虚虚実実――ウルトラバイバル

森下礼:環境問題研究家、詩人、エッセイスト。森羅万象、色々な事物を取り上げます。元元は災害に関するブログで、たとえば恋愛なども、広く言えば各人の存続問題であるという点から、災害の一種とも言える、と拡大解釈をする、と言った具合です。

素晴らしい出会い:拙著『水って、なあに?』を通じての。

素晴らしい出会い:拙著『水って、なあに?』を通じての。


私が以前書いた「水って、なあに?」のバックナンバー6話がブログ化してありますので、URLを書きますね。私が自然食の八百屋チェーンでバイトしていたころそのグループの機関紙「人間家族」に連載されました。


https://iirei.hatenablog.com/entry/20130119/1358590569
    1.地下水はいま
https://iirei.hatenablog.com/entry/20130124/1359021692
    2.塩素の嘆き
https://iirei.hatenablog.com/entry/20130129/1359454062
   3.水を縛る鎖
https://iirei.hatenablog.com/entry/20130203/1359885754
    4.水と土
https://iirei.hatenablog.com/entry/20130208/1360317719
    5.長ぐつのまち
https://iirei.hatenablog.com/entry/20130213/1360750304
    6.灰かむり
以上です。案外好評だった連作です。おおむね1年、2か月に一回紙面に載りました。


上の文章は知人あてのメールに書いたものです。私が東京大学工学部都市工学科・衛生コースで学び掴み取った知見をコンパクトにまとめた「小論文」と言えるでしょう。この文章は評判が良く、ひょんなことから知り合った「文章の達人」から絶賛されました。いわく「貴方の文章は、“無責任に”書きなぐったものではなく、自分自身が書いた文章に“責任”を取れるものですね」といった
趣旨のことを伝えてくれました。彼のホームグラウンドに出向いた際は飲み会で「私の年下の物書きで、評価できる文章を書けるのは、この人だけです」と紹介してもらいました。


その彼は、切れ味鋭く古典の深層にも突き進むことの出来る人で、ギリシア神話の「パンドラの匣(箱)」の逸話で、ゼウスが人間を堕落させるため、「神々の長所を与えられて作られた女性」=「パン(すべて)ドラ(与えられた)」、好奇心旺盛な女性パンドラが、開けてはいけないと言い含められていた「全ての悪が詰まった箱」を開けてしまい、諸悪が飛び出したあと、残ったのが“希望”だったとされますが(これは、聖書の“原罪”ということのギリシア神話的な事例になるでしょう)、この逸話において、「ああ、希望が残ったのなら、最低限の救いがあるな」、と思う人が多いでしょうが、彼は「前提として、全ての悪が詰まっていたのなら、希望も悪じゃんか。」と言ってのける人でした。偏見を持たず、事物を裁断する人でなければ、このような分析は出来ません。


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聖書に出て来る「サマリア人の例え」という有名な説話についても、独自の解釈を行っていて、それも含め、聖書の研究書を書き上げ、某東大名誉教授に贈ったところ、教授は面白いと思ったらしく、K社に送ったそうですが、K社いわく「わが社では、初版5000部以上見込まれる本でなければ、出版できない」との回答だったそうです。面白いけど、細かな記載のある本だったので、例えば聖書の入門書として読む人にはとっつきにくい本だったことは間違いありません。専門家が読むのなら、適していたかも知れません。まあ、市場調査をしてから、執筆すべきだったのでしょう。


それから、もう一つ、彼から指摘されたことで印象に残っているのは、確か『水って、なあに?』
の「長ぐつのまち」の項で、現在の汚水処理技術(とくに水洗トイレ)について書いた部分で、「私はこの技術を憎みます」と、私が書いていたそうで(!!)、「この表現は面白い、普通、技術を批判するために”憎む“という表現は使わないよね。」と、私自身が忘れていた表現を掘り起してくれたのです。書いた本人が「無自覚」になっていたことを、指摘されるのも、中々に知的冒険の意味もあり、彼にはとても感謝しています。



今日のひと言:彼の実生活上の行動(脱法ドラッグが大好き、女性関係のいい加減さ)について不信感を持った私は、彼との交際を絶つようになり、かれこれ十数年経ちます。いまや生きているかも死んでいるかも解りませんが、彼が私の物の見方に新しい地平を開いてくれたことは、間違いありません。



一冊でまるごとわかるギリシア神話 (だいわ文庫)

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  • 発売日: 2013/08/10
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ギリシア神話を知っていますか (新潮文庫)

