構造式の中でCとNが三重結合をつくっている部分が目につきますが、これが青酸の正体です。
ところで、バラ科植物はなぜ猛毒のHCNを生成する成分を持つのでしょうか。説明は見当たりませんでしたが、多分、幼果のうちに、動物に食べられないという理由からかと思います。
シアン化水素の毒性の様子は(wikipedia シアン化水素)、
シアン化水素は殺虫剤のほか、化学兵器(血液剤)として使用された様に、動物にとって致死性の毒物である。その毒性の発揮は、シトクロムをはじめとする生体内のヘム鉄の Fe3+ に配位し、細胞内呼吸を阻害することによる。中毒死した場合は、シアンメトヘモグロビンのため全身が赤く染まる場合がある(青酸塩の場合はそうならない場合もある)。
すなわちヒトなどの脊椎動物がこの物質を摂取すると、シアンが細菌以上の動物ミトコンドリアの酸化型のシトクロム酸化酵素複合体 (COX) の Fe3+ に配位結合・封鎖し、電子伝達系を阻害することでATP生産量を低下させる。この点で植物ミトコンドリアはシアン耐性経路 (Alternative Oxidase: AOX) を備えるため耐性を持つ。
青酸に会ったら、動物はいちころですが、植物は青酸に耐性があるというのが面白いですね。
今日のひと言:シアン化水素はその毒性に注目したオウム真理教が新宿駅に仕掛けたことでも話題になりました。サリンほどではないものの、急性毒性は強く、精製も容易ですからね。
今日の一句
胎内に
子どもを宿す
観世音
太田市大光院(吞龍さん)の観音像の中に、自分の名札を奉納した人がいる、というので。
(2020.07.08)
今日の一品
@豚肉とキャベツの生姜焼き
弟作。ほかに塩、醤油、塩麹を入れたそうです。あっさりしています。
(2020.07.08)
@@ブロガーバトン・リレー@@
バトンを回してくれた「星たちの座談会 地球号の未来」とは2年半くらいのつき合いです。地球の環境問題を憂慮する方々の、合同ブログです。皆さん、真剣に考えてらっしゃいます。
バトンのシステムは
この↓テンプレートを回していくそうですよ。(だから次の人にまわすときは、これの複製も貼り付けます。)
そして自身のブログに記入したものを張り付けます。(手持ちの画像編集アプリで記入)
★一番古い記事
https://iirei.hatenablog.com/entry/20051125 ハロウインのカボチャは危険かも知れない。
★お気に入りの記事(2件)
「都市工学の核心」1~3
https://iirei.hatenablog.com/entry/20051222
https://iirei.hatenablog.com/entry/20051223
https://iirei.hatenablog.com/entry/20051224
学問の本質について書いた会心の作。
たぶん、私のブログでもっとも読まれた記事。数万人の目にふれたでしょう。
★☆★バトンは次のブロガーさんへと託します。(2名)
★murana様 id:murana (はい、チーズ!)
共働きの夫婦が、黄金色と黒の兄妹猫とまったりするブログ。癒されます。仕事の関係で、それまで住んでいた京都から大阪に引越されました。
★たけ様 id:Greenweekends (緑の週末日記)
週末に農業を営み、メダカの学校の先生でもあります。サイクリングで千葉県・茨城県あたりに出没なさいます。
お二人にバトンをお渡しします。よろしく。
☆ブロガーバトンのやり方
①バトンをくださった方を紹介する(リンクを貼る)
②テンプレートをコピーして貼る(次に回す方用に)
③テンプレートを画像編集アプリで記入
④自作の画像編集したテンプレートをブログに貼
⑤次に回す人のブログを紹介する(リンクを貼る)
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