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  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1984/02
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「よきサマリア人」の譬え―図像解釈からみるイエスの言葉

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  • 出版社/メーカー: 三元社
  • 発売日: 2010/04/01
  • メディア: 単行本





今日の一品


@失敗ザワークラウト


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ザワークラウトは、ドイツのキャベツの漬物で、ドイツ人のソウル・フードとも言えるでしょう。今回は、その市販品から一部取って、キャベツの千切りを層状に敷き詰めるとき、間に入れてタネにしてみました。でも、10日以上漬けても、あめ色にもならず酸っぱくもならず、失敗しました。塩をふんだんに入れたのが悪かった?・・・結局、ただのキャベツ漬けになったのです。

 (2020.02.07)



@ウドぶつ切り焼き辛子酢味噌ディップ


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ウドの野性的な料理を目指し、ぶつ切りにしてオーブントースターで240度・5分、辛子酢味噌でディップを作り、浸して食べました。野趣横溢で、狙い通り。

 (2020.02.09)



@ブリ照り焼き・ディル添え


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弟・私の合作。照り焼きにしたブリの仕上げのレンジで、ディルの刻み葉をまぶしてチン。ディルは魚介類の調味に抜群のハーブ。

 (2020.02.10)





今日の詩


@群集心理


備蓄食も必要だろうと、台風19号のとき
乾パンを置いていたスーパーに注文した。
ところが「今は災害時ではないので置いていない」
との回答が返ってきた。――それ、変じゃない?
平時にこそ乾パンを置いて、災害に備えるべきに。
災害が起きれば群集心理でパニックだ。


そういえば、東日本大震災のとき、
家電量販店のエネロープ(千回以上充電可能な乾電池)が
きれいさっぱり売り切れていた。
災害時には、だいたい電気は停電するのだから
エネロープより普通の電池が実用的ではないか。
これらは、パニック状態の群集心理だろう。

 (2020.02.11)





今日の三句


白き花
薺(ナズナ)群咲く
雪でなく


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 (2020.02.08)



空の青
照り返すごと
バーズアイ


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バーズアイ(鳥の目):オオイヌノフグリのこと。

 (2020.02.08)



たぶんそれ
雪被りたる
妙義山


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魁偉な山容で、日本広しと言えど類例のない名山。標高は1100m程度で高くはないとは言え、その奇岩ぶりは有名です。赤城山榛名山妙義山とで「上毛三山」と称されます。

 (2020.02.10)

ユリ目植物とキジカクシ目植物:えーい、紛らわしい呼称変更!

ユリ目植物とキジカクシ目植物:えーい、紛らわしい呼称変更!


ひとむかし前だったなら、植物の分類は見た目で決められ簡単でした。主に花の形で決められていたのです。アブラナ科植物なら「十文字花科」とか。(花びらが4枚で、十字の形をしていたので。)シソ科植物なら「唇形花科」。(花がクチビルに似ていたので。)


このような分類法をクロンキスト体系と呼び、ここ10年くらいで、植物の遺伝子レベルの分析によって分類するAPG体系が主流になったのです。遺伝子レベルの類似性と言っても、見た目にわからなくなったほど、混乱していますね。


実際、クサギ(旧:クマツヅラ科  現:シソ科)というのは、シソ類とは見た目に完全に別種の植物でして、無理やり科(あえて書くと、もっと上の目)を変えたように感じます。このような違和感を持つのが、今回ブログで取り上げたキジカクシ科(目)の植物です。この植物群について、wikiから引いてくると、



キジカクシ科(キジカクシか、学名:Asparagaceae)はキジカクシ目に属する単子葉植物の科の1つ。クサスギカズラ科ともいう。

(中略)

@Asparagoideae(キジカクシ亜科) - 2属約300種。APG IIより以前の体系ではこのグループのみがキジカクシ科とされていた。クサスギカズラ属が主要な属で、代表的な種としてアスパラガス、日本に自生するものではクサスギカズラ、キジカクシなどがある。主に旧世界に広く分布する。地下茎で繁殖する多年草。葉は退化して小さい鱗片状になり(アスパラガスの食用部に多数ついている)、生長すると茎はよく分岐して細長い葉のようにみえる。茎がつる状に伸びて他物に巻き付くものもある。
@Nolinoideae(スズラン亜科) - 約26属500種。
APG IIまでは、これらの各亜科は科として分離されていた。また、さらに古い体系では、これら全てがユリ科に含められていたが、現在では目レベルで分離されている。


元はアスパラガスを代表格にした植物群だったわけです。キジカクシという野生のアスパラガスが存在するわけです(茎が食用)。アスパラガスも以前にはユリ科植物とされていましたから、隔世の観があります。ここでは省略しましたが、キジカクシ科は7つの亜科で構成されるようですが、とくに毒草であるスズランも、いまやユリ科ではなく、キジカクシ科に分類されています。てか、キジカクシの類とユリの類は「科」どころか「目」の段階で、きっぱり分けられているのです。もちろん外にも混乱があります。ユリ科だった、ニンニク、ニラ、ネギなどはヒガンバナ科・ネギ属に分類されています。これらは、「毒草」だったの?


ユリ=キジカクシの部分をクローズアップしたものを掲示しますと、以下のようになります。(「被子植物の目レベルの系統樹」を参考にしました。)



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この図は、もっとも上の「単子葉類」から、下に向かって系統では子孫の植物が展開されるという書き方になっています。(「系統樹2」と書いてあるのは、別の事例について「系統樹1」というのを作成していて、ブログへの掲載順が前後したのです。)


https://ww1.fukuoka-edu.ac.jp/~fukuhara/keitai/angiotree_01.html

   (参考HP)

これによると、ユリ目植物とキジカクシ目植物は、家系図のように見ると、伯父と甥の関係にあり、やはり近縁の植物なのだな、と思いました。また、ヒガンバナ科の位置づけについては、wikiより


APGでは新エングラー体系のヒガンバナ科から数属(アルストロメリア属 Alstroemeria 等)を除いたものをキジカクシ目ヒガンバナ科としている。 さらに第3版(APG III)では、それをヒガンバナ亜科、新エングラーではユリ科に含まれていたネギ属及び近縁属(AGPIIではキジカクシ目ネギ科)をネギ亜科、 同じくユリ科アガパンサス属(AGPIIではキジカクシ目アガパンサス科)をアガパンサス亜科とし、ヒガンバナ科に含めている。



今日のひと言:↑の引用のごとく、いまだAPG体系の分類法はいまいちよく解りませんが、慣れていく必要があるのでしょう。植物愛好家としては。つまり、ヒガンバナ科は、キジカクシ目に属するということなのですね。



新しい植物分類体系—APGで見る日本の植物

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植物の特徴を見分ける本

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原色牧野植物大図鑑 (離弁花・単子葉植物編)

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  • 作者:牧野 富太郎
  • 出版社/メーカー: 北隆館
  • 発売日: 1997/04
  • メディア: 大型本
野菜・山菜博物事典

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今日の一品


@ツクネとキャベツ、トマトのスープ


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弟作。肉類として、鳥ツクネを用い、野菜としてキャベツ、トマトを使ったスープ。材料を水煮し、コンソメ、塩を入れて煮込みます。仕上げに胡椒。

 (2020.01.31)


@カボチャの養命酒


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昨年収穫し、食べきれなくて冷凍していたカボチャを、煮物にしました。切りそろえたカボチャを水、砂糖、塩を入れた鍋で煮、キャラウェイシードを入れたところで(遊び心)で最近飲み始めた養命酒を20cc加えてみて、少々煮、仕上げにシナモン。ちょっと養命酒風になったかな?

 (2020.02.02)



 @カボチャ・ポタージュ


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上の料理が、多く煮崩れしたので、丼8分目に牛乳300ccくらいを加え、ポタージュにしました。

 (2020.02.04)



@人参葉入り味噌汁


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貧乏性のため、根もとを水栽培し葉を生やした人参、ネギの代わりに香の物としてこの葉を入れてみました。少々テレピンぽい香りになったかな?

 (2020.02.02)




@菜の花和え


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春の味、菜の花。茹でてマヨネーズ、青じそドレッシングの混合液で和えました。苦さが半端ない。苦いのは当然ながら、この苦さは?

 (2020.02.04)





今日の五句


黒雲の
朝陽さえぎる
赤城山


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 (2020.02.01)



玄関に
たぶんカラスが
糞(ふん)落とし


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 (2020.02.01)



重しあり
怒り鎮める(しずめる)
白さかな


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浅間山は、世界的な活火山。天明の大噴火は、フランス革命の契機になったとも言われます。

 (2020.02.01)



赤・青・黄
気球は過ぐる
冬の空


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日曜日の気球飛ばし。カラフルです。

 (2020.02.02)



武尊山(ほたかやま)
稀に見えるや
冬の顔


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武尊山群馬県北部の独立峰、2158m。美しい山ですが、2000m超の山で、国立公園、国定公園、県立公園などに指定されていない日本唯一の山だとのこと。(wiki)

 (2020.02.04)